スマートフォンが“盗聴器”になる前に対策を──シマンテックの山中氏(2/2 ページ)
スマートフォンが急速に普及する中、懸念事項として浮かび上がってきたのがセキュリティ問題。場当たり的な端末導入に伴うセキュリティ対策の遅れや、スマートフォンを“盗聴器”に変えかねないスヌープウェアが、企業内情報を危険にさらす恐れがあるという。
もっとも、こうした背景には導入プロセスの問題がある。「米国では、企業から貸与されたスマートフォンを使うというよりは、個人で購入した端末を企業のネットワークと接続して使っているケースが多い」。これは日本も同じ状況で、場当たり的な導入の加速にセキュリティポリシーが追いついていないと山中氏は指摘する。
ただ、この状態が続くと、モバイルデバイスが法人ソリューションの弱点として狙われかねないという。これは「実際、グローバルの調査では、モバイル機器に対するセキュリティ侵害がPCと同等以上の損害を与える可能性があると考える企業が80%に上る。日本でも(ガートナーの調査で)、PCや携帯に次ぐ法人ソリューションとしてスマートフォンをサポートする際、一番の阻害要因になるのが“情報漏洩のリスクが増えること”と企業の63.7%が回答している」という国内外の調査結果からも明らかだ。
“モバイルOSのセキュリティ管理はPCに対して6年くらい遅れをとっている”といわれる中で、今、必要なのは「(PCはもちろん、携帯やスマートフォンも含めた)全てのエンドポイントデバイスに対応するセキュリティポリシーを策定すること」だと山中氏。その上で、強力な法人向け管理機能を強みとする同社のセキュリティソリューション「Mobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobile」に注目してほしいとアピールした。
なおソフトバンクモバイルのX01HTについては、BBソフトサービスが月額315円でウイルス対策ソリューションを提供している(2006年10月の記事参照)。
一括導入時に役立つ管理機能が充実──シマンテックの「Mobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobile」
シマンテックが、Windows Mobile機器の普及を見込んで法人向けソリューションとして投入したのが「Mobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobile」。同社ではSymbian OS向けの製品も開発しており、近日中にもシムロックフリーのノキア製端末「E61」向け製品もリリースする計画だという。
Mobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobileの特徴は、ウイルスを入口で防ぐ「オートプロテクト」機能の搭載と、企業が端末を一括導入する際に役立つ管理機能が充実している点だ。
シマンテックのMobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobile。LiveUpdateに対応し、常に最新のウイルス定義ファイルを入手可能。ウイルス定義ファイルのアップデートやスキャンのの履歴を確認できる活動ログは100Kバイトまで端末内に保存でき、それを超えると圧縮するか削除するかを選べる
- LiveUpdateに対応
PC向け製品と同様、Mobile AntiVirus 4.0 for Windows Mobileもインターネット経由のアップデートに対応した「LiveUpdate」を装備する。常に最新のウイルス定義ファイルや製品のアップデートを入手できる仕組みで、スマートフォン対応版ではインターネットへの通信手段を選べるようになっている。「“ダイヤルアップだと通信料金が心配”という場合は、“必ずWi-Fiを使って社内サーバにアクセスする”ようにも設定できる」
最新バージョンでは、ライブアップデートのスケジューリングに対応したという。「例えば“毎週月曜日にライブアップデートを見に行く”といった設定が可能。エンドユーザー側でも管理者側でもスケジューリング設定できる」
- ウイルスを入口でブロック──オートプロテクト機能
オートプロテクトは、端末内をスキャンしてウイルスをつかまえるのではなく、入ってきたときにブロックする機能だ。例えばブラウザ経由でワームを拾ってしまったときにも、その場で侵入を防げるため、端末内をセキュアな状態に保てるという。
スキャンの動作は「PCとの同期後」「外部メモリを差した後」「アンチウイルスの定義ファイルが更新された後」の3つのオプションも用意される。
- 法人利用のスマートフォンを一括管理
シマンテックが競合他社に対する強みとするのが、管理機能だ。法人利用でスマートフォンを一括導入する際に便利な機能で、スマートフォンに対してライブアップデートをスケジューリングしたり、ウイルスが発生したときにアンチウイルスを起動してスキャンをかけたりといった作業を管理者側が一括で行える。
デバイス管理は、シマンテックのクライアント用統合セキュリティ対策製品の「Symantec System Center」から行えるほか、IntellisyncやAfariaなどのサードパーティ製ソフトからの管理も可能だ。「管理ツールを使うと、ウイルス対策だけではなく他の機能もまとめて管理できる」
ほかにも、SMSをトリガーにして、端末上のイベントをリモート操作できるようにする機能も用意。ウイルス発生時に、SMSでアンチウイルスのスキャンを起動したりできるという。
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