KDDI、iPhone 4S販売開始 「これがすべての始まり」と田中社長
「auの下半期のテーマは『未来は、選べる』。iPhoneを出し、選べる環境がそろった」――原宿のKDDIデザイニングスタジオで行われた「iPhone 4S」即売会イベントで、KDDI田中社長がiPhoneへの思いを語った。
「auからやっとiPhoneが出る。本当にうれしく思う」――。KDDIは10月14日、「iPhone 4S」を発売した。原宿にあるKDDIデザイニングスタジオでは、即売会イベントが行われ、先着50人の整理券を入手した購入予定者が列を作った。同社の田中孝司社長も駆けつけ、iPhone販売にかける思いを語った。
田中氏は、「auからやっとiPhoneが出る。本当にうれしく思う。auの下半期のテーマは『未来は、選べる』。iPhoneを出し、選べる環境がそろった。ユーザーの要望にお応えできたと思っている」と力強くコメント。1年前から、同社がスマートフォン戦略に出遅れたことを会見などで認めてきた田中氏だが、「やっとここまでできた。これがすべての始まり」と話し、iPhone投入による「au復活」への期待を込めた。
7日に開始した予約販売の台数は明かさなかったが、「出足はけっこういい」という。2011年度のスマートフォン販売目標400万台は、iPhoneの投入により「当然上振れる」とみる。また、番号ポータビリティによる転入については、「僕らの感覚では全然多い。特に地方が本当に多い」とも話した。発売時点では全体の約4分の1のショップでしか販売していないが、10月末にも全auショップでの販売体制を整える考えだ。また、同社はAndroid端末の新ラインアップも順次投入しているが、iPhoneの発売を発表した後も、こうした端末の買い控えが起きていないと田中氏は話す。WiMAX搭載といったハイエンド指向のラインアップが「うまくはまっている」という見解だ。
iPhone 4SはKDDIだけでなく、これまでiPhoneを扱ってきたソフトバンクモバイルも販売するが、KDDIでは「iPhoneに、もっと『つながり』を。」というキャッチフレーズとともに通信品質の良さをアピールし、攻勢をかける。通信規格上の最高速度の理論値はソフトバンク版iPhoneがau版iPhoneを上回るが、こうした差はあくまでも「スペック上の話」と田中氏は説明。「これから速度が実測され、ネットでは比較の渦になるだろう」と、実測値に自信を見せた。また、混雑するエリアでの通信にも自信を見せ、「電波(アンテナピクト)があってもデータが来ないということがあると思うが、(auの回線では)データが流れるようになる」と話した。
一方、ソフトバンク版iPhoneが月額料金がKDDI版iPhoneより安い(64Gバイトモデルで550円差)という点にも田中氏は言及。「オプションなども含めれば、そんなに変わらないとも思う」とも話しながら、通信品質があっての価格であることに理解を求めた。「値引き合戦はしたくない」という考えも示し、「自信のあるネットワークにつないだら、世界がこんな風に変わるんだということを、体験してほしい」とコメントした。
イベントでは整理券を最初に手に入れたユーザーに田中氏が端末を手渡しするシーンもあった。端末を受け取った専門学校生で20才の新川保成美さんは、くしくもソフトバンクモバイル版iPhoneからの機種変更だ。乗り換えた理由は「電波がいいと聞いたので!」。これまでは「家の中が圏外で、ベランダに行かないと行けないことがあった」のだという。こうしたプロフィールを当日知ったという田中氏は「こうなってしまうとヤラセのようだが、本当にやらせではない」と強調した。
田中氏は1984年にMacintoshを購入し、現在もiMacを使っているという、Apple製品ユーザーとしての一面も持つ。iPhoneに関しては「個人的には好きなんですよ。アプリというより、動きが好き。ユーザーエクスペリエンスの部分。使ってみて少し気持ちいい、その少しが満足度につながっていると思っている」と感想を述べ、最新のOSであるiOS 5により「面白い世界が始まっていく」と期待する。
iPhone販売に向けた準備は「短期間」だったが、Eメール(@ezweb.ne.jp)やSMS(Cメール)への対応も果たし、「よくここまでこれた」と田中氏は振り返る。一方で、一部の機能(iMessageとFaceTime)が発売時には動かないことについて、「今後のアップデートで対応していきたい」とした。また、販売体制に関しては、「僕らとしてはスタートポイント。スタッフが慣れていない部分もある。他社さんは慣れているが、我々も早く学び、素晴らしいデバイスを販売していきたい」と話した。
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