船乗りの視点で「G'zOne TYPE-XX」をレビュー 船上でどこまで使える?:勝手に連載!「海で使うIT」(2/3 ページ)
京セラ製「G'zOne TYPE-XX」は、船の上でも有用で、コンパスや潮汐情報の表示など、アウトドアでの使用に耐えうる機能が多い。実際にヨットに乗り、使い勝手を評価してみた。
船で使うコツはこれだ
OUTDOOR APPSも含めてG'zOne TYPE-XXは多種多様なアプリを用意しているが、その中で、アウトドアの道具として実質的に役立ちそうなのは以下のアプリだ。
- auナビウォーク(auスマートパス)
- コンパス(OUTDOOR APPS)
- BAROMETER WEATHER
- TIDE
- 簡易ライト
- サイレンサウンド
auナビウォークは簡易的なGPSプロッターとして使える。測位精度も低くない。自分の測位点から任意の場所を指定して直線距離をリアルタイムで表示することや、「降雨レーダーマッピング」機能を利用して雨が降る場所と時間を予測することもできる。一方で、自分の移動速度は表示できない。また、auナビウォークで充実している乗り換え経路検索や周辺地域情報は、野外行動におけるGPSプロッターとしてはあまり役には立たない。
コンパス機能は特に小型船舶の操船時に活用できる。とはいっても自分の針路を把握するためというよりは、ハンディコンパスの代わりとして地文航法や他船との衝突を回避するための方位測定として利用する機会が多いだろう。ただ、この場合は方位を正確に、かつ、継続して測定し続けることが必要になる。コンパス機能の目盛が1度単位なので測定精度も1度単位で保ちたいところだが、測定対象を捉える照準の基準が用意されていない。そのため、照準を自分で用意する必要がある。
BAROMETER WEATHERは、本体に備えた気圧計で測定した気圧の時系列変化から天気を予測する。気圧の測定はOUTDOOR APPSのBAROMETERでもできるが、BAROMETER WEATHERでは「セット」する(センターキーを押す)と気圧時系列変化グラフにその時点の気圧を基準にした赤い横線が表示される。この気圧を基準に気圧が上がっているのか下がっているのかの変化が分かりやすく示されるので、気象の知識があれば天候の変化を察知できる。
なお、OUTDOOR APPSにはBAROMETERもあって、こちらでは気圧の値を表で示すメニューを用意しているが、気象変化の予測に効果的なのは気圧変化の傾向なので、そういう意味では視覚的の把握しやすいBAROMETER WEATHERで事は足りる(そもそも細かい値を示されても、校正していない観測機器の測定値に精度を求めるのは難しい)。
Tideも小型船舶の操船では意外と役に立つ。釣りのための情報と思われがちな潮汐情報だが、船型的に速度が遅くエンジン出力にも制約があるヨットでは、潮流の速さや方向で同じ時間でも航行距離に大きな違いが出る。そのため、潮汐情報から潮流の状況と変化を推測して針路や速度、航路を適宜判断することになる。このとき、操船している手元で調整情報を確認できるTideは便利だ。また、同様にTideで確認できる天文関連情報、特に日没時間は航海計画の判断材料として重要であると同時に、航海灯の点灯時間を知っておくためにも必要だ(日没と同時に航海灯を点灯する決まりになっている)。
簡易ライトとサイレンサウンドも小型船舶では重宝する。ただ、それは夜間航海時の照明や連絡手段としてではなく(夜間航海における照明として使うには赤色フィルターに準ずる機能が必要だし、発光信号として使うならば点灯消灯に使える“ハードウェアボタン”が欲しい)、落水もしくは遭難において自分の場所を知らせるために使うことになるだろう。
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