News 2000年10月26日 10:59 PM 更新

ケータイdeミュージックは国産Napster?

筑波大学名誉教授である森博士は,音楽配信システムのケータイdeミュージックはNapsterのようなP2Pモデルだと言う。

 ケータイdeミュージック・コンソーシアムは10月26日,音楽配信システム「ケータイdeミュージック」に関するセミナーを開催した。ケータイdeミュージック・コンソーシアムは,同システムを開発した,三洋電気,日立製作所,富士通に,日本コロムビア,PFUを加えた5社で運営されている。セミナーでは,筑波大学名誉教授で超流通研究所代表の森亮一博士が「超流通によるコンテンツ流通革命」と題した基調講演を行い,「ケータイdeミュージックはNapsterのビジネス版である」と述べた。

 森博士は「超流通」分野の第1人者であるが,超流通とはあまり聞き慣れない言葉だ。森博士によれば,超流通とは「再配布を中心とするデジタルコンテンツの流通方式」のことを指すという。この場合,再配布を行うのは著作権を持たない一般のユーザーであり,森博士は「ピア・ツー・ピアと呼ばれるNapsterは,まさに超流通の典型だ」と指摘する。

 では,ケータイdeミュージックと超流通と何の関係があるかといえば,それは,ケータイdeミュージックが「交換を前提として設計された配信システム」(森博士)だからだ。ケータイdeミュージックの特徴は,暗号化されたコンテンツと,解読キーを同時または個別に配信できる点。そのため,ユーザー同士がお互いに所有している楽曲をコピーしたり,コンテンツホルダーが配布するCD-ROMから好きな楽曲をコピーしたりすることが可能だ。ただし,コピーしたユーザーが楽曲を再生したい場合は,お金を払って解読キーを購入しなければならない。

 「音楽配信サービスは,基本的に1対多のビジネスモデルだが,ケータイdeミュージックはその限りではない。再配布が容易なデジタルコンテンツは,むしろ交換を推奨することが大事。そうすれば,販売促進ツールとしても使うことができ,市場拡大にも貢献するNapsterを見れば,コピーを防止することが有効ではないの明らかだ」(森博士)

  一方,森博士は,Napsterが新しい流通システムであると評価しながらも,「Napsterは完全ではない。あれは“裸の超流通”だ」と言う。「コンテンツの自由な再配布を認める超流通には,課金システムがなくてはならない。そうでなければ,インターネットはただの無法地帯となる」(同博士)

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[中村琢磨, ITmedia]

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