News 2000年8月4日 09:21 PM 更新

まずは体験,面白かったら追加料金を──セガ,ゲームソフトに料金後払い方式を導入

 セガ・エンタープライゼスは4日,インターネットを利用したゲームソフトの新しい販売方式「@barai」(アットバライ)を10月に始めると発表した。通常パッケージの特定部分にプロテクトをかけた低価格版を同時に発売し,途中まで遊んだユーザーがさらにプレイしたければ,ネット経由でライセンスを購入してプロテクトを解除,すべての内容を楽しむことができるというもの。プロテクトされたソフトは1000円程度の低価格で販売する方針で,同社では「ユーザーの購買意欲の壁を取り除き,販売促進につなげたい」としている。

 @baraiの第一弾は,10月5日発売のDreamcast用RPGゲーム「エターナルアルカディア」。通常版は6800円だが,@barai対応版は1000円で販売する。@barai対応版では,ストーリーがある程度まで進むとゲームはそこで中断。引き続きゲームを楽しみたいユーザーは,インターネット接続サービス「isao.net」を通じ,Dreamcastでセガのサイトに接続。そこで4000円から5000円程度の追加料金を支払い,暗号化されたキーを購入する。キーはソフトにかけられたプロテクトを解除し,ユーザーは通常版と同様にゲームを楽しむことができる。

 暗号キーは日立製作所と開発したものを利用。ユーザーがパスワードを打ち込む方式ではなく,ユーザー情報を照合した上でメモリに記録させる方式のため,キーがネットに違法に流出することなどは防げるという。また決済にはネット販売専用のプリペイドカード「Web Money」を利用する予定。

 今期に発売する15タイトルほどを@baraiに対応させ,将来的には発売する全新作を対応させる方針だ。

 年間約1000本の新作が発売されるゲームソフト業界だが,メインの価格帯が5000円から7000円ということもあり,「現状では購買本数や年齢層などに限界がある」(セガ)。またせっかく購入したソフトが今ひとつ,という経験から「ハズレ」を恐れて購入に二の足を踏むユーザーも多い。

 同社では,低価格でゲームの内容を体験できるパッケージを用意することで「ハズレ」のリスクを低減し,ユーザーの購買意欲を刺激できるとみている。追加料金を払うユーザーがどの程度になるかは未知数だが,「セガとしてはゲームに絶対の自信を持っている。少しでも体験してもらえれば必ず払ってもらえる」と自信を見せる。さらに@baraiで支払う合計金額は,中間マージンがないため,通常パッケージ版より低く設定する考え。

 同社はDreamcastを軸にしたネットワーク戦略を進めており,新方式はゲームソフトのダウンロード販売を見越した実験的な側面もある。同社によると,戦略子会社のイサオが運営するisao.netを通じDreamcastでネット接続しているユーザーは約65万人で,Dreamcastユーザー全体の約3割にとどまるという。同社は@baraiの導入で非ネットユーザーにもネット接続の魅力をアピール,ネット時代のポジション確保につなげる。

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[小林伸也, ITmedia]

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