インタビュー

心に響く“シンプル”、それは簡単そうで最も難しいこと──「822P」開発陣に聞く「822P」(3/3 ページ)

厚さ8.9ミリの薄型ストレートボディに、美しいグラデーションカラーをまとった「822P」。その極薄ボディはどんな工夫で実現したのか、メーカーとして久しぶりのストレート型端末の開発にどのように取り組んだのか。パナソニック モバイルの822P開発チームに話を聞いた。

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「極薄だからこそ」見えないフレームで押しやすく

 ボディの横幅ぎりぎりまでを占め、かつ両端に曲面を持つダイヤルキー。これもパナソニック モバイルとして初めての取り組みだった。ボディはなるべくシンプルにしていこうというデザイナーの要求に対して、設計側が応えてくれたと羽田氏はいう。また、フレームレスキーを採用したため、滑らかで美しいグラデーションカラーも実現できた。

 「通常の折りたたみ端末でしたら、画面の大きさに合わせてキーの面積もやや大きく取れますが、822Pはストレート端末。キーピッチだけを考えてそのまま設計すると全長が長くなってしまいます。“長い”と感じてしまった瞬間、コンパクトというところから外れてしまうことでしょう。キーレイアウトはこのサイズにはこれしかないというところまで徹底的に詰めましたね」(羽田氏)

1ブロックずつ色味を整えたグラデーションカラーのダイヤルキー。操作性を考慮し、薄型端末に多く採用されるシートキーではなくボタン型を採用するとともに、クリア素材がカラーの奥行き感・高級感を表現する。裏に薄い金属製のキーフレームがキーを押した時のたわみを抑え、“カコッ”と感触よく操作できる。

 これは実際に操作してみるとよく分かる。フラットでキーサイズは決して大きくはないが、適度なクリック感があり、重量バランスも考慮されているためか、見た目より押しやすい。

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 「適度なクリック感は、人が感じる操作のしやすさに直結すると考えます。ダイヤルキーの裏に1枚、金属のフレームを挟み、ボタンの裏側を金属でしっかり支えることで、キーストロークを確保した設計となっています」(松村氏)

 「キーのクリック感については、開発陣の中でも常によくしたいと思っているテーマの1つです。こういう新しい形状でいいキークリック感を実現できた。我々としては目標を達成できたと思っています」(辻本氏)

 キーのクリック感は数値的な基準がある。しかし、折りたたみやスライド、ストレートなど、端末の構造や仕様によって“使いやすい”と思える値が違ってくるという。開発や製造の過程でそれぞれをチューニングすることになる。

スライド、Wオープン、ストレート……さて次は?

 

 極薄折りたたみ(P705i、P705iμ、705Pなど)、フラットスライド(P704i、810P)、さらにWオープンスタイル(P905i、920P)、そして822Pの薄型ストレート。パナソニック モバイルは、最近の国内の携帯にある各種のスタイルにプラスαの特徴を加えた端末を多数投入している。さらに、今後どのようなものが登場するのか、期待は膨らむ。

 「大画面との両立、ベネフィットとの両立を模索しているところです。新しい形状を出すかもしれないし、今の形の中で徹底した使いやすさを追求することもあることでしょう。色々な面から考えています。」(辻本氏)

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