FOMAの布石,M-stage visualはどうなった?

モバイル動画配信サービスの現状はどうなっているのだろうか? まずはFOMAでも提供される予定の動画配信サービス「M-stage visual」を見ていくことにしよう。

【国内記事】 2001年7月6日更新

 モバイル動画配信は「第2のテレビ」になり得るか? 10月にはNTTドコモのFOMAの本サービスが始まる。これにより携帯電話からも動画配信サービスによるコンテンツが閲覧できるようになる。

 見ることができるのは「M-stage visual」の動画コンテンツだ。これは現在,シャープ製の映像受信端末eggyにPHSをつなげて視聴することができる。M-stage visualは5月30日に無料試験サービス期間が終了し,現在では月額200円の有料放送に移行した。M-stage visualのコンテンツはどのようなものか,番組の種類,見る上での使い勝手などを中心に見ていくことにしよう。

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数は十分,65以上のコンテンツ

 まず気になるコンテンツ数だが,6月8日にドコモが公表した時点で65コンテンツ,約250の番組が用意されている。現在では,少し増えて70チャンネル以上となっているようだ(詳細はこちら)。

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 内容も多岐にわたり,映画の予告編やショートコント,アイドルのビデオクリップにニュース,ドラマなど, とても1日で全てを見尽くすことはできないほどだ。番組のアップデートがそれぞれどのくらいの頻度で行われているかは不明だが,少なくとも「日本テレビチャンネル」のお笑い番組は数日で別のコントに差し替えが行われていた。

 番組の長さとしては数十秒のものが中心で,短いものでは12秒,長いものでも5分ぐらい。画面の上の方に番組のトータルの長さが表示されており,その下に現在そのうち何分視聴したかが表示されるようになっている。

番組表が欲しい!

 1つ問題なのは,番組がうまく一覧できないところ。チャンネルリストはあっても,どこがアップデートされたかはそのチャンネルに行ってみないと分からない。テレビのように,新聞の裏を見ればその日の新しいプログラムが分かるようになればいいのだが,現状ではそうもいかない。その日ごとに多数あるコンテンツの中を,ふらふら歩いて見て回るというのが基本的な視聴スタイルになりそうだ。

 さらに,コンテンツの多さが災いして操作がやや面倒な印象も受ける。M-stage visualは基本的にインターネットのWebページのようなかたちを取っているため,トップのインデックスから各チャンネルをタップする(もしくはボタンを押す)ことで移動することになる。そのため,あるチャンネルの階層深くまで進むと,「M-stage visualのトップに戻る」という都合のよいアイコンが配置されていない限りは,わざわざひとつひとつ戻ってからほかのコンテンツに切り替えなければならないのだ。テレビがリモコンによって瞬時に画面を切り替え,「ザッピング」できるのと比べると,M-stagevisualは構成上不便だ。

何が見たいか,何が見れるか

 現在M-stage visualは,ドコモのPHSである「P-in comp@ct」「パルディオ」「ドッチーモ」などと接続して64Kbpsで視聴することになる。しかしISDNユーザーなら分かるだろうが,64Kbpsという通信速度は動画を視聴するのに満足できる速さではない。

 特に動きの速いものになると画面がぶれやすい。動画圧縮の関係上,直前のコマと大きく異なる画面が表示された時に最も画面が乱れることになるのだが,画面切り替えの早いコンテンツは「見れたものではない」というのが正直な感想だ。映画の予告編やスポーツ番組は,この理由から楽しむには画質が厳しい。

 ドラマも厳しい。登場するキャラクターの細かい表情が分からないのだ。これではアイドルの表情の変化を楽しみたいユーザーには,不満の残る内容といえるだろう。

 逆にそれなりに楽しめたのはお笑いのコントなど。トーク主体の番組は聞こえれば内容が分かるため,笑うこともできた。

 以上のことから考えると,M-stage visualのコンテンツプロバイダーは,提供するコンテンツをよくよく考える必要がありそうだ。確かに動きの激しい動画を見たいユーザーもいるだろうが,現実問題として視聴に耐えない。10月からFOMAの本サービスが始まるが,やはり64Kbpsの回線交換方式でM-stage visualの提供が予定されている。それならば,まずは「ナローバンドでも視聴可能なコンテンツ」作りを急ぐのが先ではないだろうか。

 具体的には,会話主体のコンテンツを増やすのも手だろうし,背景を静止画にして動画を一部にするようなコンテンツも考えられる。また,実際に見てみた感じでは,アニメーションはさほどストレスなく見ることができる。こうしたアニメと動画の融合というのもあり得るだろう。

 ユーザーの期待が高まるモバイル動画配信。「見たい動画」と「見られる動画」をコンテンツプロバイダが上手く重ねることが,今後の成功のカギを握っている。

[杉浦正武,ITmedia]

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