元グループ会社が「ドコモの銀行」になった不満を吸収? SBI新生銀行が「SBIの銀行」として最大5.2万円のキャッシュバックキャンペーンを開催
SBI新生銀行が「SBIの銀行」として“乗り換えキャンペーン”を開催している。その内容を見ると、元SBIグループだったドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)から顧客を獲得しようという狙いが見られる。
SBI新生銀行は9月30日まで、「SBI新生銀行へのお引越しで最大52,000円プレゼントキャンペーン」の第1弾を開催している。このキャンペーンは、同社とSBI証券との口座連携サービス「SBIハイパー預金」を新規申し込みした個人を対象に(※1)、9月30日時点の預金残高(少なくとも30万円)に応じて2000円〜5万円を贈呈するというものだ。第2弾は10月31日まで開催される予定で最大2000円の還元があるようだが、詳細はまだ公表されていない。
(※1)2026年8月3日以前にSBIハイパー預金を開設したことがある場合は対象外
キャンペーンの概要
キャンペーンの第1弾は、9月30日までにSBIハイパー預金の口座を開設した上で、同日までに特設サイトからエントリーを行い、同日23時59分時点でSBIハイパー預金の残高が少なくとも30万円であれば対象となる。贈呈される金額は以下の通りで、12月中に入金される。
- 残高30万円以上:2000円
- 残高50万円以上:5000円
- 残高100万円以上:1万円
- 残高300万円以上:2万円
- 残高1000万円以上:5万円
なお、既にドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)のSBI証券との口座連携サービス「SBIハイブリッド預金」を利用している場合、同預金の休止(SBI証券口座との連携停止)が完了してから申し込む必要がある。営業日(平日)の15時までに休止手続きをした場合は翌営業日の26時頃から、営業日の15時以降または非営業日(休日)に手続きをした場合は翌々営業日の26時頃から申し込める。
元グループ会社の顧客を引き抜くキャンペーン?
キャンペーン名に“お引越し”と含まれているのは、ドコモSMTBネット銀行が提供しているSBIハイブリッド預金からの移行を狙ったものだと思われる。
SNSでは、ドコモSMTBネット銀行によるメインブランドの名称変更(NEOBANK→d NEOBANK→ドコモの銀行)と、それに伴うスマートフォンアプリのアイコン変更に不満を覚えるユーザーが散見される(参考記事その1/その2)。
これを受けて、SBI新生銀行が“元SBIグループ会社”の顧客を奪いに来た――そうとも捉えられる。
SBI新生銀行とドコモSMTBネット銀行について
SBI新生銀行は、1952年に長期信用銀行法に基づく「日本長期信用銀行(長銀)」として誕生した。同社は1998年10月に経営破綻し、預金保護法に基づく「特別公的管理銀行」として国有化された。
同社は2000年3月に外資系の投資組合に売却され、同年6月に商号を「新生銀行」に改めた。新生銀行は2004年2月に株式の再上場を達成し、同年4月には銀行法に基づく「普通銀行」に転換した。
2021年9月、SBIホールディングスが新生銀行に対して株式公開買い付け(TOB)を実施することを発表した。このTOBは経緯的に“敵対的”なもので、新生銀行は当初、買収防衛策を講じるなどした。しかし同年11月、新生銀行は買収防衛策を撤回し、同年12月にはTOBが成立した。これにより、新生銀行はSBIホールディングスの子会社となった。
SBIグループの一員であることを明確にすべく、新生銀行は2023年1月に商号を現在のものに改めた。SBI新生銀行は2023年9月に株式の上場を廃止したが、国からの公的資金を完済したことを受けて2025年7月に株式を再々上場している。
ドコモSMTBネット銀行は、1986年に住友信託銀行(現在の三井住友信託銀行)が設立した業務受託会社「住信オフィスサービス」が法人格的なルーツとなる。
住信オフィスサービスは2006年4月、SBIホールディングスの出資を受けた上で商号を「SBI住信ネットバンク設立準備調査会社」に改めた。これは住友信託銀行とSBIホールディングスとの合弁によるネット銀行(実店舗を持たない銀行)の設立準備会社に“業態変更”したことに伴うものだ。
銀行免許の取得にめどが立ったことを受けて、SBI住信ネットバンク設立準備調査会社は2007年9月に商号を「住信SBIネット銀行」に改めた。同社は長らく住友信託銀行(2012年4月から三井住友信託銀行)とSBIホールディングスの折半出資だったが、2023年3月に株式を上場した。上場後も、三井住友信託銀行とSBIホールディングスの出資比率は均等とされた。
2025年5月、NTTドコモが住信SBIネット銀行の株式をTOBで取得して子会社化することを表明した。SBIホールディングスと三井住友信託銀行はこのTOBに応募しなかったが、SBIホールディングスはTOBの成立を前提にスクイーズアウト(少数株主の排除)後に住信SBIネット銀行による自己株式の取得に応じる(=SBIグループからの離脱を認める)一方で、三井住友信託銀行は引き続き株式を保有することになった。TOBは成立し、同年9月に住信SBIネット銀行の株式上場は廃止され、翌10月に住信SBIネット銀行がSBIホールディングスの保有する自社株式を買い取った。
NTTドコモは2026年7月、金融事業を統括する中間持株会社「ドコモ・フィナンシャルグループ」を設立し、保有する住信SBIネット銀行の株式を同日付でドコモ・フィナンシャルグループに移管した。
そして住信SBIネット銀行は2026年8月、商号を現在のドコモSMTB銀行に改めた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「d NEOBANK」は消滅して「ドコモの銀行」に、アプリアイコンも変更 住信SBIネット銀行の商号変更で
住信SBIネット銀行は、8月3日から個人向け銀行サービス名を「ドコモの銀行」に刷新する。サービス名の変更に伴い、「d NEOBANKアプリ」の名称は「ドコモの銀行 ドコモSMTBネット銀行アプリ」に変更され、アプリアイコンも変更となる。
「住信SBIネット銀行」の商号変更に関する一部報道 ドコモは「準備が整い次第公表」
NTTドコモ傘下の住信SBIネット銀行が商号を変更する――そのような報道があった。ドコモは声明を発表したが、報道を否定していない。
NTTドコモが住信SBIネット銀行を子会社化 ユーザーは「dアカウント」との連携を不安視 改善はあるのか?
NTTドコモが、住信SBIネット銀行をTOBを通して子会社することを表明した。本件に伴い、SNSで懸念が上がったのが「dアカウント」だ。いろいろ問題のあるdアカウントを、ドコモの前田社長はどう考えているのだろうか……?
ドコモが住信SBIネット銀行を子会社化 銀行口座を含む金融サービスを一体提供
NTTドコモが5月29日、銀行事業に参入することを正式に発表した。銀行事業の参入にあたりドコモは、住信SBIネット銀行の普通株式を対象とする公開買付を行い、連結子会社化する。ドコモの販売チャネルを通じて銀行口座や預金獲得を進めることで、銀行事業の収益拡大や金融事業の成長を目指す。
NTTドコモが「住信SBIネット銀行」を買収と一部報道 5月29日の取締役会で決議
何度か報じられた「NTTドコモによる住信SBIネット銀行の買収」が、いよいよ現実となりそうだ。5月29日にNTTドコモと住信SBIネット銀行でそれぞれ行われる取締役で、本件が付議されるという。



