「moto g53j 5G」に見るモトローラの日本市場に対する熱意 Y!mobile向けモデル投入の意図は?(1/2 ページ)
モトローラ・モビリティ・ジャパンは2種類のミドルレンジ5Gスマホを発表した。1つはオープン市場向けモデルの「moto g53j 5G」、もう1つはY!mobile向け「moto g53y 5G」だ。Y!mobile向けモデルの投入に際し、ソフトバンクの常務執行役員寺尾洋幸氏が発表会に姿を見せ、投入の狙いを語った。
モトローラ・モビリティ・ジャパンは2種類のミドルレンジ5Gスマホを発表した。1つはオープン市場向けモデルの「moto g53j 5G」、もう1つはY!mobile向け「moto g53y 5G」だ。2022年6月3日発売の「moto g52j 5G」の後継モデルに相当する。
moto g53j 5G/moto g53y 5Gは120Hzのリフレッシュレート対応かつアスペクト比20:9の6.5型HD+ディスプレイ、8W TurboPowerチャージが可能な5000mAhのバッテリー、5000万画素メインカメラと200万画素マクロカメラで構成したアウトカメラ、Dolby Atmosを採用したステレオスピーカーを搭載する。どちらも日本市場に特価したモデルであるため、おサイフケータイとIP52相当の防滴/防塵(じん)性能を有する。nanoSIM/eSIMにも対応する。
ジェスチャー操作にも対応し、端末を振り下ろしてライトが点灯する他、持ち上げるだけでロックを解除できるなど、同社独自機能を備える。従来から好評の機能とのことで、moto g52j 5Gから設定項目を分かりやすくしたというう。
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日本市場にこだわる製品を継続的に投入へ
moto g52j 5Gの登場から約1年ぶりの2023年6月7日、同社は発表会を行い、日本市場でのこれまでの取り組みと、今後の展開について語った。松原丈太社長は「moto g52j 5Gから1年のブランクが空いたが、その間、何もしていなかったわけではない」と語り、「これまでで最も忙しい1年だった」と振り返る。そして新製品を「渾身(こんしん)の一作」と評し、日本市場に対する気合いを表した。
Motorolaはグローバルで製品展開する企業で、メーカーシェアは北米で第3位、南アメリカで第2位となっている。カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチによると、AppleやSamsungがプレミアム(ハイエンド)機種の価格帯を寡占しているのに対し、Motorolaは米国市場の400米ドル(約5万6054円)以下の価格帯で業績を伸ばし、この価格帯において第2位の座を築き上げた。出荷台数はヨーロッパ/中東/アフリカが2021年比で22%増加、日本を含むアジアパシフィックが2021年比で23%増加した。メーカーシェアは北アメリカで第3位、南アメリカで第2位に位置する。
その中でも特に力を入れているのが松原社長いわく、日本を含むアジアパシフィックだ。ただ、日本市場の消費者からは「Motorolaがグローバルのことばかり考えて、日本市場を重視していない」との見られ方をすることが多く、肌感として日本市場にフューチャーしないメーカーだと思われている」と松原社長は話す。
そのネガティブイメージを持たれ続けるメーカーでは伸びないと判断し、松原社長は日本市場向けにフォーカスした製品の継続投入をアナウンスした。その気合いの現れとともに発表となったのがmoto g53j 5G/moto g53y 5Gの2機種だ。
その製品化に向けて同社は最新のテクノロジーを製品化し、日本のユーザーにいち早く製品を届けることをミッションに掲げ、日本市場に合う機能、仕様にすべく2022年にmoto g52j 5Gを投入するに至ったという。本来ならもう少し高機能かつ高価なモデルを「驚くような価格でお届けしたい」というのが同社の考えだとしている。製品の品質向上とカスタマーケアの拡充についてもプライオリティーが高いと判断し、「日本の皆さんに受け入れてもらえるようなメーカーとなりたい」(松原社長)という。
日本市場戦略の見直しはmoto g52j 5Gが市場に投入された2022年の2年前となる2020年から行われた。2020年はコロナ禍の真っ只中で、ハイエンドモデルを中心に高価となっただが、そのフェーズ1として日本市場への投資強化と、ポートフォリオ戦略の見直し、売れ筋製品の分析やどのようなニーズがあり、それに対してメーカーとしてどのように応えられるかを分析したという。
フェーズ2としてプレミアムモデルに位置付けた「razr 5G」をソフトバンクに納入。ニッチな端末を好むユーザーに応えた。フェーズ3として2022年に日本市場に合った機能を搭載したmoto g52j 5Gを投入。フェーズ4として今回投入するのが今回発表の2機種というわけだ。「Y!mobileを通してお手頃価格の5G製品を体験してもらいたい」(松原社長)としている。
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