コンパクトなカジュアルワンセグ端末はこうして生まれた──「SH704i」のこだわり(1/2 ページ)

上質感を持たせつつもカジュアルなデザイン。ワンセグを搭載しながら、女性にも持ちやすいコンパクトなボディ。シャープが開発した厚さ17.7ミリのワンセグ端末「SH704i」は、その小さなボディに数々のこだわりが込められている。

» 2007年08月27日 10時00分 公開
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 ワンセグを搭載しつつ、いかに薄型化・小型化するか──。SH704iの開発はそこから始まった。

 シャープのFOMA端末ラインアップには、“AQUOSケータイ”「SH903iTV」という、ワンセグを快適に視聴することに最適化した人気端末がある。しかし、ワンセグの視聴スタイルには、端末を置いてスポーツやドラマなどをじっくり見る「集中視聴型」と、気になるニュースや天気など、情報をその都度ちょこちょこと取得する「分散視聴型」という2つのタイプがあると考えた同社では、AQUOSケータイにはない手軽さを持つ端末にもユーザーニーズに応えるため、カジュアルなワンセグ端末として「SH704i」を開発した。

 一見ワンセグ端末には見えないコンパクトなスウィーベル(回転2軸)ボディはいかにして生まれたのか。そしてその誕生にはどんな苦労がともなったのか。開発陣に話を聞いた。

Photo 前列左から通信システム事業本部 デザインセンター 副主任の神垣尚彦氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部の濱田紗織氏、オンリーワン商品企画推進本部 総合デザインセンター ソフトデザイン室 主事の菊池将之氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 主事 坂口昭夫氏、後列左から通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 第2ソフト開発部 主事の梅田芳夫氏と同第2ソフト開発部の山上恭廣氏、同第1技術部 主事の合田幹郎氏、同第2技術部 主事の筒井光敏氏

いつでもどこでも、気軽にワンセグを見るために

PhotoPhoto 通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部の濱田紗織氏(左)と通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 主事の坂口昭夫氏(右)

 「ワンセグへのアプローチは2つあると考えています。ワンセグには、スポーツやバラエティー番組、ドラマなどをじっくり見るニーズがありますが、一方で、移動中の時間などを有効活用し、手軽にニュースや天気をワンセグでチェックするニーズもあります。特に若い女性などに多い後者の“ちょこちょこ見る”スタイルを実現するのがSH704iです」

 SH704iの商品企画を担当した通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部の濱田紗織氏はこう話す。SH704iは、SH903iTVと同様“いつでもどこでも”ワンセグが見られるという部分は押さえつつ、より気軽に、ポケットから取り出してちょっと見たり、メールをチェックするついでにワンセグもちょっと見る、といった視聴スタイルを想定している。

 ボディは、気軽に持ち歩いてワンセグを視聴するのに適しているのはどんな形か考えた結果、スウィーベル(回転2軸)スタイルを採用することにした。ボディの厚さは、当初の目標から何度も検討を重ね、厚さ17.7ミリ(最薄部)のワンセグ端末が誕生した。小型かつコンパクトなボディを実現するのは、商品企画として譲れない部分だった。

 「持ったときのサイズ感にもこだわりました。女性の手のサイズは男性と結構違うんです。手袋などで比べていただければ分かりやすいと思います。女性にも持ちやすいサイズというのは重要だと考えました」(濱田氏)

 また電車の中やちょっとした待ち時間などに、いろいろな場所でワンセグを視聴することが前提なので、多くの操作は片手で行えるようにしている。「ディスプレイの隣に上下キーを用意し、ワンセグ視聴中は簡単にボリューム調整が行えるようにしたのも、周りに人がいる所で見る機会が多いワンセグの音量調節がもっとも簡単にできるようにした結果」だと、通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 主事 坂口昭夫氏は言う。ワンセグ視聴中のプライベートフィルタもサポートし、メールもワンセグも、周りの目を気にせず利用できるよう配慮した。

極限まで薄型化にチャレンジした設計部門

PhotoPhoto 通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 第1技術部 主事の合田幹郎氏(左)と同第2技術部 主事の筒井光敏氏(右)

 こうした商品企画部の要望を受けて奮闘したのが技術陣だった。部品レイアウトや内部構造の設計を担当した通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 第1技術部 主事の合田幹郎氏と筐体の設計を担当した通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 第2技術部 主事の筒井光敏氏は、何度も何度も設計案を提出しては、商品企画担当に「これではダメだ」と言われ、極限まで薄型化を進めたという。

 ヒンジ部は、薄型化のため従来のシャープ製端末で採用していたものよりもさらに小型化した。この部分の部品はSH704iのために新規に開発する必要があり、端末を開発しながら部品も並行して開発するという、非常に困難な作業が伴った。小さな径のヒンジに通すためのケーブルコネクタも新たに開発した。

 またディスプレイ側の筐体を極限まで薄くした結果、スピーカーを始めとする主要な部品はすべてダイヤルキー側の筐体に収めなくてはならず、こちらも相当な苦労があったと合田氏は言う。

 「デッドスペースを作ると、それだけボディサイズは大きくなってしまいます。そのため無駄なスペースをどれだけなくすかを考えつつ、性能もしっかり発揮できる部品配置を実現するのが大変でした。部品の配置はあらゆる可能性を検討しましたが、ちょっとレイアウトのバランスを崩すと本当に部品が入らないということをSH704iの開発で思い知らされました」(合田氏)

 強度を確保しつつ、薄さも実現するために、アルミを採用することもかなり早い段階で決まった。筒井氏は「背面をアルミにすることには抵抗感があった」と当時を振り返るが、SH704iのコンパクトなサイズ感と薄さを実現するため、採用に踏み切った。

高級感のある金属調のものをカジュアルに使いこなす

Photo 通信システム事業本部 デザインセンター 副主任の神垣尚彦氏

 一方、SH704iのデザインを担当した通信システム事業本部 デザインセンター 副主任の神垣尚彦氏は、「早い時点でアルミの設定ができたので、まずアルミの素材感による価値を上げるアプローチができた」と話す。

 「最初にSH704iにワンセグを搭載すると聞いたとき、サイクロイドはワンセグ視聴にはいいけど少々大がかりという印象も持っていましたので、スタイリッシュなワンセグをデザインしたいと思いました。その端末を持つことに喜びが持てるような“スタイリッシュなデザイン”と、コンパクトなボディにワンセグが入っているという“驚きのあるスタイリッシュ”を実現しようと考えたのです」(神垣氏)

 表面にポリッシュ加工を施すことは、SH704iのメインターゲットである女性層、特に若い女性が、高級感のある金属調のものを、さりげなくカジュアルに使いこなしているというイメージがあったことから決めたという。

 「例えば金属蒸着を施したルージュコンパクトを、布のケース(バニティポーチ)に入れていたり、ジーンズに金属もののアクセサリーを組み合わせたりしている女性は多いですよね。金属調のものというと、年齢が高そうなイメージもありますが、実は若い女性は結構上手にそういう小物を使っています。金属の塊感のある仕上げが、若い女性にマッチすると考えたのです」(神垣氏)

 この“金属の塊感”を実現するため、日本でも有数の、アルミをきれいに磨き上げられる会社を探し出し、SH704iの高級感のあるコンパクトボディが実現した。5色のボディカラーのうち、BLUE、BLACK、GOLD、PINKの4色はポリッシュ仕上げにしてきれいな色、金属調を生かせる色を選んだ。WHITEは、下地のアルミを生かすことにこだわり、表面に薄くパールを吹いて、その上にUVコートを施している。

 さらにワンポイントとして、アルミパネルの背面の一部に宝石のようなカットを施したLEDを用意した。これはさりげなく個性をアピールすることを狙ってのものだ。PINKとGOLDにはピラミッド状に見えるブリリアントカット調、BLUE、BLACK、WHITEには素直なスクエアカット調の加工を施している。大きなインパクトがある美しいLEDだが、実はこの部分は透明のパーツだけでなく、背面パネルにも形状ごとに異なる金型が必要で、かなり大変な作業だったという。

 「設計の筒井とは、薄さを実現するために何度もやり取りをしたのですが、その際にちょっと雰囲気が悪くなったこともありました(笑)。でもとても頑張ってもらって、最終的にはすばらしい端末ができたと思います」(神垣氏)

 ダイヤルキー部分は、単純なステンレスのシートキーではなく、あえて周囲に“折り曲げ”を入れて台形に盛り上がった形を採用した。これも神垣氏のこだわりで、「おり曲げで塊感というか、ブロック状に見える効果を狙いました。シートキー部分をぺらぺらの印象にしたくなかったからです。技術部門からはかなり厳しいといわれましたが、無理を言って実現してもらいました」。

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提供:シャープ株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年8月31日