“Ovi”を軸にした、Nokiaのサービス&ソフトウェア戦略:Mobile World Congress 2008(2/2 ページ)
インターネットポータルブランド“Ovi”を軸に、現在Nokiaが特に注力すること──それが「サービス」。YahooやGoogleらが積極的にモバイル分野へ進出する中、Nokiaの戦略は。Nokia サービス&ソフトウェア事業部 プロダクトマーケティング担当副社長のレン・プライヤー氏に話を聞いた。
ITmedia 音楽では2007年末、無料の音楽ダウンロードサービス「Nokia Comes With Music」を発表しました。これについて、改めて教えてください。
プライヤー氏 Comes With MusicはNokiaが考える新しい配信モデルです。
NokiaはComes With Musicで、いくつかの端末にUniversal Musicの音楽を付けて提供します。対応端末を購入した人は、Universal Musicが有する約200万曲もの音楽カタログを1年間無料で利用できるという仕組みです。ダウンロードした曲はこの1年が経過した後も無制限に保有でき、PCを含め3機種まで利用できます。CDに焼いて保存したい時も微量の追加料金で可能とします。この取り組みは、他レコードレーベルとの提携も積極的に進めていきたいと思っています。
ITmedia Comes With Musicの対応端末は?
プライヤー氏 まだ発表していません。今後登場する新機種になり、2008年中に発表する予定です。
ITmedia 現在、多くのオペレーターが独自で音楽サービスを提供しています。それをふまえて、Nokiaがこの分野に進出することに対するオペレーターの反応は?
プライヤー氏 CDの売り上げは減少しており、デジタルに移行しています。Radioheadのような独自の販売方法を提供するアーティストも出てきています。Nokiaの音楽サービスはオペレーターの合意を取り付けており、あとは消費者がどう選択するかということになります。
ITmedia Share on Oviは、御社が買収したTwangoの技術をベースとしています。Nokiaのソフトウェア/サービスは買収戦略となるのでしょうか?
プライヤー氏 買収と社内開発の両方です。ソフトウェアとサービス事業を短期間で構築するには、この2つを柱とする必要があります。例えばNokia Mapsの場合、まずは買収し、Nokiaのリサーチセンターで進めていた交通情報観測などの技術を付加して展開します。
最新版の「Nokia Maps 2.0」では歩行者ナビゲーション「Walk」機能を提供するとともに、運転時ナビゲーション「Drive」は一般的なカーナビゲーションシステムレベルになっています。もちろん、それに付随するシティガイド機能も強化することで、シンプルに利用でき、かつ分かりやすいサービスになると思います。
ITmedia 「N-Gage」はどうでしょう。
プライヤー氏 N-Gageは、Nseries向けに最適化したハイエンドゲームプラットフォームで、ゲームコンソールレベルのエクスペリエンスを提供するものです。マルチプレーヤーによるネットワーク通信対戦にも対応し、携帯でよく利用されるJavaゲームとは大きく違います。
ゲームはN-Gageサイトからダウンロード購入できます。自分のスコアをWebにアップして競争するといったコミュニティ機能も用意します。
ITmedia Oviでは今後、そのほかにどのようなサービスが登場する予定ですか。
プライヤー氏 カレンダーやバックアップ、アドレス帳などのPIMツールも年内の投入を予定しています。また、PCとの同期・連携も当然、想定しています。
ITmedia ところで、Nokiaソフトウェア&サービス事業部のライバルはどこでしょうか。
プライヤー氏 ソフトウェアを開発し、モバイル端末に統合するところは全てといえるでしょう。Nokiaはインターネット事業やソフトウェア事業にも乗り出しており、ここにはたくさんのプレーヤーがいますからね。
成功の鍵は、インターネットとモバイル、PCを1つのエクスペリエンスとして、いかにうまく、自然に融合するかによります。
多くの企業はまずインターネットとPCにフォーカスし、その後でモバイルを付加していくことが多いと見受けられます。それに対してNokiaは「モバイルを最初から念頭に置いている」ことが強みです。Nokiaは当初からモバイルを含めた大きな構図を見ながら、この3つの軸を統合していく戦略です。
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