可変式望遠レンズだけじゃない 「Xperia 1 III」のカメラはココが変わった(1/2 ページ)
ソニーのフラグシップモデル「Xperia 1 III」はカメラが大きく強化された。焦点距離を70mmか105mmに切り替えられる可変式望遠レンズを搭載。AI超解像ズームとリアルタイムトラッキングAFにも期待したい。
ソニーのフラグシップ機Xperia 1の3代目「Xperia 1 III」が登場した……のはいいけど、「可変式望遠レンズってナニ?」とか、望遠以外は強化されたの? とか気になった人多かったんじゃないかと思う。
でも、ソニーは別途カメラ機能の説明会を(オンラインで)開催してくれたのである。そこでカメラについて基本的な解説をしてもらったのでここでお伝えしたい。挿入する図版は全てソニーのプレゼン資料である。
可変式望遠レンズってナニ?
まずは基本的なところから。
Xperia 1 IIIのカメラ部分、見た目はXperia 1 IIのカメラと変わらない。位置やサイズは微妙に違うけれどもデザインは同じだ。
超広角カメラは35mm判換算の16mm相当で1/2.6型のセンサー。広角カメラは24mm相当で1/1.7型と大きめのセンサー。その下に、Xperia 1 IIで搭載された3D iToFセンサーがある。このセンサーはAFの速さや正確さを上げている。
注目は望遠カメラだ。
望遠カメラがフルリニューアルしたのである。
注目すべきポイントは2点だ。
1つ目はソニーがいう「可変式望遠レンズ」。「可変式」って何? 普通の「ズームレンズ」とどう違うの? スペック表には「70〜105mm」じゃなくて「70mm、105mm」と書いてあるけど、どういうこと? 気になるよね。
尋ねたところ、レンズの構造としては「ズームレンズ」と同じ。複数枚のレンズがある中の一群が動くことで焦点距離を変える。ただ、70mmと105mmの両端でだけとどまるように作ってあるのだ。ボタン1つで70mmと105mmが切り替わるのである。その方が精度や速度を上げられるのだろう。
カメラの世界でいう「ステップズーム」「70mmと105mmの2ステップのみのズーム」なのだ。だからその間……例えば、90mmで撮りたいときは70mm+デジタルズームとなる。
ポイントの2つ目は画質の向上。レンズは望遠になるほど長く(厚く)なる。薄いレンズで望遠を実現しようとするとセンサーを小さくしなきゃいけない。センサーが小さいと画質が落ちる。
実はXperia 1 IIで不満を覚えたことの1つがそこだった。広角カメラの高画質っぷりに対し、望遠カメラのクオリティーがいまひとつだったのだ。
今回、屈曲光学系(ペリスコープ型)にしてレンズを横方向にボディー内に収めることでレンズを長くし、センサーサイズが1/3.4型から1/2.9型にちょっと大きくなった。
さらにレンズのF値も70mm時はF2.3、105mm時はF2.8とちょっとよくなった(Xperia 1 IIは70mmでF2.4)。センサーサイズと新しいレンズで画質の向上が期待できそうだ。
カメラは3つで焦点距離は4つ。使う側としては、4つの焦点距離を切り替えて使うカメラになり、より望遠に強くなると思えばよさそうだ。
AI超解像ズームとリアルタイムトラッキングAFに期待である
実はもう1つ、Xperia 1 IIを使って不満を感じた点があった。それは広角の24mmと望遠の70mmの「間が空きすぎているんじゃね」ってこと。
Xperia 1シリーズが本格的なカメラを目指すのなら、標準レンズといわれる50mmやそれに次いでポピュラーな35mmあたりが欲しい。Xperia 1IIは24mmと70mmの間がデジタルズームになるので、35mm判換算や50mmでの画質がイマイチだったのだ。
ソニーはそこをデジタルズームの改良で対処してきた。「AI超解像ズーム」と称する、AIを駆使したデジタルズームで画質を向上させたのだ。これは実機を手にする機会があったら真っ先にチェックしたい。
もう1つ特筆すべきは、リアルタイムトラッキングAFの搭載。
Xperia 1 IIは超高速AFとAF追従の高速連写がウリで、IIIもそれは同様。この2つがより生きるのは望遠時なので、望遠側を105mmに伸ばしたのはすごく分かる。
そこに待望の「リアルタイムトラッキングAF」が搭載されたのだ。
最近のα7を使っている人なら分かるのだけど、被写体を指定するとそれをずっとリアルタイムで追いかけてフォーカスを合わせ続けてくれる機能で、これが実に便利なのだ。
今まではリアルタイム瞳AFだけだったが、今回はどんな被写体に対してもリアルタイムAFが可能になるので、子どもとかペットとか電車とか動くもの、じっとしていないものを撮りたいときにいい。撮りたいものをタップしたら追いかけてくれるのはなかなか楽しいのだ。
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