松下とNEC,携帯電話端末開発で提携――焦点はソフトウェア

携帯電話のソフトウェア開発は,もはや1社では困難な状況になっている。松下とNECは世界市場へのさらなる進出も視野に入れ,携帯電話の端末開発で提携する。

【国内記事】 2001年8月21日更新

 松下電気産業と日本電気,松下通信工業は8月21日,携帯電話端末分野における開発協業を行うことで合意した。

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左から松下通信工業の桂靖雄社長,松下電器産業の川田隆資副社長,松下電器産業の中村邦夫社長,日本電気の西垣浩司社長,日本電気の杉山峯夫取締役専務

 今回の提携は「ソフトウェア開発に多大なリソースを必要とする第3世代携帯電話において,NECと松下の共通の強みであるW-CDMAの先行技術を生かす」(NECの西垣浩司社長)ために行われた。協業の目的に掲げられたのは以下の4点だ。

第3世代携帯電話端末のアーキテクチャの共同規定化およびアプリケーションなどの共同開発
モバイル融合市場における新端末の共同開発
製品投入時の評価試験における協力
2.5世代のGSM/GPRSから第3世代も含む,必要に応じた製品の相互補完

 提携の話は昨年秋ごろから持ち上がっていたという。今後,欧州など世界の市場への端末投入を目指すに当たり,「Nokiaの力が非常に大きい」(松下電器産業の中村邦夫社長)ことから,日本国内の技術を結集して対抗すべく事業提携に至った。

携帯電話用統一アーキテクチャを開発

 具体的には両社共同で携帯電話のOS,ブラウザなどを含むアーキテクチャを開発する予定。松下のソフトもNECのソフトも動作するアーキテクチャを共同で規定し,アプリケーションソフトウェアなども共同で開発していくという。「このアーキテクチャは今後,デファクトというか,より広く使われるものになれば幸い。賛同する企業があれば一緒にやっていくこともあり得る」(西垣社長)

 現在,携帯電話においてCPUのクロックスピードやメモリはみるみる高機能化している。これに伴い,各メーカーもソフトウェアに関して相次いでバグを出す(6月18日の記事参照)など,携帯電話のソフトウェア開発は「一社だけの力では困難になってきている」(中村社長)状況だ。

 携帯電話の開発の中でソフトウェアは大きな比率を占め「(松下とNECを合わせた)8000人の開発者のうち,ソフトウェア担当は5000人を超える」(西垣社長)というほど。こうしたソフトウェアの開発について協力していくのが最大の狙いだ。「これまでとは比べものにならないほど膨大になる」(中村社長)試験や評価についても,共通のツールを使うことで効率化を図るという。

 両社とも,FOMA試験サービス用端末の開発を担当しているメーカーだけに“技術を結集した夢の端末”が発売されるのかと勘ぐりたくなるところだが,「共同開発による端末は特に出す予定はない。今後ソフトウェアにとどまらず,チップセットなどの分野での提携もあるかもしれないが,統一ブランドで端末を出すというわけではない」(中村社長)。

 なお開発の成果は,ほかのメーカーにもオープンにしていく予定。「いついつからこういうモデルで提携する,ということは決まっていないが,基本的に第3世代携帯電話が普及するのに合わせて」(中村社長)事業を進める。最初の製品は海外市場,特に欧州に的を絞って開発を進めるという。

 既にソニーがEricssonと携帯電話端末事業に関して統合を発表したように(4月24日の記事参照),世界の市場参入を目指した各勢力の再編成が進んでいる。

[杉浦正武,ITmedia]

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