「従業員満足度」「シナジー」「外国人スタッフ」 携帯ショップで業績を上げる工夫:ワイヤレスジャパン 2018(1/3 ページ)
「ワイヤレスジャパン2018」で「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」が開催。近年、さまざまな業界で人手不足が問題視されているが、携帯電話販売代理店も例外ではない。どのように優秀な人材を確保して業績を上げているのだろうか。
「ワイヤレスジャパン2018」では、恒例の「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」が開催された。近年、さまざまな業界で人手不足が問題視されているが、携帯電話販売代理店も例外ではない。今回のセミナーでは、ドコモ、au、ソフトバンクの販売代理店を展開する3社の人材確保に対する取り組みが紹介された。
「ESなくしてCSなし」
まずは、経営人材育成のコンサルティングや教育研修を提供しているイマージョンの藤井正隆社長が、ドコモの販売代理店を全国に展開しているコネクシオの事例を紹介した。
コネクシオは、藤井氏が運営に携わっている「第8回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞」で厚生労働大臣賞を受賞した企業だ。同賞は応募資格のハードルが高く、審査も客観的なデータに基づき厳密に行われているという。
コネクシオが受賞した最大の理由は、「ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし」という姿勢だという。4年前から働き方改善活動に取り組み、約2000人の非正規社員を正規社員化。正社員比率が76%と業界の平均をはるかに上回っていることや、月間の残業時間の平均が19時間程度と少なめなこと、障がい者雇用率が2.43%と高いことなどが評価された。
長時間労働で疲労が蓄積し、勉強の時間も取れずに仕事に対するモチベーションが低下し、業績が悪化するという悪循環のサイクルが続く企業が多いが、コネクシオは好循環サイクルを実現している。その要因の1つとして、コネクシオはいろいろな企業が合併し、女性、障がい者、高齢者を含む、さまざまな文化背景を持つ社員が集まっていることがあると藤井氏は分析する。
合併当初は34%だった正社員比率は、2017年度に76%に上昇。全ショップで働き方の改善提案を発信し、業務の見直しや多彩な勤務形態、7連休などを実現している。キャリアショップは女性スタッフの多い職場で、出産をきっかけに退職することも多いが、産休前の研修や面談などでフォロー。復帰後のケアも充実している。
藤井氏が「びっくりした」というのが「変形労働制」(労働時間を1日単位ではなく月・年単位で計算する制度)を導入し、定着させていることだ。「小売業で変形労働制を導入しているのは19%。多くはうまくいっていない」という変形労働制だが、コネクシオはショップの繁閑やスタッフ本人の都合を考慮してシフトを組み、できるだけ自由に働けるようにした。
コネクシオでは、シフトのアプリケーションに細かくイベントを登録し、来客数を予測しているが、この予測の精度が高いという。また、スタッフの事情も登録し、約600パターンから最適なシフトを作成する。「制度ありきではなくて、人ファーストで考えていることが、うまく行っているポイント」と藤井氏は指摘した。
スマートフォン教室などではベテランスタッフが講師として活躍。出張ケータイ教室も行って地域社会ともつながりを持っている。こうしたことはコスト増が心配されがちだが、業績も上がっているそうだ。
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