社長と2人で開発 ピーアップがニッチなスマホを作り続ける理由(2/3 ページ)
併売店の「テルル」を運営するピーアップが開発したMode1シリーズは、着実にラインアップを増やし、販路も徐々に広げている。2015年12月に発売した初代Mode1から丸6年がたった今でも、変わらず端末を投入し続けている。Mode1シリーズは1機種を除き、あくまでピーアップの独自設計で開発しているという。
あえて既存メーカーとはかぶらない路線で勝負
―― Mode1シリーズは、どういったコンセプトの端末なのでしょうか。ラインアップにはMode1 RETROやMode1 GRIPなど、変わり種も多いように見えます。
梅澤氏 テルルという販売店があり、さまざまなメーカーのご協力のもと、端末を販売しているため、自社端末とはいえ、他社に迷惑を掛けるわけにはいきません。それもあり、なるべく他社とかぶらず、隙間的な部分はどこかを常に模索しながら出しているというのが正直なところです。ハッとするようなカテゴリーの端末を出しているのは、その一環です。普通の端末なら、大手メーカーの出しているものでいいじゃないですか(笑)。明確な差別化で、お客さまに納得してもらえるラインアップにしています。
通常のラインは初代、Mode1 RS、Mode1 RRという流れできていますが、こちらはレーシングをコンセプトにしています。これに対し、ニッチなラインの1つ目がMode1 RETRO、2機種目がMode1 GRIPになります。この2機種に関しては、モーターサイクルというコンセプトも外した、遊び心のある端末になります。
―― レーシングをデザインコンセプトにした通常ラインと、ニッチなライン、どちらの方が反響は大きいですか。
梅澤氏 大画面が好きというニーズと、小さい端末が好きというニーズは全く違うので、どちらとは言いづらいですね。
―― 「+Style」や家電量販店など、テルル以外でも販売していますが、販路を拡大していくお考えはありますか。
梅澤氏 近くの店舗で購入したお客さまも、最終的に何かあったらテルルに駆け込んでくれればいいというのが私の中の構想です。どこで購入されてもユーザーはユーザーなので、最終的にサポートができればいい。ですから、販路が増えるのは問題ないと考えています。
コンパクトだけど普段使いができるサイズ感に
―― ニッチではありますが、横幅の狭い端末には「Rakuten Hand」もあり、Mode1 GRIPは一般受けもしそうな気がしました。なぜこのサイズ感の端末を開発しようと思ったのでしょうか。
梅澤氏 Mode1 GRIPは、小さいけど小さくない端末です。コンパクト系の端末では、3型のものから4型までのものが他メーカーから出ていますが、一言で言えば普段使いができません。それに対し、この端末は普段使いできることを目指しています。
設計時には厚みも考えました。板状のスマートフォンはケツポケ(お尻のポケット)に入れるのはNGですが、このサイズなら女性のジーンズにも入ってしまいます。危ないのであえて入れてくださいというメッセージは出していませんが、この厚みになったのもねじれ剛性を高めるためです。電源ボタンが上すぎると言われることはありますが、これも下にありすぎると落としやすくなってしまうからです。
―― 一方で、ここまで縦長のスマートフォンは、あまりないと思います。特殊なアスペクト比だと、アプリやサイトによっては、表示が崩れてしまうことはないでしょうか。
梅澤氏 やはりありますね。こればかりは、各アプリの開発者の考え方次第になってしまいます。Googleの出している統一規格で開発していれば本来、崩れるようなことはないはずですが、少し間違えるというそういう現象が起きてしまいます。特殊なサイズで出しておいて何を言っているんだと言われてしまうかもしれませんが、アプリ側の問題です。携帯電話はただの箱で、信号をそのまま表示するしかありません。
アプリの開発者はメインとしてまずiPhone用のものを作り、次にAndroidのものを作るということが多いのですが、そのときに調整している端末も、大体がソニー、シャープ、サムスンという感じです。その比率で作ってしまうということでしょうね。
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