ネットワークの改善は紹介キャンペーンにもプラスに働いているという。
「自分が使ってみて『全然問題ない』という体験、評価が、紹介によって他のお客さまに伝わって、契約者が増えるといういい循環になっています」(中村氏)
実際に利用しているユーザーの口コミが説得力を持って広がっているようだ。現在は紹介キャンペーン第3弾が開催されており、楽天モバイルを紹介する人は1人につき7000ポイント、紹介される人はMNPで乗り換えると1万3000ポイント、それ以外でも6000ポイントがもらえる。紹介する人、される人、どちらも楽天ポイントをもらえるという大盤振る舞いの魅力もあって、現在、契約申し込みの2割から3割が紹介キャンペーン経由だという(注8)。
「紹介キャンペーンは、紹介する側、される側両方にメリットがあります。結局、販促費をテレビCMなどの広告に使うのか、お客さまに直接還元するのかという考え方だと思うのです。紹介キャンペーンは、まさにお客さまに直接還元している施策です」(中村氏)
特典内容が多少変化する可能性はあるものの、紹介キャンペーンは当面、継続する予定だ。中には100人規模で紹介する強者もいて、楽天モバイルから表彰されることもある。ポイントをもらえることが魅力なのは間違いないだろうが、積極的に楽天モバイルを紹介し広めていることから、アンバサダーのような役割を担っているともいえる。
しかも、紹介キャンペーン経由で楽天モバイルを契約するユーザーはすぐに解約しないという。紹介キャンペーンはユーザー獲得のドライバーになっていることに加え、優良顧客を獲得できることも特徴だと中村氏は説明していた。
他のキャンペーンでは、楽天カードと一緒に3カ月に1回のペースで開催している「マジ得フェスティバル」も非常に好調だという(注9)。目玉として、楽天カード会員が楽天モバイルを初めて申し込むと2万ポイントもらえるキャンペーンを展開している(2024年12月2日まで)。
通信4キャリアのユーザーがメインで使うクレジットカードは、全キャリアで楽天カードが最多という第三者機関の調査データもあるほど楽天カードは競争力が高い。そのカードに加え、銀行、証券、Eコマース、トラベルなどさまざまな業種で構成される楽天グループのエコシステムは、他キャリアとの最大の差別化ポイントだ。今後もエコシステムを生かし、コラボレーションキャンペーンを展開するという。
4つの割引プログラムを導入した楽天モバイルだが、料金プランは「Rakuten最強プラン」の1プランで変化はない。3GBまで月額1078円、20GBまで月額2178円、それ以上は月額3278円で無制限に使える(注2)。
一方、競合他社はデータ容量30GB前後のプランを強化してきた。従来20GBで3000円弱だったプランのデータ容量を30GBにアップするキャリアが登場し、30GBプランの競争が勃発している印象がある。楽天モバイルの動向も注目されている。
ただ、中村氏は「数字を見ているが、それほど影響は受けていない」と言って以下のように説明した。
「誤解されているところがあるのですが、他社さんは今まで20GBだった容量を30GBにして3000円前後。楽天モバイルは20GBまでは2178円で、一段階低い価格です。ここはマーケティングでもっと頑張って伝えていかなくてはいけないところですが、20GBで比べると1000円安かったのです。そこを他社さんは30GBにした。30GBで3000円前後と、20GBで2178円、競争力的には負けていません。そして何より楽天モバイルはデータ利用が無制限(注2)です。そこはまだ圧倒的な優位性を保っていると思います」
3000円付近で価格帯は近いが、30GBという上限がある他社と、制限のない楽天モバイルでは使い方がやはり異なるだろう。月によって20GB、30GBで収まるときもあれば50GBを超える月もあるとすれば、結局は楽天モバイルの方がお得に使えると中村氏はアピールする。2178円で利用できるデータ容量を20GBから30GBにするといった変更は、「現時点では予定していない」とのこと。
料金プランの動きでは、他社の「ポイ活」連動プランも気になるところだ。楽天グループの1社である楽天モバイルは当然ポイントが魅力の1つ。楽天モバイルのユーザーなら、楽天の各サービスを使うことでポイント倍率が上がるお得なプログラム「SPU」が+4倍となって、楽天市場のお買いもので獲得できるポイントが毎日5倍だ。中村氏もポイントには自信を見せる。
「他キャリアのユーザーさんですら、楽天ポイント、楽天銀行、楽天カードを使われているくらいなので、優位性は確実にあります。楽天モバイルの契約でもともと使っていたサービスのポイント倍率が上がるとなると、なおさら魅力度はアップすると思っています」
毎月のお知らせメールに、ポイントでどれだけ割り引かれたか、ポイントをどれだけ獲得できたかも記載されており、お得さを実感できる仕組みになっている。月額利用料を全額ポイントで支払っているユーザーや、月額利用料金よりも獲得したポイントの方が多いユーザーもいるそうだ。
今後、注力する分野や将来の展望も聞いた。
まず気になるのが、2024年10月末に発表し、業界関係者も驚かされたコンシューマー向け生成AI「Rakuten Link AI」だ。既にさまざまな生成AIサービスが登場している中、自社開発したAIサービスをユーザーに提供することは、キャリアとして珍しい。
中村氏は「エコシステムのシナジーを加速させるものの1つ」と説明する。
「弊社はもともと、インターネット上であらゆるサービスを展開する企業体なので、次のプラットフォームといわれているAIには当然、取り組みます。モバイルとの親和性も高いので、一緒に提供するのは自然なことだと思っています」
もちろん、楽天グループ各種サービスとの連携を視野に入れて開発を進めている。
Rakuten Linkアプリにおいて、現在さまざまな機能が提供されているが、中村氏は「Rakuten Linkアプリはもともと“スーパーコミュニケーションアプリ”としてスタートしています」と説明。その頃からのコンセプトに変更はないとしている。Rakuten Linkアプリのロゴが受話器から楽天グループのシンボルである「R」ロゴに変更されたのも、その現れだという。
もう1つ注力しているサービスがコンテンツだ。楽天モバイルを契約すると、「NBA Rakuten」や「Rakuten パ・リーグSpecial」「Rakuten Music」が追加料金なしで利用できるが、さらに「Hulu」や「DAZN」をお得に楽しめる「トク得!エンタメセレクション」が加わった(注10)。楽天モバイルからHulu、DAZNに申し込むと、それらの月額利用料が最大20%ポイント還元される。
「無制限のRakuten最強プランとの相性がすごくいいです。無制限だから容量を気にせずに動画を楽しめ、かつポイントも還元されるということで、非常にご好評いただいています」(中村氏)(注2)
オンラインサービスだけでなく、オフラインのショップも強化する方針だ。最強シニアプログラム、最強こどもプログラムは、ショップでの申し込み比率が高く、ショップじゃないと契約できない層に対応するためにも、ショップのサービスを充実させていくという。
2024年は4つのプログラムで幅広いユーザーを獲得。ネットワーク改善やプラチナバンドの商用化開始で解約率を抑え、飛躍の年を送った楽天モバイル。2025年に向けてどのように進化していくのだろうか。
「2025年に向けては、それらを継続しながら、Rakuten Link AIなどサービス面の拡充、エコシステムとの連携を強化し、楽天モバイル自体の魅力をさらに増やして契約者数増につなげたい。エコシステム全体としての利益も上げていきたいと思っています。もちろん、ネットワーク改善には終わりがないので、継続的にやっていきます」
引き続き、挑戦していく姿勢を崩さない。
「契約のペースは落ちていません。MNPでもずっとポートインがポートアウトを超えて勝ち続けていますし、その数字も上がっています。今後も引き続き契約数増加を目指します」
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提供:楽天モバイル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2024年12月3日