携帯電話でCMが見られる時代――Mobile CM

新しく始まった携帯電話のCMサービス。会員登録したユーザーにiアプリを用いてCM配信する仕組みだ。開始3日めのこのサービスについて,社長から直接,話を聞いた。

【国内記事】 2001年5月29日更新

 5月25日から,携帯電話にCMを配信するサービス「Mobile CM」が始まった(5月23日の記事参照)。携帯電話でCMを流すというこの新しいサービスについて,C&Cの近石健介社長に話を聞いた。

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CMを見るだけで3000円!

 最初に,簡単にサービスの概容を見てみよう。Mobile CMはユーザーにとっては,CMを見ることでドコモのモバイラーズチェックをもらうことができる,iアプリを使ったサービスだ。NTTドコモの503iシリーズで利用することができる。何度もCMをチェックすることで,3000円分のモバイラーズチェックが郵送される(後に詳述)。

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「CMをチェックするだけですぐ3000円相当のカードがもらえる。簡単なバイト感覚でやっていただきたい」(近石社長)

 まずユーザーは同社のページで会員登録を行う必要がある。登録にあたっては住所(カード送付先用),年齢,名前,性別,職業,趣味などを入力する。これらの情報は,CMを提供する側の企業のマーケティングに利用される。

 次に,CMを流すJavaプログラムをダウンロードする必要がある。このプログラムは同社の開発したiアプリで,ユーザーが終了しない限り画面上で動作し,CMを流し続ける。ただし電話の着信・発信,メールの送受信,ほかのiアプリを起動させるなどすると終了されるため,次回CMを見るには,iアプリを再度起動させる必要がある。

 CMは15秒もしくは30秒のもの。ユーザーがボタンを押すと次のCMに切り替わるほか,自動的にも切り替わる。このCMが切り替わるごとに(あるいは自分で切り替えるごとに)ユーザー側に1ポイントがつくことになる。つまり,多くのCMを見れば見るほどポイントが多くつくことになるわけだ。スクリーンセーバーがかかると「CMを見ていない」ことがiアプリ側で判断され,ポイントにならない。ポイントが1400ポイントたまると,晴れて3000円分のモバイラーズチェック獲得ということになる。

 実際にCMサービスを使ってみた。次々とCMが流れるため,左上に表示される手持ちポイントがどんどんたまっていく。ためられるポイントは一日100ポイントが限度だが,100ポイントくらいはすぐにたまりそうな感じだ。近石社長によると「現在サービスを開始して3日めだが,3万人いるユーザーの平均ポイントは約250だ」。たいていのユーザーが一日の限界である100ポイントは達成しているようだ。

 なおモバイラーズチェックとはドコモの商品で,携帯電話向けのプリペイドカードだ。裏面に銀色のスクラッチ部分がついており,これを削るとパスワードを兼ねる番号が現れる。ドコモの携帯電話から1400をダイヤルし,ガイダンスに従ってパスワード番号を入力すると,ドコモの請求額からモバイラーズチェック分の料金がひかれるというわけだ。

キー局も参加

 Mobile CMはクライアントにとってはどういうサービスなのだろうか。

 これはユーザーの情報をつかんだ上でCMを配信することができるサービスで,1日1ユーザーにつき10円から配信することができる。同社はほかに「Mメール」というサービスも提供しており,広告と同時にメール配信も行える。

 現在大手企業が参加しており,キー局と呼ばれるテレビ局や,日本で有数の経済新聞も広告を配信中だ。「クライアントの選択は厳密にしている。良質の広告を配信することを心がけており,風俗情報や出会い系サイトのような広告は載せることがない」(近石社長)

 CM枠は1日40本で,月に4回改編がある。ユーザーとしては月に4回,CMの顔ぶれが変わることになるわけだ。現在は月4回だが,いずれ毎日改編する(つまり毎日CMが変わる)仕組みにする予定だという。

パケット代は大丈夫か?

 ここでユーザーにとって気になることがある。iアプリは,ダウンロードする際にパケット料がかかる。普通のiアプリはいったんダウンロードしてしまえば後は料金がかからないが,このJavaプログラムはCMが変わるごとにダウンロードを行うため,CM改編ごとに,つまり月に4回,自動的にダウンロード代が発生することになる。

 これについて近石社長は「現在,ダウンロードするCM情報は月に75円ほどで,たいした額ではない。将来的に動画CMを配信するとなるとダウンロード代もかなりのものになるかもしれないが,その頃はキャリア側でダウンロード代も定額制にすると聞いている。こちらとしてもそれに柔軟に対応した別プランを用意する」という。

Mobile CMの今後

 今後は,ダウンロードするCM群の合間にゲームを入れる予定もあるという。CMと一緒にゲームを無料でダウンロードすることができる,より魅力的なサービスにしていく予定だ。

 「今後,海外に進出する予定もある。既にタイの国営企業からCM配信の打診があった」(近石社長)

 大手企業をクライアントにつけ,さらにサービスを拡大するMobile CM。同社のうたう戦略が「宣伝どおり」にいくかどうか,今後見守っていく必要がありそうだ。

[杉浦正武,ITmedia]

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