News 2000年10月11日 04:28 PM 更新

10回の延期を経て発表された「Exchange 2000」──MEC2000基調講演

当初の計画では昨年12月に発表されるはずだった「Exchange 2000」。Microsoftは,ダラスで開催中の「MEC2000」でようやく出荷を報告した。

 米国テキサス州ダラスで「Microsoft Exchange & Collaboration Solutions Conference 2000」(MEC2000)を開催中のマイクロソフトは,正式発表が遅れ続けてきたコードネーム「Platinum」こと,正式名「Exchange 2000」の出荷を報告。さらに文書管理サーバのコードネーム「Tahoe」,「Visual Studio」ベースの統合開発環境でDigital Dashboard用のWebコンポーネントを容易に開発できる「Office Designer」を発表した。また,次期Officeの「Office 10」には,Web Storeの一部を複製してローカルに置ける「Web Local Storage」と呼ばれる機能が追加されることも明らかにしている。


基調講演で壇上に立つ米MicrosoftのGordon Mangione氏

 初日の基調講演の壇上に立ったExchange Server開発チームのトップ,Gordon Mangione氏は,まるでテストで100点満点を取った子どものように明るくはしゃいでいた。それもそのはず。昨年12月の「Internet World」で発表される予定だったExchage 2000は,その後10回も発表予定を変更してきた。

 彼は壇上から数枚のTシャツを配ったが,実はこのTシャツに書かれたメッセージには嘘が混じっている。MEC2000の日付が,8月30日と印刷されているのだ。今日(10月10日)ではないことが明らかなこの日付は,MEC2000自体がTシャツ制作後にスリップしていることを意味している。やっと出せた安堵感を,Mangione氏は噛みしめていることだろう。Tシャツには,「We think we can...We think we can...」と呪文のようなメッセージまで添えられていた。


発表延期の歴史が記されたTシャツ

多くの用途が想定されるWeb Store

 Exchange 2000に関しては,これまでも多くの新機能を紹介してきた(詳細はHelpdeskを参照)。中でも重要なのは,Exchange 2000は,ミドルウェア部分とバックエンドのストレージサービスが分割され,スケールアップだけではなくスケールアウトによる拡張にも対応するようになったことだ。

 バックエンドのストレージサービス「Web Store」は,今後,さまざまな情報を収める共通のリポジトリとして,マイクロソフト製品で利用されることになっている。.NET構想ではXML Storeというストレージサービスが登場するが,これはHTTPですべての情報にアクセスできるWeb Storeを進化させた先に存在する。同時に発表されたTahoeも,収集した情報はカタログ化し,Web Storeへと保存するようになっていた。

 そのTahoeだが,英語,日本語,ドイツ語のバージョンが,既にベータ2として配布済み。今回のMEC 2000来場者全員にTahoe Beta2のCDが配布されている。出荷時期に関してMicrosoftは明言しなかったが,最終版はイタリア語,スペイン語,フランス語にも対応したものになる予定だ。

 Tahoeには文書管理サーバに必要な文書属性管理やバージョン管理,検索機能などが含まれるほか,文書管理アプリケーションをユーザーが利用するためのポータルページを提供する機能も含んでいる。また,ExplorerやOfficeとのタイトな統合が行われ,エンドユーザーはWindows環境で慣れ親しんだ方法で文書にアクセスできるようになる。さらに,さまざまな種類のストア,文書を収集し,一元管理することもできる。

 Local Web Storage System(マイクロソフトは,なぜかLを省略してWSSと表現していた)は,Web Storeの一部を複製マネージャを用いてローカルのハードディスクに置く機能。だが,キャッシュ的な性格も持っており,一度アクセスした情報はそのままローカルに残る。具体的な仕組みに関しては,期間中に行われる技術セッションで確かめるしかないが,Outlookの次期バージョンはWSSを利用してネットワークトラフィックの負荷低減と,情報の可搬機能を実現することになっている。

 各新製品の詳細は,追ってレポートすることにしたい。

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[本田雅一, ITmedia]

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