カメラスマホの源流「LUMIX CM1」は10年後を予見した異端児だった 一方で“令和の後継機”も登場(1/2 ページ)
昨今のスマートフォンはカメラ性能の進化が顕著だ。少し時代をさかのぼってみると、10年前に発売されたある機種のコンセプトが今のカメラスマホと何ら変わらないことに気付く。今回はそんな10年前のカメラスマホ「LUMIX CM1」を今のスマートフォンと照らし合わせながら振り返ってみよう。
昨今のスマートフォンはカメラ性能の進化が顕著だ。少し時代をさかのぼってみると、10年前に発売された“ある機種”のコンセプトが、今のカメラスマホと何ら変わらないことに気付く。今回はそんな10年前のカメラスマホ「LUMIX CM1」を今のスマートフォンと照らし合わせながら振り返ってみよう。
カメラ特化スマホという異端児だったパナソニック「LUMIX CM1」
カメラ特化のスマートフォンを語る上で外せない存在が、パナソニックのLUMIX CM1だ。2014年9月のフォトキナで発表され、世界最薄の1型コンデジ、LTE通信可能な「コミュニケーションカメラ」として注目を集めた。
カメラとしては同社の2010万画素の1型MOSセンサーを採用し、専用ISPのヴィーナスエンジンも搭載。レンズはライカの「DC ELMARIT」を冠し、せり上がってくる沈胴式レンズを採用。開放でF2.8、可変絞りを採用してF11まで絞ることができた。最短撮影距離は10センチと「スマホとして使えるギリギリ」を攻めた。
また、リング部を回転式のインタフェースとすることで、ズームや絞りなどの制御に割り当てることもできた。シャッターボタンはもちろん、どのような場面からもカメラを起動できるスライドキーも備えるなど、スマホというよりも「カメラ」として作り込まれている。47mm径のフードが利用できるなど、表現の幅も広げることができた。
カメラソフトウェアは専用機のUI(ユーザーインタフェース)をベースに、タッチ操作に最適化。オートモードはもちろん、絞り優先やシャッタースピード優先、各種シーンセレクトといった「カメラ」と同様の設定で撮影もできた。
スマートフォンとしても高性能で、プロセッサは当時のフラグシップに当たるQualcommのSnapdragon 801(MSM8974AB)を採用。メモリ2GB、ストレージは16GBでmicroSDでのストレージ拡張が可能だ。ディスプレイは4.7型でフルHD解像度だった。OSはAndroid 4.4を採用し、後のAndroid 5.0へのアップデートも行われた。これは当時発売された「Galaxy S5」(Snapdragon 801、メモリ3GB)などに匹敵し、性能で劣ることは一切なかった。
価格は2015年の日本発売当時で税込み13万円前後。2000台の限定販売だった。同世代のハイエンドスマートフォンではドコモの「Galaxy Note Edge」が9万3312円、SIMフリーモデルでは「Google Nexus 6」が7万5170円だったことを踏まえると、かなり高価な機種だった。
後に同様のハードウェアのまま通話機能を廃して安価にした「LUMIX CM10」も発売された。通話はできないもののデータ通信は可能なため、LINE通話などに絞れば他のスマホと同様に利用できた。筆者も2016年からCM10を利用しており、幾多のカメラ特化スマホたちと比較してきた。
今使ってみても写りの良さは一級品だ。当時のスマートフォンの枠を超えた存在なだけに、基本性能の高さで十分にカバーできている。低照度などではセンサーの世代の古さからノイズが目立つが、AI補正はほぼかけないので自然な写りと評価したい。
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