News:CEATECレポート 2000年10月4日 11:59 PM 更新

CEATECレポート:Bluetoothは実装も一苦労

Bluetoothは,それまで無線技術とは無縁だった各種家電にも実装される。開発者の苦労をケンウッドに聞いた。

 10月3日から幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN」。多岐に渡る展示品の中でも一際目立っていたBluetoothだが,期待が大きい分,開発するハードベンダーにも苦労が多いようだ。説明員として来場していたケンウッドの技術者に話を聞いた。

 ケンウッドは,今年5月に開発を表明したBluetooth対応のカーオーディオ・ハンズフリーシステム(5月26日の記事を参照)を出展している。ヘッドユニットとマイクで構成され,Bluetooth対応の携帯電話と組み合わせれば,「オーディオのスピーカーを使ってのハンズフリー通話に加え,携帯電話のメモリを吸い上げて,ヘッドユニットからダイヤルするといったことができる」(同社)。ハンズフリーモードの場合,着信すると自動的に音楽をミュートするといった気配りもある。

 ただし,Bluetoothモジュールをヘッドユニットに組み込むにあたり,いくつかの課題をクリアしなければならなかったという。現在のヘッドユニットは,チューナーからMD/CDプレーヤー,アンプに至るまでを一体化した複合型が一般的だ。このため,「Bluetoothがチューナーへ悪影響を及ぼさないか,また自動車の電装品にノイズが入らないかと検証と改善を重ねてきた」(同社)という。


無理を言って見せてもらった試作機の中身。右下に突き出ているのがBluetooth用アンテナ出力だ。

 さらに,設置前のユニットを見るとよく分かるが,カーオーディオは車内の専用スペースにネジ止めするため,フロントパネル以外の部分はむき出しの金属きょう体になっている。つまり,「きょう体につなげるとグランドに落ちてシールドされた状態になってしまう」(同社)。このため,展示されていた試作機では,きょう体背面にアンテナ用の外部出力を設け,本体と分離させていた。「最終的には,フロントパネルに(アンテナを)装着する以外はないだろう」(同社)。

 Bluetoothは,これまで無線技術などとは無関係だった家電製品にも応用が利く。逆に言えば,Bluetooth対応が当たり前になったとき,これまで無線技術とは無関係だった製品でも,開発にはこうした苦労を伴うことになりそうだ。

 ケンウッドのBluetooth対応カーオーディオは,2001年後半から2002年初頭を目途に製品化される予定。「Bluetoothに対応した携帯電話がなければ意味がない。市場動向によって出荷時期が左右されるだろう」(同社)という。価格については,「ベースユニットの価格にプラス1万円程度で販売したい」。なお,試作機のベースとなった「DPX-9100」の定価は12万6000円だ。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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