News | 2000年10月26日 11:59 PM 更新 |
この急速な業績改善の原動力となったのは,売上高の76%を占めるまでに成長したエレクトロニクス分野。
第2四半期は,エレクトロニクス分野の売上高が1兆3042億円,営業利益は774億円となった。そこで第2四半期をベースに下期の傾向を考えてみたい。
製品別では,PCのバイオシリーズやデジタルビデオカメラ,デジタルカメラ,半導体,光学ピックアップを中心に大幅に増加。なかでも利益貢献度が高かったのは,デジタルビデオカメラ,半導体,オーディオの3つ。
特に,オーディオはアイワの赤字転落を跳ね返して,黒字を確保した。また,前期に北米から撤退した携帯電話端末は収支を著しく改善した。
そして,注目したいのがエレクトロニクスの収益構造の改善だ。円高の進行の影響が432億円の減益要因となった一方で,原価率改善で657億円,量産効果で478億円と増益要因もあり,結果的に増益要因が減益要因を打ち消す格好となった。
さらに,エレクトロニクス以外では,保険分野が売上高971億円に対し,営業利益29億円と確実に黒字を見込めるまでに安定している。
逆に,営業赤字なのは,ゲーム,音楽,映画の3分野。これら3分野については,クリスマス商戦で挽回する構えだ。ゲームでは,PSとPsoneのハードの出荷台数を100万台増やし,900万台に引き上げ,音楽は約20の新譜を投入。映画についても,「チャーリーズ・エンジェル」や「ザ・シックス・デイズ」などの新作で配給収入の拡大を図る計画だ。
「クリスマス商戦については,エレクトロニクスの引き合いが強い。映画,音楽なども話題作があり,業績への寄与を期待している」と同社では話している。
全体の財務内容としても,クリスマス商戦や部品不足に備え,政策的に原材料や製品を積み増しているとはいえ,第2四半期の棚卸資産としては,過去最低レベルの1.92カ月分まで圧縮に成功した。
エレクトロニクスで営業利益2700億円
このように四半期からの傾向を見ると,通期の業績については,クリスマス商戦という,振れ幅の大きい季節要因もある。
しかし,売上高の約4分の3を占めるエレクトロニクスの受注は堅調であり,原価低減が進展していることを考えると,下期の売上高7兆2000億円というのは,堅い数字であろう。
このうちの約4分の3がエレクトロニクス分野であれば,その売上規模は5兆4000億円。営業利益率が下期も第2四半期と同水準の6%を維持できれば,エレクトロニクス分野の営業利益だけで2700億円を超える。これはあくまでも,第2四半期の原価低減策と量産効果が続くことをベースにしている。
考えられる悪材料は,好調なエレクトロニクスが吸収してしまうことになると想定できるのだ。ビッグ゛E"として下期に反撃を目論むソニーは,リカバリーストックとの性格を強めることになるだろう。
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