これだけ違う,携帯の文字入力――POBoxの威力(2/2)

キーを1回押しただけで文章完成

 学習機能が働き始めると,さらに省力化できる。例えば「明日の待ち合わせは何時にしますか」を入力するとしよう。筆者のC406Sでは以下の手順で日本語として入力できる。

『あ』
(候補から選択)  →「明日」
(予測候補から選択)→「明日の」
(予測候補から選択)→「明日の待ち合わせは」
(予測候補から選択)→「明日の待ち合わせは何時」
(予測候補から選択)→「明日の待ち合わせは何時に」
(予測候補から選択)→「明日の待ち合わせは何時にします」
(予測候補から選択)→「明日の待ち合わせは何時にしますか」

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このように最初に読みカナとして「あす」を入力するだけで,後は候補を選択していくだけで目的の文章が入力される(拡大画像

 読みを入力したのは「あ」だけ。もちろん学習効果が働いているからだが,極めて効率がいいのが分かるだろう。ここまでの省力化は一部だと思うが,平分であれば通常の日本語変換に対して半分程度の読みの入力で済むことは多い。

 ただPOBoxにも使いこなしのコツはいる。候補数がある程度絞り込まれる程度には読みを入力しないと,候補の選択に時間が掛かる場合も多いのだ。

 例えば「こ」という読みで「今度」を選択するには3ページめまで一覧を進めないといけないが,「こん」の読みからなら1ページめの候補として表示される。

 ある程度候補数が絞り込まれるまで適切な読みを入力したほうが,効率のいい日本語入力ができることが多い。例えば最初の候補一覧に目的の日本語が含まれない場合は読みの続きを入力する,といった基準を自分で決めてしまうことも必要だろう。

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「今度」という文字を入力したい場合,「こ」だけでは最初の候補一覧には登場せず,3ページめに登場となる。「こん」まで入力すれば最初の候補一覧に登場するので,変換効率としては後者のほうがいいだろう

SO503iのPOBoxは実は使えない!?

 現在POBoxを搭載するケータイはauの「C406S」「C413S」,ドコモの「SO503i」だが,SO503iではPOBoxに対する不満をよく聞く。

 初期状態の時はいいのだが,学習が進むと候補一覧の表示に時間が掛かり,読みの入力を取りこぼすという現象だ。例えば「1」を5回押しても「お」にならず,「う」や「え」を入力したことにしかならないのだ。

 この問題はauのC406Sでは発生していない。POBoxの実装方法が違うからだ。例えばSO503iでは「1」を3回連続して押すと,「あ」の候補一覧,「い」の候補一覧,「う」の候補一覧と,1回ボタンを押すごとに候補が必ず表示する。

 ところがC406Sでは「う」の候補一覧しか表示しない。最後にキーが押されてから僅かに間をおいて候補一覧を表示するのだ。SO503iではキーを押すたびに候補一覧を表示してしまうので,これがネックになってキー入力を取りこぼしてしまう。

 この症状は複数のユーザーから確認しており,これでは使い物にならないのでPOBox(予測変換)は無効にしているユーザーもいる。

 学習を行わなければ速度の低下は起こらないのだが,残念ながらPOBoxにはそういったオプションは用意されておらず,使い込むほどに賢く,そして遅くなってしまう。

 もちろんゆっくりキー操作を行えばいいのだが,それではPOBoxの意味は半減だ。不具合といっていいかどうか判断しかねるが,かなりストレスがたまる症状である事は間違いない。POBoxが使えないSO503iはその存在意義が半減だと思うのは筆者だけではないと思うのだが……。

 POBoxはケータイの文字入力環境に対して根本的な部分にメスを入れた点が画期的だ。反面ジョグダイヤルあって初めて実現される機能でもある。

 ほかの端末メーカーは自社開発するにせよソニーからOEM供給を受けるにせよ同じ発想の日本語変換システムを導入することは難しいわけだ。これらのことを踏まえ,引き続き「効率の良い日本語変換」という点にメスを入れたATOK Pocket,J-フォンの「J-K04」に搭載された「入力文字予測」を検証していく。

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[坪山博貴,ITmedia]

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