News 2000年7月25日 10:45 PM 更新

いよいよ離陸するBluetooth,東芝が製品第1弾を発表

 近距離無線技術のBluetoothがいよいよ離陸する。東芝は7月25日,ノートPCの新製品(別記事を参照)と同時に,業界初となるBluetooth製品をリリースした。現在,Bluetooth SIG(Special Interest Group)にはワールドワイドで1800社以上が参加しており,今秋からさまざまな製品が登場すると見られているが,東芝は「プロモーター企業の1社として,なんとしても最初に製品化したかった」(同社)という。

 Bluetoothは,東芝,Intel,Nokia,Ericsson,IBMの5社が1998年に提唱した近距離無線規格。免許不要の2.4GHz帯を使い,見通しで約100メートルの伝送距離を持つ。最大伝送レートは1Mbps,音声通信に使う同期転送では64Kbpsだ。

 Bluetoothは,消費電力の低さとモジュールの小型化が容易なことから,携帯電話やノートPC,ハンドヘルドデバイスなどの採用が見込まれている。東芝によると,Bluetoothの消費電力は,データ通信時で2〜3ミリワットだが,IEEE 802.11bでは約100ミリワットを消費するという。

 また,最大7台までの機器と同時に通信できるため,複数の周辺機器をPCに接続したり,複数のデバイス間でデータを共有するといった用途にも利用できる。「例えるなら,さまざまな周辺機器を接続できるBluetoothはワイヤレス版のUSB,データ転送速度を第1とするIEEE 802.11bはワイヤレス版のLANだ」(東芝)。

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 もっとも,対応周辺機器のない現状ではUSBライクな提案は難しく,東芝が発表したBluetooth製品も,既存のIEEE 802.11b製品のように,家庭や企業でワイヤレスネットワークとして利用するものとなった。ラインアップは,PCMCIA Type II型のモジュール「Bluetooth PCカード」とベースユニット「Bluetoothワイヤレスモデムステーション」の2種。PCにBluetoothカードを装着すれば,最大見通し100メートルの範囲で1Mbpsのワイヤレス通信が可能になる。モデムステーションには,モデムのRJ-11モジュラージャックとISDN TAなどを繋ぐためのシリアルポートが設けられており,公衆回線へ接続することが可能だ。ベースモジュールには2枚のPCカードが付属するが,このうち1枚はベールモジュール内に挿して利用する。

 東芝は企業内で利用するためのアプリケーションも用意した。添付されている会議ソフト「SPANworks 2000」をインストールすれば,PC間でプレゼン資料などを配付・交換することが可能になる。「発表者のPCと出席者のPCをつなぎ,手元で資料を見ながらプレゼンを行うことができる」(東芝)。

 東芝のBluetooth製品は,8月下旬に市場投入される予定。価格はBluetooth PCカードが2万2000円,Bluetoothワイヤレスモデムステーションが7万円となっている。

各社が計画しているBluetooth製品の例

Motorola
Palm V用Bluetoothモジュール,スマートフォンなど

Ericsson
携帯電話用Bluetooth通信モジュール,Bluetooth対応のイヤホンマイク

Nokia
Bluetoothチップ内蔵携帯電話

カシオ
Bluetooth対応デジタルカメラ

ザーコム ジャパン
CFカード(Type II)タイプのBluetoothモジュール「AERO 1500」

アクシスコミュニケーションズ
アクセスポイント「AXIS 910 Bluetooth Access Point」

ソニー
メモリースティック型のBluetoothモジュール

ケンウッド
カーオーディオ(5月26日の記事を参照

TDK
PCカード型Bluetoothモジュール,イーサネットとBluetoothのコンボ型PCカード,LANやモデムへのアクセスポイントなど

マイクロソフト
「Whistler」(コードネーム)でBluetoothをネイティブサポート

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Bluetooth SIG

[芹澤隆徳,ITmedia]

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