JALモバイルはなぜIIJに加え「ahamo」を選んだのか? JALとドコモが明かす“ホワイトレーベル”の狙い(2/3 ページ)
JALモバイルは既存のIIJに加えドコモのahamoを基盤とする新プランを提供している。無料の海外ローミングやahamoの知名度を武器に、若年層や既存dアカウント層を開拓する狙いだ。両社の経済圏を相互に補完し合い、契約者獲得や解約抑止などの相乗効果を目指している。
若年層ユーザーが多い傾向 クロスユースは今後の課題
―― ここまで反響が大きいと、ドコモにとってもプラスだったのではないでしょうか。
南出氏 非常に好評で、想定を上回るペースです。ドコモでも社内外ともに反響が大きく、たくさん記事が載ったこともあり非常にたくさんお声がけをいただきました。
―― 発表会でも、契約しないともったいないプランというお話がありましたが、確かに損する要素がほぼありません。全員が移ってしまうのではないでしょうか(笑)。
ahamoの料金そのままに、毎月の利用マイルやフライトボーナス、LSPなどがたまる。なお、スライドの料金は2026年6月時点のもので、現在は40GBに増量されている。また、12月1日からのahamoの料金改定は、JALモバイルにも適用される
川腰氏 JALのマイレージをためている方には、毎月マイルがたまりますし、メリットも大きいと思います。ただ、そうではない方も一定数はいます。移行に手数料もいただいているので、お支払いせず、通常のahamoとして使う人はもちろんいます。通常のahamoとJALモバイルでは、キャンペーンや端末割引で違いを設けています。
―― IIJでも、“素のIIJ”だと端末が安いといったことがありましたが、ドコモでもそれは変わらないということですね。そういう意味だと、お互いにとってメリットがありそうです。
一堂 そうです。
―― ピッタリそろいましたね(笑)。
福島氏 私たちにとっては、これをきっかけにJMB会員になる方がいらっしゃるのが大きいですね。今までJALがご提供していたサービスは、比較的コアなものが多かった。電気契約などもありましたが、そこをきっかけにJMB会員になるという方はなかなかいません。年1回旅行ができるというのがきっかけになってマイルをためていただくことが多いのですが、そういった方々の背中をahamoが押すことで、マイルのエコシステムに深く入っていただけます。
川腰氏 ドコモは普段、ドコモショップや量販店で接することがない新しい方々と接点が持てました。それが狙いでもありましたが、非常にうまくいっています。
―― ドコモの規模でも、接点がない方はいるんですね。
南出氏 ショップに関して言えば、来客層が変わってきています。オンラインではahamoの準備はしていましたが、それだけでは世の中のお客さまにお届けしきれません。そういった意味でも、組ませていただいたのはわれわれにとってのメリットになります。
―― ちなみに、JALモバイル powered by ahamoの年齢層はどんな感じなのでしょうか。
川腰氏 30代から50代の契約率が比較的高いですが、マイレージをためているのがその層ということもあります。後は、20代や60代以降もいますね。
福島氏 JALにとって、ボリューム層のお客さまよりは若年層が多いと強く感じています。
―― ahamoを始めたときはもっと20代、30代に寄っていたと思いますが、今は少し幅が広くなっていますね。
南出氏 もともと若年層向けでしたが、出してから5年がたち、今は幅が広くなっています。
―― とはいえ、ドコモ全体と比べるとまだ若いというか。
南出氏 JALモバイルとは別として、ahamo全体では他のプランよりも若年層は多くなります。
―― JALは通信以外にも、さまざまなインフラサービスを用意していますが、ahamoをきっかけにそういったところへユーザーを広げていくお考えはありますか。
福島氏 まさに今、頑張りたいと思っている部分です。正直、まだ電気、ガス、ウオーター、光をご契約いただいている方は多くありません。そこに力を入れていきたい。他社がうまくやられている、複数サービスを掛け合わせて使うとおトクが倍になるようなクロスユースをまだご提供できていません。そこが次の課題です。
マイレージ事業部のミッションは、サービスを増やすフェーズから、クロスで使っていただいた方にもっとサービスを使っていただくことに移ってきています。モバイルをきっかけに、ぜひ他のサービスを使っていただきたいですね。
LSPが新規・MNPのみの理由 「ドコモから移行できること」が革新的
―― サービスの建て付けとしてちょっと気になったのが、LSP(Life Status Point)の付与が、新規やMNPだけという点です。既存のahamoユーザーが他社に移ってからJALモバイルに戻ることで、ホッピングを促してしまわないでしょうか。
福島氏 おっしゃっているような方が絶対にいないとは言い切れません。ただ、事業に影響があるレベルでホッピングがあるわけではありませんし、ホッパーを生み出したいという意図もまったくありません。今のところ、そういった方がたくさんいて、他社にご迷惑をおかけしているということはありません。
―― そもそも、なぜ新規やMNPだけになったのでしょうか。
福島氏 ポジティブに捉えていただきたいのですが、プロジェクトの趣旨として、ドコモとタッグを組み、新しいお客さまにご利用いただきたいという思いが強くありました。業界全体が、MNPや新規でご契約いただく方の特典を強化し、提供できるものを最大限提供した結果です。
既存のahamoからの移行でつかないのは確かにそうなのですが、そもそも、移行できること自体がかなり革新的だったという自負があります。実際、JALモバイルのIIJでは、IIJmioからの移行はできません。ドコモを長く使っている方や、現在お使いの方がJALモバイルにしたいというお声に応えるために、(移行でも)最大限マイルを進呈していますし、どこかにマイルも同じように使えて、料金も変わりません。
川腰氏 ドコモとしても、今、ahamoをお使いの方にマイルがたまるというのは、ぜひやりたかったんです。最初から、新規やMNPだけに閉じることはなく、移行の方にもというお話はしていました。確かにLSPは新規やMNPのみの特典ですが、移行だけで毎月マイルをつけていただけるのはポジティブだと考えています。
―― LSPありきで考えると何で新規とMNPだけなのという発想になりますが、そもそも、既存のユーザーが単にオプションを付けるだけでマイルがたまるだけでも十分、大変だったということですね。ところで、通信以外だと、クレジットカードもそれぞれの会社が出していますが、ここが取り合いになったりはしないでしょうか。
南出氏 dカードの特典で言うと、ボーナスパケットなどは通常のahamoとまったく同じにしていますので、JALモバイルを使うメリットはあります。それをやめてしまうと、「ではJALカードで」となってしまうので、特典は設けています。事前の調査でも、特典に魅力感じて引き続き使い続けたいという方は多いので、大きな影響はありません。むしろ、さらにJALカードを持っていただくことも多いと思います。
川腰氏 複数のポイント経済圏を活用している人の方が一般的です。どちらかの経済圏だけにという考え方ではなく、2つを行き来する方が増えていくことで、両社で拡大していけます。
―― 逆に、その経済圏を1つにまとめた「JALカード powered by dカード」を作ろうというような話はないのでしょうか。
福島氏 具体的な話があるわけではありませんが、まさかそんなことは、というようなものまで、アイデアは切り捨てずに意見交換をしています。本当にワンチームで、ざっくばらんにお話をする関係が築けています。
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