「ホワイト家族24で家族。そして次は“学生”を」──“ホワイト学割”に込めたソフトバンクの思惑(2/2 ページ)
ソフトバンクモバイルは、学生向け割り引き策「ホワイト学割」を2月から期間限定で実施。980円/月のホワイトプラン基本料金を3年間無料にするとともに、パケットし放題の最低料金引き下げや専用の無料コンテンツ配信サービス提供といった優遇策を施す。同社がそこまでして“学生”を取り込みたい理由は何だろうか。
同時に、学生向け無料コンテンツサービス「コンテンツ学割クラブ」も開始
ソフトバンクモバイルがうまいのは、この割り引き策とほぼ同時期に、すべての情報料を無料にする学生向けコンテンツポータル「コンテンツ学割クラブ」も2008年3月1日に始めることだ。
コンテンツには、「タダが好きなソフトバンク(笑)」(孫社長)ならではの1万点以上のデコレメール(旧アレンジメール)用素材配信コーナー「タダデコ」や有名・人気コミックの1話を2100作品以上配信する「タダコミ」、携帯ゲーム1000本(1年後目標)を配信する「タダゲーム」、お笑い系のネタを配信する「タダネタ」(1年後に100本予定)、名作電子書籍を配信する「タダ本」(1年後に500本予定)、占い情報を配信する「タダ占い」、着うたデータなどを用意するほか、学生ユーザー向けクーポンやオーディション情報、アルバイト情報提供サービスなども行う予定としている。
アルバイト情報は携帯の位置情報を利用し、例えば「現在いる位置から30分以内の場所で、すぐ働けるアルバイトは?」といった具体条件から検索できる、LocationValueの「おてつだいネットワークス」と連携して行うサービスのようだ。以上同サイトの利用は、ホワイト学割に加入した学生限定となる。
これらサービスの情報料は無料。しかしパケット通信料は発生する。ホワイト学割利用者向けパケットし放題は、まったく使わなかった場合の最低料金が0円になる特典があるもの、1パケットでも(例えばメールを送受信する、Webサイトを閲覧する、など)通信すると5万2250パケットまで従量課金となり、以後は通常ユーザーと条件が一緒になる。パケットし放題の最低料金が引き下がる実質メリットは、1万2250パケット(通常契約時の“パケットし放題”最低月額料金である980円まで使えるパケット量)を超えないところまでと考えてよいだろう。
ホワイト学割ユーザー向け“パケットし放題”パケット料金の推移。1パケットから0.084円/パケットの従量制で展開。一般ユーザー向けパケットし放題下限の1万2250パケット(980円/月)からパケット料金の推移は同一になる
「学生ユーザーは携帯コンテンツ利用率も高く、ARPUも高い傾向」を月額料金を抑えられるメリットで訴求し、情報料無料のコンテンツをたくさん用意してもらう。仮にパケットし放題のパケット通信料が上限となる4410円(5万2500パケット以上)まで使うとなれば、同社としては単純計算で3年間のみ実質月額980円の割り引きとなるほどの減収ですむ(3年間の合計3万5280円が、新規学生1ユーザーを獲得し、3年契約してもらう費用として想定する計算もできる)。
もちろん無料コンテンツを展開する経費も別途かかるが、無料コンテンツを利用した後、別サイトで有料コンテンツを購入(例えばコミックを配信するタダコミが無料なのは1話のみとしている。2話以降は有料)することで発生する収入なども大いに想定している。
学生=数年後の有望ユーザーを一網打尽に
それでも、ユーザーにとってホワイトプラン分の月額料金が無料になるのは大きなメリットといえる。
例えば小・中学生向けに親への連絡専用機種を与える場合、一定期間のランニングコストがホワイトプランの月額料金分抑えられる。他社携帯の2台目(セカンド機、家族や友人との長期通話用など)としてソフトバンク携帯を新規加入したいと考える高校・大学生ユーザーもしかりである。ホワイト学割は同一名義で複数回線分適用できないものの、ソフトバンクモバイルの現学生ユーザーが2契約目として新規契約する際は適用できる。また、4月1日に現学生ユーザー向けの何らかの策を発表・開始する予定としている。
「ケータイ代を支払うためにバイトする……前からどうもおかしいと思っていた。家族に弱かったのをホワイトプランとホワイト家族24で一気に加入率を上げたように、ホワイト学割とコンテンツ学割クラブの開始で“学生に弱かった”を脱却し、学生累計シェア(=数年後の有望ユーザー)を上げたい」(孫社長)
例年、新規契約者増が見込める春の新生活商戦。近日発表するとみられる2008年春モデルを含めて、同社は学生ユーザーも取り込んで、いっそうの契約者増を画策している。
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