インタビュー

JALモバイルはなぜIIJに加え「ahamo」を選んだのか? JALとドコモが明かす“ホワイトレーベル”の狙い(1/3 ページ)

JALモバイルは既存のIIJに加えドコモのahamoを基盤とする新プランを提供している。無料の海外ローミングやahamoの知名度を武器に、若年層や既存dアカウント層を開拓する狙いだ。両社の経済圏を相互に補完し合い、契約者獲得や解約抑止などの相乗効果を目指している。

 JALモバイルは、IIJに続き、ドコモをパートナーに迎え、6月に「JALモバイル powered by ahamo」をスタートさせた。ビジネスモデルや建て付けはIIJのときと同じで、通信サービスそのものはドコモがホワイトレーベルとして提供。ahamo側のオプションという形でJALのマイレージプログラムであるJMBとのひも付けを行い、JAL側が用意する特典を受けられるようにしている。

 毎月のマイル付与や、1年に1回、行き先が国内4カ所の中からランダムで決まる「どこかにマイル」を1500マイルで利用できる特典はそのまま。初回のみ、システム連携のためのオプション料金はかかるが、その後の料金は通常のahamoと同じだ。JALでマイルをためているユーザーはもちろん、既存のahamoユーザーにもメリットが多い仕組みで、発表時には大きな話題を集めた。


ahamoの通信サービスにJALの特典をセットにした「JALモバイル powered by ahamo」を6月25日から提供している

 とはいえ、JALモバイルはIIJ単独提供だったときから人気が高く、MVNOにとっても本領を発揮できるビジネスモデルと評価されていた。そんなJALが、なぜ新たにドコモとタッグを組み、2つの事業者のプランを提供していくのか。JALモバイルを手掛けた日本航空とドコモのそれぞれに、同サービスに踏み出した狙いを聞いた。

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 インタビューには、日本航空のマイレージ・ライフスタイル事業本部 マイレージ事業部 事業戦略グループ マネージャーの福島英峰氏と、ドコモの渉外部 企画推進室 担当課長の南出裕一朗氏、川腰尚輝氏がこたえた。


左から、日本航空の福島英峰氏、NTTドコモの南出裕一朗氏、川腰尚輝氏

海外ローミングに強いahamoに白羽の矢 若年層の開拓も狙う


日本航空の福島英峰氏

―― そもそもですが、どういう流れでJALモバイルにahamoを加えようというお話になったのでしょうか。

福島氏 ドコモさんとは、dポイント交換だったりデータ連携の実証実験だったりと、長い間、一緒に取り組みをしてきました。マイレージ事業部にとどまらず、いろいろなところで日々ディスカッションをしています。その一環で、ドコモの皆さんと新しい取り組みができないかを考える中、こういったこと(JALモバイル powered by ahamo)ができないかというお話になりました。話が上がった瞬間、いいサービスになると確信が持てました。

南出氏 議論をしている中で生まれたもので、われわれも、ワクワクしながらいいサービスを出せると思って取り組ませていただきました。もともと、JALモバイルはIIJさんが先行していて、その辺のことは拝見していましたが、MNO(Mobile Network Operator)としては初めてなので、どういうやり方であればお客さまにお届けできるかを考えていきました。

―― そのお話は、ahamoありきだったのでしょうか。

福島氏 ありきというわけではなかったですね。他のプランも含めてディスカッションはしましたが、その中でahamoがいいとなりました。JAL側からすると、日本人では知らない人がいないぐらい知名度が高く、説明不要です。しかも、ahamoは特に若年層に人気が高い。JALとして、若年層の開拓は永遠のテーマで、かつ絶対にやらなければならないミッションです。会社としての思いと、ahamoの絶対的認知度や若年層の人気があり、ahamoをやらせていただくことになりました。

―― いち料金プランですが、評価が高いですね。

川腰氏 ahamoはWeb専用として立ち上げたもので、ドコモとしても合理的でしっくり来るということはJALさんともお話ししました。他にも検討しましたが、やはりahamoが一番ということになりました。

南出氏 狙いに合致するのは若年層ということで、ahamoに決まっています。

―― 海外ローミングが無料なことも大きいのでしょうか。

福島氏 おっしゃる通りです。IIJさんとやっている中で、なぜahamoをやらせていただいたかというと、海外ローミングがあります。お客さまの声が圧倒的に多かったからです。IIJさんとのサービスも、すごく好評で自信を持っていますが、お客さまからは、「JALが提供するサービスなんだから海外で使えるサービスだとうれしい」「使えるサービスを考えてほしい」というお声をいただいていました。

 SNSを見てもそうですし、コールセンターにお電話でご質問をいただいたこともあります。さすがにこれをやらなくてはダメだなと思いました。ahamoは、これ以上にないぐらい海外ローミングに強い。海外では、機内モードを解除すればすぐに使えますからね。

 実は弊社の客室乗務員やパイロットからの評判もめちゃくちゃよかったんです。ahamoとやるとなったとき、一番喜んでいたのはむしろ社内だったのではというぐらいです(笑)。

 ただ、補足すると5月からIIJさんの海外eSIMをJALモバイルで提供しています。意外と言っては失礼ですが、そちらも好評で多くの方にお使いいただいています。マイル還元率も高く、かなりおトクになっていますし、IIJさんを契約されている方のご利用が多く、ニーズにお応えできています。

―― 社内人気が高いというのは意外でした。パイロットやCAはマイルがなくても国内外に飛べると思いますが(笑)。

福島氏 普通にいますね。ご家族や友人との旅行で使う方もいます。

IIJのサービスに不満はなく、ahamoとすみ分けが図れている

―― 確認ですが、IIJさんのサービスに不満があったというわけではないですよね。

福島氏 これはうそ偽りなく、まったくありません。IIJさんは独自の取り組みをしているだけあって、MVNOの中では品質がいいとうかがっています。実は昨年(2025年)始める前は、少し心配していたところはありましたが、ふたを開けてみると、つながりづらいだったり、品質が悪いだったりの声はまったくありませんでした。ですから、不満があってということではありません。

―― ahamoが始まったことで、IIJ側も伸びているという話を小耳に挟みましたが、これは事実でしょうか。

福島氏 はい。事実です。両方が伸びています。これは予想通りというか、狙い通りというかですが、知名度が上がっています。今回のように、いろいろなところで記事にしていただけていますし、それを加入される際に、「私はIIJ」「私はahamo」というような選択ができるようになりました。もちろん、IIJからの移行もゼロではありませんが、ほとんどない状態で、少なくとも事業に影響するようなことはまったくありません。


JALモバイル powered by ahamoの提供後も、JALモバイル powered by IIJmioへの移行が極端に進むことなく、すみ分けが図れているという

―― 中容量はahamoというようなすみ分けが進んでいるのでしょうか。

福島氏 意外かもしれませんが、そうはなっていません。皆さん、容量で選んでいるわけではなく、MNO品質を求める方や、海外利用をしたい方がahamoを選んでいるようです。IIJの中でも中容量を選ぶ方の比率が落ちていないからです。MVNOということもあり、IIJは中容量もお安くなっているので、価格コンシャスな方が引き続きIIJの中容量を選ばれる傾向があります。

―― 「ダブルJALモバイル」のように、両方契約する人もいるのでしょうか。

福島氏 めちゃくちゃいます。今は1人1台の時代ではなくなってきているのではないでしょうか。私自身、IIJはiPadに入れて、普段はahamoというように使い分けています。

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