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「Ponta」と「スーパーアプリ」でポイントがたまりやすい仕組みを au PAYの戦略

KDDIが1月28日に「au PAY発表会」を開催し、決済や金融にまつわる戦略を披露した。「au WALLET」アプリを「au PAY」アプリに変更し、日常生活の入口になる「スーパーアプリ」化を目指す。キャンペーンに加え、共通ポイントのPontaや他の金融サービスとの連携によってポイントをたまりやすい仕組みも強化する。

 KDDIが1月28日に「au PAY発表会」を開催し、決済や金融にまつわる戦略を披露した。

 2020年1月時点で、au WALLET ポイントを保有する会員は2800万超、モバイル口座数(au PAY残高を保有する会員数)は2200万超を数える。KDDI取締役執行役員専務 パーソナル事業本部長の東海林崇氏によると、au PAYの決済やポイント獲得などの体験量が増えるほど、満足度や推奨度の指標となるNPS(ネット・プロモーター・スコア)が上昇することが分かったという。


au PAYを体験するほど、満足度が上がるという

 さらに、2020年5月からはau PAYにPontaを統合し、au WALLET ポイントはPonta ポイントになる。Pontaの9300万を超える会員数を合わせると、「au PAYで1億超の会員基盤が誕生する」と東海林氏はアピールする。

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au PAYの決済とPontaのポイントを統合することで、1億を超える会員基盤を手に入れたことになる

ポイントが使える店鋪もPonta分が増える

 同時に、au WALLETブランドはau PAYブランドに変更し、アプリやカードは「au PAY」を冠するブランドに変更する。


「au WALLET」アプリは「au PAY」アプリに

各種カードやWowma!も「au PAY」を冠した名前に変更される

 特に大きな変化が訪れそうなのが「au WALLET」アプリ改め「au PAY」アプリだ。現在のau WALLETアプリも、チャージ、個人間送金、出金、ポイントを使った投資信託、外貨預金、ローン、保険などのサービスの入口として機能しているが、日常生活全ての入口になる「スーパーアプリ」を目指すとしている。


多様な金融サービスを取り入れた「スーパーアプリ」を目指す

 直近のアップデートとして、2020年3月から、請求書のバーコードを読み取って公共料金などを支払える機能を追加する。同じく3月から、auでんきで毎月支払う金額を設定し、実際の料金が下回った際の差分を投資信託で資産運用に回す「おつり投資 for auでんき」を提供する。2020年度上期には、「au WALLET クレジットカード」改め「au PAY カード」を使ったオートチャージにも対応する予定。


バーコードを読み取って支払える「請求書支払い機能」

電気料金のおつりを投資できる「おつり投資 for auでんき」

au PAY カードを用いたオートチャージ機能

 UI(ユーザーインタフェース)の改善にも努める。現在のau WALLETアプリでコード決済をするには、アプリを立ち上げて「au PAY」を選ぶか、バーコードの画面をショートカットに設定する必要がある。2月4日にau PAYアプリに名称変更とアップデートをするタイミングで、支払い用のバーコードをアプリトップ画面に表示されるようにする。

 あわせて、同日からau PAYで一度に決済できる上限が、現在の4万9999円(税込み)から25万円(税込み)にアップする。後述する毎週10億円を還元するキャンペーンでは、最大3万ポイント×2、最大1万ポイントを3回に分けて還元するが、15万円の支払いをして一気に3万ポイントの還元を受けることもできる。


2月4日にアップデートされる予定のau PAYアプリ。トップに支払い用のバーコードが表示される

 スーパーアプリ化を目指すに当たり、auフィナンシャルホールディングスの勝木朋彦社長は「(auフィナンシャルホールディングスが持つ)金融サービスがフルラインアップで整っているので、これをau PAYに投入していく。au PAYアプリで、日常生活を快適に送り、将来設計も安心してできるようにしたい」と意気込みを語った。


KDDIは金融サービスをワンストップで提供する「スマートマネー構想」を掲げている

au PAYアプリを、より簡便なものにしていくという

 一方で、au PAYの利用をさらに増やすべく、総額70億円を還元する大規模なキャンペーンを2月10日に開始する。

 東海林氏によると、キャッシュレスを利用するアンケート調査の結果、利用すると答えた理由で挙がるのが「利用できる店舗が多いこと」と「安全であること」に加え、「ポイント還元や割引特典があるから」の3つが上位に挙がったという。今回は3つ目に着目し、大型キャンペーンにつながった。

 競合サービスの「PayPay」や「d払い」も20%以上を還元するキャンペーンを継続しているが、利用できる店舗がコンビ二エンスストアやドラッグストアに限られることが多い。今回のau PAYのキャンペーンは、au PAYの加盟店ならどこでも対象になる他、還元額も期間中で合計7万円相当までと大きい。


毎週10億円を還元するキャンペーンを2月10日から実施

 さらに東海林氏は、ローソンでau PAYのキャンペーンを別途展開することも予告した。


ローソンでは独自のキャンペーンを実施予定とのこと

 キャンペーン後もどうau PAYを継続して使ってもらうかについて、KDDI ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部 副本部長の中井武志氏は「(キャンペーンで)ポイントが戻ってきて、そのポイントをさらにチャージする、5月に開始するPontaとの連携でさらにたまる、金融との連携でもたまる……という風に、ポイントの循環が生まれる。ポイントジェネレイトで刺激を与え、継続的に消費してもらいたい」とコメント。キャンペーンだけでなく、共通ポイントのPontaや他の金融サービスとの連携によってポイントがたまりやすい仕組みを強化することで、au PAYの利用意向を高めていく考えを示した。

 なお、KDDIはFeliCaを用いた非接触決済や物理カードを使ったサービスも提供しているが、キャッシュレス比率を高める上で、コード決済のユーザーを増やすことが得策と考え、現在はアプリやキャンペーンを含め、コード決済に注力していく。ライバルのPayPayやd払いもコード決済が主戦場のため、そこで真っ向勝負を続けていくようだ。


左から東海林氏、ゲストの菜々緒さん、勝木氏

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