国内でeSIMをいち早く提供したIIJは、長年の運用で豊富なノウハウと信頼性を蓄積してきた。iPhone 17シリーズのeSIM完全移行にも迅速に対応し、新規契約の約半数がeSIMを選ぶ。手厚い動作検証や充実したサポート体制により、初心者でも安心して利用できる環境が整っている。
モバイル通信サービスの「eSIM」が国内でも普及しつつある。eSIMとは「Embedded SIM(組み込み型SIM)」の略称で、携帯電話に内蔵したSIMチップのこと。SIMカードを抜き差しすることなく、通信に必要なプロファイル情報を遠隔で書き込める。
このeSIMを国内で初めて提供した通信会社がIIJ(インターネットイニシアティブ)なのはご存じだろうか。IIJが2019年にeSIMを提供開始してから7年目を迎え、今や携帯キャリアやMVNOの多くがeSIMを扱っている。この7年の間、IIJはeSIMに関する多くのノウハウを蓄積してきており、「eSIMといえばIIJ」といっても過言ではない。
IIJはeSIMに対して、どのような取り組みを行い、どのようにサービスを拡充していったのか。また、安心してeSIMを利用するためにどんな工夫をしているのか。IIJとeSIMの歴史をひもときながら、解説していこう。
IIJが初めてeSIMを提供したのは、2019年7月18日に開始した「IIJmioモバイルサービス ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」だった。当時は携帯キャリアもeSIMを提供しておらず、IIJが国内初のeSIM提供事業者となった。
IIJは自社で顧客管理システムを持ち、SIMを発行できる「フルMVNO」としての事業も展開しており、eSIMもこの事業体だからこそ提供できた。料金は6GBの高速データ通信付きで月額1641円(現在は税込み1672円)だった。データ通信専用で、対応デバイスもiPhoneやiPadに限られたが、先進的なサービスを好むユーザーを中心に話題を集めた。
IIJは2018年にフルMVNOサービスを開始した当初、eSIMはどちらかというとIoTデバイス向けを想定していたそうだ。しかし、同じく2018年にAppleの「iPhone XS」「iPhone XR」がeSIMに対応したことで、コンシューマー向けにも提供できるのではないかと判断。ただし当時の事業環境の観点から、β版という形で試験的に展開する形とした。
2020年3月には「データプラン ゼロ」として正式にサービス化を果たした。月額165円の0GBから始まり、必要な分だけ1GB単位でチャージするというユニークなプランを採用。当時、携帯キャリアは使い放題プランや大容量プランを打ち出していたが、そこに対抗するのではなく、サブ回線を狙うという戦略で料金を設計した。まだ完成形ではなかったが、手軽に利用できる料金が受け、狙い通りサブ回線需要を喚起した。
2021年4月にIIJmioの料金プランを「ギガプラン」に一新したことに伴い、eSIMも正式プランに加わった。これまでと同じくフルMVNOを利用したもので、当時の料金は月額440円で2GBから月額1650円で20GBまでだった。音声通話対応のeSIMはこの時点ではまだ利用できず、eSIMはサブ回線としての使い方が主流だった。
そしてこの2021年には、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアもeSIMの提供を開始した。IIJのフルMVNOはデータ通信専用なので、音声対応のeSIMを扱うには、キャリアからの開放が必要になる。IIJmioではドコモとKDDIの回線を利用しているので、両キャリアがeSIMの提供を開始したことで、IIJmioの音声eSIMも現実味を帯びてきた。
2022年10月に、au回線を用いるIIJmioのタイプAで、ついに音声eSIMを利用できるようになった。eSIMがデータ専用から音声対応になったことで、サブ回線ではなくメイン回線としても利用可能になり、eSIMの裾野が広がった。
2023年9月には、ドコモ回線のタイプDでeSIMが利用可能になった。これにより、IIJmioのタイプDとタイプAの両方が音声eSIMに対応し、選択の幅が広がった。
例えばドコモ回線とau回線をそれぞれeSIMで契約し、必要に応じて使い分けることも可能になる。物理SIMならSIMカードを入れ替える必要があったが、eSIMなら一度プロファイルを設定すれば、以降はモバイルデータ通信で利用する回線を設定から変更するだけで回線を切り替えられる。
IIJなら「複数回線でeSIM」も可能になり、「メインとサブ」「用途によって使い分ける」など、さまざまなニーズに対応できるようになった。
2025年にはeSIMのみ対応の「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」が登場した。これを契機に、これまでeSIMに対応していなかったMVNOは、eSIMの導入に追われることになった。IIJでも、iPhone 17の発売後は例年に増してeSIMの申し込みが増えたが、以前からeSIMを提供してきたこともあり、iPhone 17シリーズ発売後も対応がスムーズであった。
IIJでは、新型iPhoneが毎年発売されるたびに、実機を購入してSIMの対応状況を検証し、その結果を「お知らせ」で公表している。検証結果をいち早く告知できるよう、IIJの担当者が事前予約をして発売日に新型iPhoneを購入し、すぐに動作検証へと取り掛かる。
iPhone 17はeSIMオンリーになったが、IIJはこれまでもデュアルeSIMの検証を続けてきており、プロセッサの変更があった部分に注意しつつも、実は新しく追われた対応はなかった。そのため、iPhone 17では発売日に検証作業を終え、同日16時には対応状況を公表できた。
iPhoneの発売時だけでなく、iOSのアップデートがある際も検証を行い、何らかの不具合があった際は報告するようにしている。こうしたきめ細かでスピーディーな情報発信は、IIJが信頼できる理由といえる。
実際、IIJmioではeSIMの利用回線が年々伸びている。新規契約時におけるeSIMの申し込み比率は、2025年に約半数に達しており、2024年から17.7%拡大しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:株式会社インターネットイニシアティブ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2026年6月30日