ソフトバンクモバイル陣営も「ISDB-Tmm」に――モバイルメディア企画が方針転換
MediaFLOからISDM-Tmmへ――。ソフトバンクモバイルの子会社であるモバイルメディア企画が、携帯電話向け次世代マルチメディア放送事業で採用する技術を、ISDB-Tmmで検討していくと発表した。同方式については、ドコモも事業の検討を進めている。
ソフトバンクモバイルの子会社で、モバイル機器向け次世代マルチメディア放送事業の検討を進めているモバイルメディア企画が、事業検討に当たっての放送技術をMediaFLOからISDB-Tmmに変更すると発表した。同社は2009年にも、ISDB-Tmm方式によるフィールド実験を開始するとしている。
ISDB-Tmm方式は次世代マルチメディア放送向け規格の1つで、ワンセグとの互換性を保ちながら、蓄積型コンテンツ配信などの新サービスを展開できるのが特徴。同方式については、NTTドコモもフジテレビ、ニッポン放送、スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、伊藤忠商事らと企画会社を立ち上げ、技術やサービスの検討を進めている。
ISDB-Tmm方式への変更は「国産技術を採用することで、業界全体でビジネスモデルの成立を目指せる」(ソフトバンクモバイル広報)という理由によるもの。また、電波の有効利用や、国民に平等にサービスを提供するという観点でも、同方式が適しているとした。
モバイルメディア企画は、2006年7月の設立当初には、もう1つのモバイル機器向け放送規格であるMediaFLOによる事業の検討を進めていた。当時は「ISDB-Tmmに比べて技術面で先行していた」(ソフトバンクモバイル広報)ことからMediaFLOを選んだが、現状では両規格とも同じOFDM方式を採用するなど、大きな違いがないことから方式の変更を決めたという。
今回のモバイルメディア企画の方針転換により、次世代マルチメディア放送事業でMediaFLOを推進するのは、KDDIとクアルコムジャパンが出資するメディアフロージャパン企画のみとなった。
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