佐野氏 iOS版はまだ改善していく部分があると思うのですが、iOSの仕様云々に関わらず、修正していきたい部分はありますか。
高部氏 ユニバーサル対応ですね。Appleの要望も色々あるので、まずそれに順次対応していきます。既存ユーザー視点で考えると、インライン入力に関して、トリッキーなやり方ではなく対応したい。サードパーティのアプリもネイティブのIMEと同じ仕様にしてほしいという思いはあります。あとは着せ替えなどのコンテンツの充実ですね。今までは入力内容に注力してきましたが、今後は着飾る部分にも注力したいと思っています。機能面では、今まで以上にホットワードや最新の流行語をいち早く発掘して、変換候補に出していきたいと思っています。絵文字やアスキーアートに関しても、我々の強みは読みと関連付けて出せることなのですが、そこもテコ入れしていきたいです。
佐野氏 アプリを進化させていく上で、新たに別のデータが必要になるといったことはないと考えていいですか。
高部氏 そうですね。基本的には今あるデータの中でやっていこうと思っています。プラスαのデータは今後は極力取らない方針です。大きな方針転換をしなくてはならないときは、きちんとリリースし、オプトアウトの仕組みを付けて、ちゃんとやります。将来的には、マネタイズフェーズなども見据え、Oauthなどを活用した簡易アカウントシステムなども実は検討予定がありますが、しっかりした前提がない限りは基本的に取得する内容等は増やしません。裏側で隠れて黙ってやることも絶対やりません。上場企業として絶対やりません。
佐野氏 そういうメッセージを伝えていくということが、今後の重要なミッションになるでしょうね。
高部氏 そう思います。担当者の声、肉声っぽい内容を伝えていくことが重要だと思います。
佐野氏 今まで顔が見えない分、不信感につながっていたように思います。
高部氏 そうですね。外国の企業が提供しているアプリもありますが、そこでも発表会などでは日本人の代表や役員が出てきます。何かあったら日本の責任者がきちんと説明する。我々も、国内の広報を強化し、日本支社としてコミュニケーションしていくべきではないかと思っています。日本のマーケットでちゃんとビジネスをやっていきたいという意識改革は、日本の社内でも本国でもやっている最中です。
―― 最後にユーザーや読者にメッセージをお願いします。
高部氏 Simejiは現在、アカウントシステムを設けていないので、個人情報は取得していないということを改めてお伝えしたいです。IMEI(携帯電話の識別番号)も取得していません。ご存知の方も多いと思いますが、Android OSやiOSではそもそも取得することを禁止しています。もっといえば、IDと入力内容に関しては、変換手順の中で一切紐付けていません。あくまでビジネスですから、IDはDAU(Daily Active Users/1日のアクティブユーザー数)やMAU(Monthly Active Users/月間のアクティブユーザー数)など、いろんな統計を計るために活用していますが、個人情報を取得しない形になっています。
全角で変換して出る数字に関しては、ログに刻まない仕組みを入れています。一部、ユーザー辞書にアクセスする機能がありますが、ユーザー辞書から候補で確定した内容に関しては、精度向上のためのログに記録しない仕組みが入っています。こういう形で、個人情報は取得しないメカニズムをクライアント側に実装しています。
今回はSimejiへの疑問について、バイドゥの高部氏、加藤氏にかなり詳しく解答していただきました。しかしSimejiの機能や仕様についてもっと詳しく知りたい、という方も多いのではないでしょうか。そこで読者の皆様からのSimejiに関する質問をお受けし、それをもとに追加の取材を行いたいと思います。下記のフォームより、Simejiについて、また今回の内容について疑問に思っていることをお送り下さい。
ご協力、誠にありがとうございました。
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