LINEとみずほFGが新銀行「LINE Bank」プロジェクトを中止 期待に添うサービスの提供が困難と判断:準備会社は清算へ
LINEとみずほフィナンシャルグループが子会社を通して設立の準備を進めていたネット銀行「LINE Bank(仮称)」。しかし、両社は安全性と利便性のバランスを取ることが困難であると判断し、設立を取りやめることになった。準備会社は清算と解散の手続きに入ることになる。
LINEとみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)は3月30日、両社の子会社が準備を進めていた新銀行「LINE Bank」(仮称、以下同)の設立プロジェクトを中止することを発表した。設立準備会社(※1)である「LINE Bank設立準備」については、解散と清算の準備を進めていくという。
(※1)開業日(あるいは事業の継承日)から事業を迅速に開始するために準備するための会社。銀行業のように開業に免許/許可/認可が必要な事業の場合、その申請から承認までに時間を要するため、開業に先んじて会社を新設、あるいは休眠会社(12年以上事業を行っていない会社)を復活させた上で申請を行うことが一般的である
プロジェクトの経緯
LINE Bankは、LINEとみずほFGが2020年度の開業を目指していたネット専業銀行である。合意の基づき、両社はLINE Financial(LINEの金融子会社)とみずほ銀行(みずほFGの普通銀行子会社)を通してLINE Bank 設立準備を設立し、開業の準備を進めてきた。
LINEとみずほFGは2018年11月、LINE Bank(仮称)の設立に向けて基本合意に至り、発表会を行った。この合意に基づき、2019年5月にLINE Financialとみずほ銀行の共同出資で準備会社としてLINE Bank設立準備を設立した
LINE Bankでは、LINEが提供する「LINEアプリ」のユーザー基盤と、みずほ銀行のノウハウを融合し、LINEアプリで全てが完結する“スマホ銀行”の実現を目指してきた。しかし、LINEとみずほFGが事業の再検討を行った所、安全・安心で利便性の高いサービスを提供するためにさらなる時間と投資が必要であると判明。ユーザーの期待に添うサービスの提供が現状では見通せないため、プロジェクトを断念することにしたという。
なお、LINEとみずほFGは既に、LINE Creditを通して個人ローンサービスの共同事業を展開している。これについては、今後も継続される。
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