“普段使い”のケータイに必要なものとは──「W52SH」が目指したスタンダード(2/2 ページ)

» 2007年07月13日 10時00分 公開
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薄型化、高級感の追求を陰で支える──回路設計の苦労

 コンパクトなボディにユーザーが必要とする機能を詰め込むことの難しさは、機構設計を担当した日野氏も話していたが、回路設計を担当した蛭氏も、薄型と高機能の両立には苦労したという。

Photo シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第四事業部 第1技術部 主事の蛭亨氏

 単純に端末を薄くすると、どうしても強度は落ちてしまうが、製品として出荷するにはしっかりした強度を維持する必要がある。またデザイン担当者の意図もあるため、外側の形はあまり自由には変えられない。そんな中で、試作段階から何度も落下試験のような過酷な評価をし、そのたびに対策を盛り込んで、弱い部分を補強していくという地道な作業を続けた。「最終的には、外側を変えないまま、従来通りの強度を実現できました」(日野氏)

 また蛭氏は、端末の薄型化を目指す際に、バッテリーの容量が必ず“狙われる”部分だという。バッテリーを小さくすれば、単純に厚さも抑えることができるからだ。実際W52SHのバッテリー容量は3.7ボルト 770mAhと、W51SHの3.7ボルト 920mAhから減ることになった。

 しかし、薄型化した結果ワンセグ連続視聴時間が短くなることは許されなかった。そのため蛭氏らは新しい部品を使ったり、ソフトウェアのチューニングを行ったりして、W51SHよりも長い連続視聴時間を実現している。

 さらに、高級感を持たせるために必要な金属類にもとても悩まされたという。

 「正直金属はつらいです(笑) 携帯電話のアンテナ、GPSのアンテナ、FeliCaのアンテナなど、携帯電話の中はアンテナだらけでそれらが干渉し合っている状態ですが、金属が入るとそれがさらに難しくなります。できることなら金属は隠してしまいたいくらいですが、高級感、高機能といった特徴はW52SHに必須のものですから、いろいろ工夫を取り入れてなんとか乗り切りました。FeliCaアンテナとバッテリーとのせめぎ合いは、今でも思い出深いです」(蛭氏)

 薄型化を理由に妥協することは一切許されていなかったW52SHでは、このほかにもさまざまな工夫が随所に見られる。例えばIrSimpleに対応した赤外線通信ポートの位置だ。コンパクトさを優先するなら裏面や側面など、比較的入れやすい場所を選んで組み込む方法もあったが、ユーザーが手に持ったときの使いやすさを最優先し、ディスプレイ側筐体の先端に組み込んでいる。ダイヤルキーのデザインもしかりだ。

 「キーの表面は、平らにしてしまえばそれだけ薄くすることができます。しかし、ユーザーの使い勝手のよさを維持するため、表面には緩やかなカーブを持たせています。そのカーブも、1つの円弧で作れば簡単にできますが、そうすると指あたりが硬いため、天面は緩やかなカーブ、側面は少し急なカーブとすることで、指あたりを優しく、なおかつ押しやすくしています。サイズも、大きくて打ちやすいと評価していただいたW51SHのキーよりもさらに大きくしました」(中田氏)

回転2軸ボディならではの使い勝手も追求

 AQUOSケータイのようなサイクロイドスタイルの端末では、端末を持った状態でディスプレイを横に回転させ、簡単にワンセグを起動したり、ワンセグを起動したまま別の操作をしたりできたが、回転2軸ボディのW52SHでもこの使い勝手のよさ、シャープ端末ならではのよさは失われないよう配慮している。

Photo シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第四事業部 第1ソフト開発部 主事 森川大樹氏

 ワンセグのソフトウェア周り全般を担当した森川氏は、「一部のユーザーさんには、こんな機能はいらないのではないかと言われてしまうかもしれない機能も、その機能を必要とするユーザーさんのことを考え、こだわって入れています」と話す。例えばワンセグを全画面表示しているときにTaskキーを長押しして画面の上下を反転できる機能がその1つ。

 「サイクロイド型のディスプレイでは、ワンセグを視聴するスタイルは一定ですが、回転2軸の場合右利きの人と左利きの人で持ち方は違うはずです。画面を上下に反転させれば、左利きの人が端末を持つとき、アンテナが邪魔にならない向きにできるわけです。また、充電台がない状態で、ワンセグを見やすい角度にディスプレイを固定したいときにも、この反転機能が役立ちます」(森川氏)

 もちろん、ディスプレイを表にして閉じるとワンセグが自動起動する機能も備える。これはユーザーが設定を変えることで、カメラを起動するようにもできるが、やはり手軽にワンセグを視聴するためには外せなかった機能だ。

 ちなみにW52SHにはAQUOSの名は冠してはいないものの、ディスプレイの画質はAQUOSケータイと同等レベルを目指している。サイズは2.8インチなので、3インチのW51SHには及ばないものの、コントラスト比を向上させ、見た目の美しさを改善している。

 待受画面でダイヤルキーを長押しすると呼び出せるショートカットに、ワンセグのチャンネルや録画予約機能を登録しておけるのも、ユーザーの利便性を考慮してのこと。5時間分のデータしか取得できないEZテレビの番組表だけでなく、あらかじめ日時とチャンネルを指定して録画予約を行うスケジュール録画予約機能を待受画面からすぐに呼び出せるのもポイントだ。これを使うと毎週、毎日といった繰り返し録画も簡単に指定できる。

Photo シャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第四事業部 第1ソフト開発部 主事の上野奈緒子氏

 ワンセグ視聴中の使い勝手という点では、シャープ独自のTask bar機能が拡張されている点も見逃せない。Task barの開発を担当している上野氏は、細かな使い勝手を、ニーズに応える形でモデル毎に改善してきていることを話してくれた。

 「Task bar機能は、意外と知らない人も多いようなのですが、ユーザーの使い勝手を考えたシャープらしい機能として、実は初代au端末のW41SHから搭載しています。アプリを完全に終了させず、ながら使用ができるように、au端末でできる限りのことをしているのですが、開発当初は実現は無理なのではないかと思うくらい大変でした。W52SHでは、新たに録画中にも電話をかけたりできるよう、機能を拡張しています。またディスプレイがW51SHの3インチから2.8インチになったことで、文字が見えにくくならないよう、画面全体のフォントサイズを大きめにしたりといった細かな改善もしています」(上野氏)

すべての機能を盛り込んだコンパクトな端末

 最後に中田氏は、W52SHの特徴をこんなふうに話した。「すべての機能を盛り込んで、なおかつコンパクトな端末というのは、考えようによっては驚きのない端末にもなり得ますが、最終的にはユーザーの皆さんにいろいろ見比べていただいた上で、これが一番いいといってもらえる端末を作ろう、ということになりました。“New Compact Standard”というコンセプトは、まさにそういうことです。結果的には開発チームで一致団結して、普段から使いたい、また次もシャープを使いたいと思っていただけるような端末が作れたのではないかと思います」(中田氏)

PhotoPhoto 製品にはワンセグが見やすい角度に端末を固定できる充電台も付属している。背面のスタンドを倒せば平置きも可能だ
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制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年7月31日