日本のタッチパネルケータイはどうあるべきか──「SH-04A」が目指したもの(3/3 ページ)

» 2009年02月27日 10時00分 公開
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縦も横も、SH-04Aの顔──2つの顔を生かすデザイン

 直感的で使いやすいタッチパネルと、快適な入力環境を提供するQWERTYキーボードという、2つのデバイスの“いいとこ取り”を狙ったSH-04A。縦向きで、片手でタッチするというスタイルも、スライドさせて横向きでQWERTYキーを打つスタイルも、どちらもSH-04Aのメインの顔であることから、端末のデザインはこの2つのスタイルの特徴をうまく表現する形状を目指した。

 「縦で使っていたものを横向きにしたり、あるいは横向きから縦にしたりする行為の中で、切り替え操作がスムーズに行えるようなデザインを心がけました」(真野氏)

Photo SH-04Aのデザイン上のアクセントとなっている三角形の切り欠き

 SH-04Aのデザインの大きな特徴は、端末のディスプレイ側ケース(上筐体)の左下(横向きにしたときの右下)を一部カットし、アシンメトリーデザインを採用したこと。こうすることで、キーボード側ケース(下筐体)のきらっとした金属調の三角形が、閉じた状態の正面からでも見えるようにした。

 「閉じた状態でも、スライドを開いて横向きにしたときも、この三角形の部分は見えます。いずれの状態でもアクセントとなる三角形を目にすることで、SH-04Aが2つの顔を持ち合わせていることを表現しました」(真野氏)

 さらにこの三角形の部分には穴が開いており、ストラップも取り付けられる。ここにストラップを付けると、縦にしたり横にしたりという動作の中で、指がかかりやすくなる。デザイン的な美しさだけでなく、機能的に回転の動作を補助する効果も狙っているのだ。

 この2つの顔を持つSH-04Aの魅力を最大限に引き出すため、堀氏は加速度センサーに連動して画面の縦と横の描画を切り替える処理にも手を加えていることを教えてくれた。

 「画面の縦と横を切り替える処理は、AQUOSケータイのサイクロイド機構と連動して画面切り替えなどをしていましたのでノウハウはありました。でも、サイクロイドスタイルと同じ速さで画面の切り替えをしていては、SH-04Aでは“遅い”と感じられることがありました。そこで、これまですべてのアプリケーションで同じタイミングで画面の切り替えをしていましたが、SH-04Aでは機能ごとに細かな調整を行い、極力素早く画面を切り替えるようにしています。このタイミングの調整がかなり大変でした。でも、その分動作はだいぶきびきびするようになったと思います」(堀氏)

 レスポンスという面では、永井氏も「反応の良さと画面グラフィックのバランスが難しかった」という。SH-04Aでは、タッチをするとすぐ反応する、という点にこだわった。ユーザーからは「SH端末はもっさりしている」と過去に指摘があったこともあって、きれいで楽しい画面を実現しつつも、素早く動作させることに注力したという。例えば、最近のシャープ端末ではデータBOXを3D表示するようにしているが、SH-04Aでは初期設定を2D表示とし、設定で3D表示に切り替えられるようにした。

 「SH-01AやSH-03Aで、ユーザーさんから『3D表示は動作が重いため基本メニューに戻して使っている』という声をいただきました。せっかくきれいな表示を実現しても、使っていただけないのでは意味がありませんので、SH-04Aでは、2D表示を初期設定にすることで、ビジュアル的にも美しく、かつ動作も快適なものを実現しました」(永井氏)

機能を満載しつつボディは薄型化──見えないところにまで施された配慮

Photo 通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 技術部 係長の足立一浩氏

 3.5インチと比較的大きなディスプレイを搭載し、比較的スクエアなデザインを採用したSH-04Aだけに、これまでの薄型軽量をとことん追求したモデルと比べれば、機構や回路上の苦労は少なかったようにも思えるが、開発は決して容易ではなかったと回路設計を担当した足立氏は言う。

 「回路という点では、やはり端末を薄型化しなくてはいけなかったため、上筐体の処理がかなり大変でした。液晶ディスプレイにタッチパネルを乗せれば、当然厚さは増す訳ですが、タッチパネルを乗せたから厚くなりましたといっても、ユーザーさんは許してはくれません。厚さが増えた分は、上筐体で吸収するために、スライドのレールと当たらないよう、基盤を3つに分けて搭載しました。目標のサイズが決まっていて、その中に収めるためにさまざまな工夫をしています」(足立氏)

Photo ディスプレイ側筐体の裏側。ヒンジをよけるため、基盤を3つに分けて全体を厚さを抑えている

 読者の中には、SH-04Aのカメラが、SH-01AやSH-03Aが搭載していた8MピクセルのCCDではなく、5MピクセルのCMOSタイプだったことを残念に思っている人もいるかもしれないが、これは厚さとの兼ね合いで、さまざまな議論の末やむなく搭載を断念したそうだ。8MピクセルのCCDカメラはそれなりに厚さがあり、これを搭載すると、SH-04Aのカメラ部だけが大きく出っ張り、置いたときの安定性が悪くなってしまうという。

 ただ、SH906iの5MピクセルCMOSカメラと比べると、SH-04AのCMOSカメラもかなりの進化を遂げており、ハードウェア、ソフトウェアともにかなり作り込んで、きれいに映るように改良されているという。特に暗いところでの発色の良さは、今までの5MピクセルCMOSカメラと比べても非常に優秀だと胸を張った。

 また、シャープではこれまで、縦にスライドする端末は手がけたことがあったが、横にスライドする携帯電話は初めてということもあって、スライド時のがたつきをなくすため、いろいろと工夫を凝らす必要があったという。このあたりのノウハウは、奈良でWindows Mobile端末などを開発している部隊などにも助言を仰ぎ、スムーズなスライド動作と高い安定性を実現した。

 「今の時点でもかなり大きく開いているのですが、もっとボディをスライドさせてほしいという要望もありました(笑)。本体を薄型化する必要があり、あまり厚さも取れない中で、強度を維持しつつスムーズな開閉を実現するのは結構大変でしたが、スライド時にスッと動く心地よさがうまく実現できたと思います」(足立氏)

QWERTYキーのメリットを引き出すスライド連携機能

 こうした開発陣の数々の努力の結晶として生まれたSH-04Aは、少し使ってみれば、すぐにその考え抜かれた使い勝手の良さに驚かされるはずだ。特に「QWERTYキーを引き出す」という行為は、スライドする動作そのものに意味があるため、QWERTYキーボード搭載機ならではのスライド連動機能もしっかり用意した。

 1つが待受状態でボディをスライドさせた場合。初期設定では待受のままだが、あらかじめ設定しておけば、新規メール作成画面を呼び出したり、フルブラウザのBookmarkフォルダを開いたりできる。キーを引き出すことですぐにメールが作成できる、あるいはすぐにインターネットにアクセスできる状態にしてくれるので、使いこなしたい機能の1つだ。また、写真を撮ったあと、プレビュー画面でQWERTYキーを引き出すと、そのまま写真を添付した新規メールが作成できる。ブログに写真をアップしたい場合などに重宝しそうだ。

シャープならではの、“日本のタッチパネルケータイ”

 日本のユーザーにとって使いやすい、新しいタッチUIのあり方から検討が始まり、開発されたSH-04A。このモデルには、シャープとして、タッチパネルが日本の携帯電話に合うのかどうかも含め、検討した成果がすべて盛り込まれている。また、SH-04AはPRIMEシリーズではなくPROシリーズに属するモデルということもあって、シャープとしてPROシリーズをどう位置づけているか、という点も明確に示したモデルでもある。

Photo 「SH-04Aは、一般のケータイユーザーにも使いやすい、“日本のタッチパネルケータイ”にできたと思います」と大屋氏

 「我々は、Windows Mobile端末やPDAのユーザーではなく、先進のケータイをかっこよく使いたいユーザーさんをPROシリーズのユーザーさんと位置づけ、そういった人たちに対して、従来の携帯電話の枠を超えた新しいケータイを提供したいと考えました」(大屋氏)

 いわゆるケータイのヘビーユーザーではなく、一般のケータイユーザーに向けて、タッチパネルやQWERTYキーボードのあり方を提示したかったと大屋氏は言う。

 ケータイメールだけでなく、POPメールの送受信を専用のiアプリ「リモートメール アプリメール for SH」をプリインストールしたのも、そんな思いからだ。横向きの画面とQWERTYキーボードを持ったSH-04Aだけに、これをPCのメールの読み書きに使えたら、きっともっと便利になるに違いない──。そう考えたシャープ開発陣が、何とかパケ・ホーダイの枠内で利用できる形でPC向けのPOPメールの読み書きを実現した。仕事用、プライベート用を問わず、PC用のメールアドレスを利用している人はたくさんいるはずだ。そうした人たちであれば、通勤中や移動中などにメールが確認できるだけでも、きっとケータイの利用スタイルが大きく変わるだろう。

 大屋氏は「SH-04Aは、ライフサポートケータイだと思います」と話していた。確かにSH-04Aは、ケータイユーザーの生活を豊かにしてくれる要素をたくさん持った、“日本のタッチパネルケータイ”の1つの答えと言えるのではないだろうか。

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提供:シャープ株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月16日