5分で分かる、今週のモバイル事情:10月13日~10月19日
auが3キャリアの先頭を切って秋冬モデルを発表。INFOBAR 2、KCP+対応のRev.Aモデルなど9機種でボーナス商戦を戦う。海外ではSymbian Smartphone Show 2007が開催され、端末メーカーやキャリアが端末開発の今後について語った。
端末9機種と音楽の新サービスを投入――auの秋冬モデル
KDDIが10月16日、ケータイ3キャリアのトップを切って秋冬モデルを発表した。新端末は「W56T」「W54SA」「W54S」「Woooケータイ W53H」「W55T」「W53K」「A5529T」「簡単ケータイ A1407PT」の8機種。これに「INFOBAR 2」を加えた9モデルで年末のボーナス商戦を戦う。
秋冬モデルのテーマは、“ケータイでもっと”を実現する、端末とサービスの提供。9モデルのうちW56T、W54SA、W54Sの3機種は、KDDIの統合プラットフォーム「KCP+」に対応したRev.Aモデルとして登場した。この3モデルはソニーと連携した総合音楽サービス「LISMO」の拡張(LISMOオーディオ機器連携)、最新情報や各種ツールへのアクセスを容易にする「au one ガジェット」、端末上でのマルチタスクを実現する「マルチプレイウィンドウ」に対応する。
また秋冬モデルでは、ワンセグの品質向上を目指したとし、鮮やかな発色と引き締まった黒を表現できる有機EL搭載機を4機種ラインアップ。「W56T」と「W54S」は、ケータイ向けとしては初となる2.8インチの有機ELを搭載する。ほかにも有機ELのスリムモデルとして厚さ14.2ミリのWoooケータイW53H、液晶モデルのスリムモデルとして厚さ15.4ミリのW53Kを投入し、3インチワイドVGA液晶を備えたW54SAをワンセグ対応機としてラインアップする。
なおKDDIは10月18日、紙の年賀状の作成から投函までをケータイで行える「EZ ケータイPOST」を提供すると発表。KDDIコンシューマ商品企画本部 auサービス企画部長の竹之内剛氏は、デコメやプリクラを作成するような気軽さで年賀状を出せるとし、若者の年賀状離れに歯止めをかけたいと話した。なお、同サービスについては、季節の挨拶や引っ越し通知、海外からの投函にも対応させるとともに、Eコマースとの連携も検討しているという(10月18日の記事参照)。
Symbian Smartphone Show 2007開催
10月16日から、英Symbianが年次イベントの「Symbian Smartphone Show 2007」を開催。Symbian CEOのナイジェル・クリフォード氏をはじめ、端末メーカー、キャリアのキーパーソンが講演を行い、端末開発の今後について説明した。
英Symbianのナイジェル・クリフォードCEOは、Symbian OS v9.5に施した3つの強化点を紹介(10月17日の記事参照)。携帯電話の小さい画面に、大画面のようなエフェクト(効果)を出すことでユーザーの使い勝手を改善するグラフィックアーキテクチャ「ScreenPlay」、WiFi、3G/HSDPAなどさまざまなネットワークが混在する環境で最適なネットワークを自動で選ぶIPネットワークアーキテクチャの「FreeWay」、電流消費と熱放出の低減に貢献する「SMP」への対応で、携帯電話の利便性が高まるとした。
ドコモは同社のプラットフォーム「MOAP」のロードマップについて説明。講演を行ったNTTドコモ 研究開発本部移動機開発部部長の三木俊雄氏は、MOAPは今後、一般機能の部分を共通のミドルウェアプラットフォームとしてSymbian OSに統合する方向だとし、共通部分は他のオペレータらと協調し、「単一のプラットフォームに向かう」と述べた。FOMA独自の部分は、APIを定義することで対応し、他のオペレータもAPIを用意すれば独自機能を入れられるため、基本部分はグローバルで利用できると三木氏。これにより、端末メーカーには、グローバル対応の端末を開発しやすいというメリットをもたらすという。
イベント期間中には、米MotorolaがSymbian OS向けUIで知られる「UIQ」に出資すると発表し(10月18日の記事参照)、Nokiaはスマートフォン向けプラットフォーム「S60」にタッチスクリーン関連の機能を追加したと発表(10月17日の記事参照)。ユーザーインタフェースへの関心の高まりを印象づけた。
なおシンビアンは、日本でも11月7日に年次イベント「Symbian Summit Tokyo 2007」を開催。日本でSymbian OS搭載機を開発する富士通、三菱電機、シャープ、ソニー・エリクソン・モバイルのキーパーソンが端末開発の現状と今後について講演を行う。
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「チャレンジ2010」元年は好スタート――KDDIの上半期は増収増益
10月19日、KDDIが上半期の決算を発表。好調な携帯事業が牽引して、売上高は前年同期比8.1%増の1兆7343億円、営業利益は同8.8%増の2496億円で増収増益となった。同社では2007年を、通信業界の変革期に備えた新たな経営戦略「チャレンジ2010」元年と位置づけており、まずは好スタートを切った格好だ(10月19日の記事参照)。
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