受信料定額のライトEメールの“メリット・デメリット”──DDIポケット

feelH"利用者に朗報。一定の月額料金で,Eメールの受信を無料にしたライトEメールサービスが開始される。しかし使い方には注意する必要がありそうだ。

【国内記事】 2001年10月17日更新

 DDIポケットは11月1日より新しいEメール送受信サービスとして「ライトEメール」を開始する。定額料金が必要で受信は無料,ただし送受信文字数の制限は厳しく,J-フォンのスカイメール,ツーカーのSkyMessageに似たサービス内容となる。

【DDIポケット音声端末で可能になる2種類のEメール】

サービス名 課金体系 送信文字数 受信文字数
Eメール 30秒/10円 1000文字 1万文字
ライトEメール 受信無料/送信1通3円 45文字 45文字

*標準コース,スーパーパックSの場合

コミュニケーション主体のEメール利用の割高感を改善するライトEメール

 ライトEメールは,送受信文字数が最大45文字(90バイト)のライトメールの機能をそのまま利用し,Eメール送受信を可能にしたサービス。定額料は500円/月(年間契約者は300円,スーパーパックLL契約では無料)となり,受信は無料,送信は1通3円となる。

 最大45文字(90バイト)という送受信文字数にはメールアドレス,タイトルなども含まれるから,文字数制限はかなりきつい。メールアドレスだけでも10〜20バイトは当たり前なので,実質文字数は35〜40文字程度になるだろう。反面,現状のライトメール対応端末(主にfeelH"端末)でも利用できるというメリットもある。

 料金体系の似ているJ-フォンのスカイメールでは,送信こそ64文字(128バイト)だが,受信は最大192文字(384バイト)で無料,送信は3円/通,定額料も150円/月と安い。比べると送受信文字数,コスト共にライトEメールの割高感は否めない。(Eメールオプション利用時,関東甲信エリアの場合)

 ライトEメールはほかのキャリアからDDIポケットへの乗換えを促進できるほど魅力的なサービスであるとは考えにくい。しかしユーザー離れ,特に若年層に対しては歯止めをかける効果はありそうだ。これで若年層を中心とした頻繁にEメールの送受信を行うユーザーを引き止めたいというのがDDIポケットの本音ではないだろうか。

DDIポケットのEメールは割高か?

 現在,ケータイの利用の中心が音声通話からメールへシフトしつつあるのは周知の通り。それも,異なるキャリア間でも利用できる“Eメール”が中心だ。従ってユーザーから見れば“メールといえばEメール”であり,このコストが重要になる。

 DDIポケットは既にPメールとライトメールの送受信料を条件付で無料にしているが(2月6日の記事参照),これは友人がほとんどDDIポケットユーザーあるといったような特定ユーザーにしかメリットがない。

 DDIポケットのEメールは割高だったのだろうか? 単純にそうとは言い切れない。30秒/10円(メール割引適用の場合は5円)という接続時間での課金のため,送受信のたびに必要な最低コストは確かに安くない。その代わり32/64Kbpsという送受信速度のため一度に送受信可能なデータ量は大きく,一度に大量のメールを送受信した場合は各携帯キャリアよりもずっと割安になる。1通当たりの文字数も受信で1万文字(20000バイト),送信で1000文字(2000バイト)と大きい。

 しかしケータイで頻繁にメールを利用している人を見ると状況は少々変わってくる。ケータイのEメールは音声通話と同様コミニュケーション手段として使う人が多く,リアルタイム性を求める。つまり1通1通リアルタイムで送受信するのが当たり前だ。こういった傾向が若年層の利用者に強いのは周知のことだろう。

 DDIポケットのシステムがコストメリットを生むのは,まとめて大量のメールを送受信した場合。リアルタイム性を追求するとコスト的にも厳しくなる。

 例えば「今暇?」というEメールを送信するだけでも送受信側で10円または5円がかかる。パケット課金のiモードやEZweb@mailならそれこそ送受信共に1円だし,スカイメールでは送信側こそ3円かかるが,受信は無料。音声通話の代りともいえるコミニュケーション利用では,さほど多くの文字数を送受信することは稀だろうから,あながち極端な例ともいえない。

 ライトEメールはケータイでのEメールをコミニュケーション主体に利用するユーザーを意識したサービスだ。こういった使い方ならそれこそ20文字も送受信できれば十分な場合も多いだろうから,最大45文字という送受信文字数でも十分メリットがある。

割高感のある定額料をどうみるか

 もう1つ,ライトEメールで気になるのは割高感のある定額料だろう。基本的には500円/月,年間契約者で300円/月となる。スーパーパックLL契約者は無料だが,スーパーパックLLユーザーがそれほど多いとは思えない。おそらくライトEメールに興味を示す大半が年間契約者で,メール割引も利用しているユーザーだろう。

 では年間契約,メール割引も適用のDDIポケットユーザーを基準に試算してみよう。この契約のユーザーは,通常のEメールを1回5円で送受信できるため,定額料に当たる300円では,ライトEメールを導入しなくても最大60回Eメールが受信できる。つまり最低でも1日2回はEメールの受信を行うユーザーでないとライトEメールのメリットは出ない。

 もちろんこれはEメールの受信を行わなかった場合の話であり,ライトEメールで受信しきれないような長文メールの場合,ライトEメールは受信通知にしかならず,コストメリットはさらに薄くなる。

 メリットが出るのは,1日10通や20通短いEメールを送受信するユーザーだ。これまでのEメール送受信をすべてライトEメールの代替できるなら,受信1通当たり5円,送信1通当たり2円を節約できる(Eメールでは1度の接続で受信1通,送信1通と仮定した場合)。1日10通送受信なら1日70円安上がりになる計算だから,定額料の300円は5日もすれば元が取れる。1日4〜5通の送受信でもライトEメールは割安だ。

 普段利用しているEメールを転送している人でもメリットは出る。これまでもEメールの受信通知機能はあったが,これは本当に通知だけで受信したEメールの送信元もタイトルも分からない。ライトEメールなら最低限の内容が把握できるから,急を要さないEメールならわざわざEメール受信を行う必要がなくなる。

 またEメールの送受信はノートPCやPDAを主に利用しているという人なら,ライトEメールはEメールの受信通知として有効に利用できるし,PHSならではの高速で低コストなデータ通信機能も生きる。Eメールの着信をライトEメールで確認したら,PCと端末を接続し,PHSならではの低コストで高速なインターネットで速やかに重要なメールだけを読み出せばいい。

 なお定額料に関しては,せめてメール割引にライトEメールも含めてほしかったというユーザーの意見も多いようだ。確かにスーパーパックS+メール割引といった組み合わせのユーザーでは,ライトEメールを契約するとメールに関する定額料だけで600円/月も必要な事になり,基本料金が安いだけに導入は躊躇するユーザーが多そうだ。筆者も定額料金に関してはもう少しなんとかならないのか,というのが正直な感想だ。

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