電気通信事業者ら183者、「NTT法」の見直しに対する連名意見書を総務省に提出
電気通信事業者や地方自治体など183者は1月7日、「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の見直しに関する意見書を総務省に提出した。現在議論が進められている「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方 最終答申(案)」のとりまとめについて、NTT法の維持を求める立場から意見を展開している。
KDDIなど電気通信事業者や地方自治体など183者は1月7日、「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方 最終答申(案)」に対する連名意見書を総務省へ提出した。この答申案には「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の見直しに関する項目が含まれており、同法を維持する立場から意見を送付した格好だ。
答申案は、公正競争/ユニバーサルサービス/経済安全保障の報告書を踏まえて、同省の「情報通信審議会」で出されたものだ。NTTが保有する「他事業者が構築し得ない線路敷設基盤とその上に設置された光ファイバーなどの電気通信設備」の重要性や、NTTが果たすべき公共的役割の重要性を改めて明記している。
183者は、ブロードバンドへの対応などNTTに対するユニバーサルサービス責務の拡大、公正競争確保のための構造規制の維持/強化、経済安全保障の観点から外資規制の維持や資産の保全/保護などの方向性に賛同すると同時に、最終答申案に記載されたように「NTT法に規定される規律が、今後も必要であれば、引き続き同じNTT法で規定すべきとの考え方であり、現在のNTTに関する規律の法体系を維持する点で自然であり、継続性・安定性があること」にも賛同し、現行の枠組みを維持/強化していくことが重要だとしている。
国民生活の向上や経済の活性化、国際競争力の強化、経済安全保障の確保、災害時の安全確保などを図るために情報通信が担うべき役割は非常に大きい。政府が目指すデジタル実装を通じた地域の社会課題の解決などの推進に向け、情報通信インフラの健全な発展や事業者間の公正な競争環境がこれまで以上に必要な状況だという。
これらの理由からNTTとの公正な競争環境を整備し、電電公社時代から構築されたNTTの資産を保全/保護し、電気通信事業法とNTT法を通信制度の両輪とする前提のもと、時代の変化に応じたNTT法の見直しや強化などが適切になされることを要望している。
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