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5分で分かる、先週のモバイル事情6月7日~6月13日

米Appleが「iPhone 3G」を発表し、日本中の話題をさらった先週。同日イー・モバイルも2008年夏モデル2機種を発表した。ドコモは7月1日から、バリューコース向けの料金プランタイプSS バリューの基本料金を下げ、基本料が半額になる割引を適用すると月額980円で利用できるようにする。

iPhone 3G登場、ソフトバンクが7月11日に発売

日本で7月11日にソフトバンクモバイルが発売する「iPhone 3G」

 6月9日(現地時間)、かねてからの噂通りAppleが、下り最大3.6MbpsのHSDPAに対応する「iPhone 3G」を発表した。

 iPhone 3Gは、マルチタッチに対応した3.5インチのタッチパネルディスプレイ、IEEE802.11b/g対応の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、200万画素カメラ、加速度センサー、環境光センサー、近接センサーといったiPhoneのスペックを継承しながらHSDPAネットワークに対応。A-GPSや公衆無線LAN、携帯電話基地局からの位置情報取得機能などの機能も装備する。内蔵メモリの容量は16Gバイトと8Gバイトの2種類を用意。背面のボディカラーは、16Gバイト版ではブラックとホワイトから選べ、8Gバイト版はブラックのみとなる。

 日本で7月11日からiPhone 3Gを発売すると発表した、ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、6月10日の早朝に配信されたニュースリリースで「iPhoneを販売することは、インターネットと携帯の融合を革新的に進めるアップルとソフトバンクモバイルのビジョンが一致することであり、胸が躍る思いです。世界中で熱狂的に受け入れられているiPhoneは、日本のお客様にも必ずご満足していただけると確信しています」とコメントしている。

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 iPhoneのマーケティングを担当するシニアディレクターのボブ・ボーチャーズ氏は、iPhone 3Gの開発にあたって、(1)GPSの搭載 (2)企業情報システムへの対応 (3)他社製ネイティブアプリの提供 (4)より多くの国での販売 (5)低価格での販売 の5つの課題があったと説明。この課題をクリアするために世界中の携帯キャリアと議論を重ね、納得できる経済モデルとビジネスモデルを実現したという。

 通信ジャーナリストの神尾寿氏は、日本でiPhoneが販売されることについて「黒船どころではない、津波」と分析。プロダクト(iPhone)の裏にある緻密な販売戦略やコスト構造、ビジネスモデルに触れ、「日本の携帯電話メーカー、そしてモバイル産業全体が、古い価値観や慣習を捨てて、新たな時代に適応する時期に来ている」と結論づけている。

 なお、韓Samsung電子は同日、iPhone対抗とみられる新端末「OMNIA」を発表している。

ドコモも基本使用料980円──「タイプSS バリュー」の価格改定

 ソフトバンクモバイル、auに続き、NTTドコモでも、月額基本料金980円でケータイを利用できるようになる。

 ドコモは7月1日から、バリューコース向けの料金プラン「タイプSS バリュー」「タイプSS 2in1」の基本料金を、従来の月額2100円から月額1957円に改訂。「ファミ割MAX50」や「ひとりでも割50」など、2年契約で基本料金が半額になる割引サービスに加入すれば、1050円の無料通話分が付く月額980円の基本料金で利用できるようになる。

 auもシンプルコースで選択できる新料金プランを用意しており、基本料金が最も安い「プランSSシンプル」に、2年間の継続利用が条件の「誰でも割」を組み合わせると、基本料金が月額980円(1050円の無料通話分付き)になる。

 月額980円という基本料金は、ソフトバンクモバイルのホワイトプランを意識した価格と思われるが、ドコモとauの場合は(1)2年間の継続契約(2)無料通話分が付く などの違いがある。

イー・モバイルが夏モデル発表

 6月10日、イー・モバイルが夏モデル2機種を発表した。1つはHTCの「HTC Touch Dual」をベースとしたWindows Mobile端末の「EMONSTER lite」。もう1つは中Huawei製の音声端末「H11HW」だ。EMONSTER liteはドコモの「HT1100」と似た外観を持ち、QWERTYキーボードの代わりにダイヤルキーを採用。タッチパネルには指を滑らせて操作する同社の独自UI「Touch FLO」を搭載した。サービスについては7月1日から、世界57の国や地域にイー・モバイル端末から電話をかけられる「イー・モバイル国際電話」サービスを開始すると発表した。

 発表会に登壇した同社会長兼CEOの千本倖生氏は、「iPhoneの独壇場の時代は終わった」「iPhoneなどのレベニューシェアモデルはオペレータにとってほとんど利益が出ない。共存しがたいビジネスモデル」「音声の時代はそろそろ終わる」「頭(基本料)だけ安い料金は、しょせん見せかけ」「日本の携帯、世界では孤立状態」──と、あいかわらずの“千本節”で、日本のケータイ業界を皮肉り、同社の夏モデルは「各社の大量の新機種や販売動向、今日発表されたiPhoneの動きも含めて、携帯のトレンドに大きく2つの流れが見えた。それをふまえた機種となる」と自信を見せた。

 このトレンドとは(1)機能を絞ったシンプル携帯と魅力的な料金の組み合わせで、初期費用とランニングコストを安価にする (2)“世界の流れ”に沿った端末(スマートフォン)の投入 という2点。夏モデルとすでに提供中の各種サービスや料金プランとの組み合わせで、さらなるシェアの拡大を目指す。

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