「勝手サイトのトラフィックを増やしたい」──WAP2.0に賭けるKDDI

従来機種はサーバで記述言語を変換

 新シリーズはWAP2.0に対応することで,大きな進化を遂げる。では従来機種はどうなるのだろうか。

 12月の新シリーズ投入に伴い,au端末は3ラインアップ構成になる。WAP2.0や位置情報サービス「eznavigation」に対応したスタンダードタイプ,加えて動画再生機能「ezmovie」も備えるハイパフォーマンスタイプ,そして従来の4xxシリーズがシンプルタイプに当たる(10月2日の記事参照)。

 KDDIは今後,公式コンテンツプロバイダにXHTML Basicを用いてサイトを記述するよう推奨していく。従来のシンプルタイプではXHTML Basicのサイトは閲覧できないため,ゲートウェイサーバで変換するというアプローチを取る。変換をスムーズに行うため,「XHTML Basicを,“こういう形で作ってください”という仕様を作る」(保戸田氏)という。

 XHTML Basicに留まらず,そのほかのサイトもサーバで変換して閲覧できるよう既に強化が行われている。100%ではないが,iモード向けサイトも閲覧可能だ。

 結局,各端末から閲覧できる記述言語をまとめると,以下のようになる。

記述言語 WAP2.0端末 旧EZweb端末
XHTML Bacic WMLにサーバで変換されて○
cHTML WMLにサーバで変換されて○
WML XHTML Basicにサーバで変換されて○

セキュリティも向上

 WAP1.xからWAP2.0に変わることで,プロトコルスタックも大きく変化した(9月27日の記事参照)。WAP1.xではゲートウェイサーバと端末間のみが暗号化されていたが,WAP2.0ではエンド・ツー・エンドでSSL通信が行えるようになっている。KDDIの端末でも48ビットと128ビットのSSLをサポートする。

 またEZweb端末では,加入者情報である「サブスクライバID」がサーバ側で簡単に取得できるのが特徴だ。NTTドコモなどではサブスクライバIDは公式コンテンツ向けにしか提供されず,一般サイトではユーザー認証に工夫が必要。新端末でも「社内で議論はあったが,サブスクライバIDは変わらず取得できる」と保戸田氏は言う。

EZwebの高速化はハイパフォーマンス端末のみ

 12月の新端末では通信速度も高速化される。ただしスタンダード端末に関しては14.4Kbpsのままで,下り64Kbpsを使うのはハイパフォーマンスタイプだけだ。「動画をダウンロードするために,ezmovie端末だけは64Kbps化する」(保戸田氏)

 現在のcdmaOneは既に下り64Kbpsの通信速度も可能になっているが,通常は14.4Kbpsが使われ,64Kbps通信を利用するには別途有料で申し込む必要があった。「通常のコンテンツの閲覧や50Kバイト程度のJavaアプリケーションのダウンロードなら14.4Kbpsで十分」だと保戸田氏は説明する。

 ツーカーグループが28.8Kbpsのパケット通信を開始し,J-フォングループが年末,ドコモも来春には通信速度を28.8Kbpsに高速化する。これまで他社の9.6Kbpsに対し14.4Kbpsと速度で優位にあったcdmaOneだが,「コンテンツを見るのに,14.4Kbpsと28.8Kbpsでは見た目では差が分からない」と保戸田氏は語る。

 この考え方は,通信速度が下り最大144Kbpsに向上するといわれているCDMA2000 1xでも変わらない。「すべてを144Kbpsにする必要はない」(保戸田氏)と,テキストと静止画のコンテンツの閲覧に関しては“既に速度は十分”というのがKDDIの意識だ。

コンテンツ充実の環境を整えて巻き返しを図れるか

 名前だけの“国際標準”から,デファクトスタンダードのiモードの要素を組み入れることで,名実共に“標準”となったWAP2.0。KDDIはiモードの成功理由を分析した上で,WAP2.0によってコンテンツの充実を図る。

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[斎藤健二,ITmedia]

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