スマホ完結の「みんなの銀行」が5月に始動 デジタルネイティブ世代に訴求(1/2 ページ)
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行が、5月下旬の事業開始に向けて「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への接続を1月4日に開始。みんなの銀行はデジタルネイティブ世代をターゲットにした次世代のデジタルバンク。全てのサービスがスマートフォン上で完結することが特徴だ。
ふくおかフィナンシャルグループ傘下のみんなの銀行が、5月下旬の事業開始に向けて「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」への接続を1月4日に開始。それを踏まえた説明会が14日に開催された。みんなの銀行はデジタルネイティブ世代をターゲットにした次世代のデジタルバンクとして、「全てのサービスがスマートフォン上で完結する新しい銀行」(ふくおかフィナンシャルグループ取締役会長兼社長の柴戸隆成氏)として開業する。
キャッシュカードなし、スマホだけで口座開設や取引が可能
みんなの銀行はデジタルネイティブ世代をターゲットに、スマートフォンアプリで口座開設から各種金融サービスの利用まで対応する。申し込みのために書類などを送付する必要はなく、通帳やキャッシュカードもない。口座開設ではeKYCを用いることで、スマートフォンだけで申し込みができる。
申し込みだけでなく、ビデオ通話機能を使ってオペレーターが本人確認をするため、その場で開設まで行える。みんなの銀行の永吉健一副頭取は「24時間365日、いつでも口座開設が完了して、その場で使い始められるのは恐らく日本で初めて」と話す。
キャッシュカードもないため、現金の入出金にはセブン銀行のATMを活用。QRコードを使ってセブン-イレブン店頭のATMで入出金ができる。アプリもグラフィカルでシンプルな操作性を追求。「できるだけ片手で操作できるように設計している」(永吉副頭取)という。
貯蓄口座も開設され、自由に名称を決めて預金口座から資金を移動できる。これもドラッグ&ドロップで簡単に操作できるようにしたという。アグリゲーション機能の「Record」機能も備え、複数の口座、クレジットカード、投資などの取引記録を読み込んで表示することも可能。各取引に「ハッシュタグ」を付けたメモを書き込み、後から検索することもできる。
JCBのブランドデビットカードが自動的に発行されるが、これも物理カードはなく、アプリ内で発行するバーチャルカードとなる。Apple PayやGoogle Payにも登録できるため、スマートフォンのタッチで店頭での支払いも可能だ。
これに加え、「プレミアムサービス」として月額課金のサブスクリプションモデルも提供(料金は現時点で非公開)。振り込み、ATMの出金手数料が指定回数無料になる、キャッシュバックの還元額が増えるといったサービスに加え、無利息で5万円までの貸し越しサービスも利用できるという。
既に主要なサービスの実装は終了しているが、アグリゲーションやバーチャルデビットカードなど、5月のサービスインに向けて機能の追加をしている最中だという。さらに開業後も、「最初は小さく作っているので、どんどんサービスを拡張していく」(永吉副頭取)計画だ。
BaaS事業も展開、銀行免許のない事業者も金融取引が可能に
こうした個人向けのサービスに加え、BaaS(Banking as a Service)事業も展開する。みんなの銀行では全てのサービスがAPI化されており、銀行免許のない事業者が金融取引を行えるようになる。既に90~100社のパートナーと話し合っており、例えば「小売では、買い物をしてその場で即時にローンができるような仕組みや、ポイントサービスにコストがかかっているので、その運用コストを軽減する仕組み」(横田浩二頭取)といったニーズがあるという。
これを実現するために、みんなの銀行は勘定システムをゼロから開発。従来のようにベンダーが提供する汎用(はんよう)パッケージをカスタマイズして使うと、「(開発)スピードが落ちてコストも高くなる」(横田頭取)ためで、7社のベンダーの提案から、「世界一の技術力がある」という理由でアクセンチュアを選択。「日本で初めてパブリッククラウド上の勘定システムを全銀システムに接続した」という。ソニー銀行が2022年度の本番稼働に向けてAWS上に勘定システムを構築しようとしているが、それに先んじて同社はGoogle Cloud上に勘定システムを構築した形だ。
横田頭取は「アクセンチュアはめちゃ高い」と正直に語り、内製化も進めていくという。それによってコスト競争力も高めていくが、「どちらかというとテクノロジー、エンジニアリング(重視)なので、新しい機能やアプリをどんどん開発していく。一概にローコスト、LCC的な運営をしたいとは思っていない」と横田頭取は話す。
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