ChatGPT×LINEのサービスが急増 “スマホ視点”で対話型AIとの向き合い方を考える(2/3 ページ)
画像・動画・3Dデータ・音楽・テキストなど、さまざまなコンテンツを一瞬で生成できるサービスが、既に市場にあふれている。AIチャットサービスをスマートフォンからも簡単に扱えるサービスも増えてきた。対話型AIサービスに対して、どのように向き合えばいいのかを考えてみたい。
LINEでAIチャットサービスを使った感想
では、ユーザー視点まで降りた場合、こうしたサービスの使用感はどうなのだろうか。ここでは「AIチャットくん」を中心に、いくつかのAIチャットサービスを試用してみたので、それらを俯瞰(ふかん)したインプレッションをお届けしたい。
ちなみに、「AIチャットくん」に関しての概要と詳細な使用感は、別途紹介している。
そもそもスマートフォンの「LINE」を何に使うかと考えたとき、筆者の場合は、家族や親族、親しい友人との連絡手段がメインだった。その他のSNSのDM類と比べると、より“近さ”のあるコミュニケーションツールに思える。そういう意味で、プラットフォームの特性とAIチャットとの相性はなかなかいいと思う。風呂上がりのちょっとした時間でも、電車に乗って移動している最中でも、フランクにAIに語り掛けやすいからだ。Googleで検索しているときとは、恐らく意識のモードが少し違う。
問いかけてからすぐにレスポンスが返ってこず、数秒から1分ほどのギャップがあるのも、なんというか“LINEみ”があってよい。もしちょっと的外れな返答が来ても、何だか友人とのやりとりでもよくあることだなと思え、そこまでストレスにならずに聞き返せた気がした。PCのブラウザからワクワクしながらChatGPTを使っていたときと比べると、的外れな返答へのがっかり感も少ない。
一方で、AIチャットサービスで「友人のようなカジュアルな会話ができるか?」という問いには、まだ「No」と答えたい。日本語の返答には、どうしても堅さが残るからだ。「取引先の新入社員とチャットをしているような気分」とでも言うのだろうか。正直言えば、ジョークでもまぜて、もっと失礼に接してくれた方が筆者好みである。
より砕けたやりとりがしたい場合には、ユーザー側でプロンプト(命令文)の工夫が必要になる。例えば、「猫っぽく話して」と指示しておくことで、語尾を「にゃ」にして猫っぽく話してもらったりすれば、大げさにはなるがクスりとニヤけるような返答をしてくれるだろう。ただ、何度お願いしても猫になってくれないなど、“機嫌が悪い”ときもあった。
ちなみに、LINE botとしてのAIチャットサービスは、現在は無料で使えるところもあるが、基本的には「無料で答えてくれる質問が1日何問までと定まっていて、それ以上は有料プランを契約すると利用できる」というスタイルになると思われる。その点を鑑みても「AIが友達になるかも……。“有料で”」というのは、評価が難しいところだ。
こうしたプロンプトの工夫が面倒だという場合には、グロースケットが4月7日にリリースした「よりそいAI」のようにカジュアルな対話に特化して設計されたアプリを使った方が良いだろう。
このようにプロンプトの工夫が煩雑であったり、利用限度があったりという点を鑑みると、「LINE botは便利ツールである」と認識しておいた方が、やはり受け入れやすい。例えば、メールのテキストを考えてもらうなどは特に便利だと感じた。「これは60点くらいかな…」という不自然な返答が生成されることも多いが、少し手直しすれば十分使えるので、時短術という意味では役に立ちそうである。
LINEでAIチャットを利用する際の注意点
一方、LINE上でのAIチャットサービスは、良く悪くも、とても簡単に使えてしまう。今はまだITツールへのアンテナ感度が高い人が使っている印象だが、今後はより広い層が手にすることになるだろう。そうなってくると、ある種のリテラシーが求められるようになる気はする。
例えば、筆者が思いついた注意点は3つある。1つ目は、AIチャットが出力する「ハルシネーション」(もっともらしいでたらめ)に注意しなくてはならないこと。2つ目は、AIチャットに機密情報は入力しないこと。3つ目は、医学的な内容など、AIチャットが答えてくれない情報もあると知っておくこと。
2つ目の機密情報についてについて、AIチャットサービスはOpenAIのAPIを用いており、APIは言語モデルの学習には使われないとされている。それでも、利用規約が改定される恐れもあるし、Open AI側が入力した情報を閲覧する可能性はゼロではないので、個人情報や機密情報は入力しない方が安全だ。
他にもあるとは思うが、このくらいを押さえておけば、日常使いでの大きなトラブルは避けられるのではないだろうか。
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