KDDIがみなとみらいにセミセルフ機種変更ショップをオープン――改めて考えたい「事務手数料」の意味:石川温のスマホ業界新聞
KDDIの直営店「au みなとみらい」がリニューアルオープンした。目玉は、機種変更を最短20分で済ませられるセミセルフサービスだが、これを通して思ったのは「事務手数料」のあり方だ。
KDDIは神奈川県・桜木町駅前の直営店「au みなとみらい」を8月26日にリニューアルオープンさせる。その際、オンラインとリアル店舗を組み合わせ、機種変更の手続きを最短20分で行えるサービスを提供するという。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年8月22日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。
ユーザーはショップ来店前に、自分のスマホから、サイト上でいくつかの質問に答えることで、最適な機種と料金プランの提案を受けることができ、あらかじめ決めておくことが可能。あとはショップ店頭で、不明点を解消しつつ、機種変更手続きをセミセルフの形式で進めていく。
実際にデモを見せてもらったが、サイト上での質問項目が、結構、難しく、「これって、ユーザーが自分で決められるのかな」というものばかりだったような気がする。
ユーザーの利用状況に応じて料金プランを決めていくものだが「1日あたりSNSや動画はどれくらい使うか」と聞かれて、きちんと答えられる人はなかなかいないだろう。日によって使い方も異なるのが人間というものだ。
そんなこと、自分で申請させるくらいなら、iPhoneであれば「スクリーンタイム」という機能があるのだから、そこをユーザーに確認してもらい、その数値を打ち込んでもらえさえすれば、出てきた料金プランにも説得力があるというものではないか。自分のなんとなく利用イメージよりも、分単位でどのアプリを使ったかの入力したほうが、スムーズではないか。
そもそも、auは料金プランが多すぎて、選ぶのが難しいという欠点もある。その点、楽天モバイルは料金プランが一つしかないので、「選ぶ余地がない」という点でユーザーには優しいのかもしれない。
ただ、料金プランに関しては、サービス開始当初こそ1つしかなくても、競争上、時間が経てば必然的に増えていくものだ。楽天モバイルも将来的に料金プランが増えたときにどう対処するかが課題だろう。
auみなとみらいは機種選びも、サイト上の質問に答える形で決めていくが、そもそも機種選びこそ、店頭で実機を触りつつ、店員さんのアドバイスが欲しくなるものではないか。サイト上で機種を決め打ちしていくのではなく、これこそ店頭で検討できる仕組みがあったほうがよさそうだ。
また、今回デモを見た限り、結構、ユーザーが答える手間が多く、また店頭でも自分でやらなきゃいけないことが多かったりする。自分だったら、これで「事務手数料」が請求されるのが、ちょっと納得いかないかもしれない。
そもそも、オンラインショップで機種変更の手続きに関して店頭と同じ手数料を取るのもどうかと思う。
ショップの店員さんを拘束し、手続きをしてもらうなら「手数料」が発生しても何らおかしいとは思わないし、支払うのは当然だが、セミセルフであそこまでユーザーに負担を強いるなら、手数料が無料とはいかないまでも、ちょっと安くなるとかのモチベーションがないことには、なかなか普及しないのではないだろうか。MNPの手数料が総務省の有識者会議で槍玉に挙げられているが、「事務手数料」の意味を改めて考える時期に来たのかもしれない。
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