News 2000年10月30日 09:53 PM 更新

詳報:2001年はDDRがブレイクか──高性能PC市場でインテルを追撃するAMD

AMDがDDR SDRAM対応チップセットをリリース。2001年はDDRメモリ“普及元年”になりそうだ。

 AMDがDDR(Double Data Rate)SDRAMの全面的なサポートを表明した。10月30日に世界に先駆けて日本で正式発表されたAthlon用チップセット「AMD-760」(速報を参照)は,MPUベンダーの純正チップセットとしては初めてDDRメモリに対応する。都内で開かれた発表会には主要DRAMメーカーがパートナー企業として顔をそろえ,AMDは「われわれはパートナーと市場のニーズに真剣に耳を傾けた」と,普及が進まないRDRAMをハイエンドの主軸に据えるインテルを皮肉った。AMDは,高速FSB版Athlon+DDR SDRAMを武器に,従来浸透できなかった高性能PC/ワークステーション市場へ攻勢をかける。

 AMD-760は,システムバス・コントローラ(ノースブリッジ)の「AMD-761」(コードネーム:IGD4)と,ペリフェラルバス・コントローラ(サウスブリッジ)の「AMD-766」(コードネーム:Viper+)の2チップで構成される。Ultra ATA/100やx4 AGP,USB4ポートをサポートする上,DDR SDRAMの利用が可能な点が最大の特徴だ。利用できるDDRメモリはPC1600(100M/200MHz動作)とPC2100(133M/266MHz)の2種類。

 これに伴いFSB(Front Side Bus)は高速な266MHzと,従来通りの200MHzの2種類に対応する。同時発表されたFSB 266MHzのAthlon/1.2G/1.13/1GHzは0.18μプロセスで製造され,Socket Aパッケージのみが提供される。FSB以外の仕様はFSB 200MHz版Athlon(Thunderbird)と変わらない。


日本ギガバイトのAMD-760チップセット搭載マザーボード「GA-7DX」は12月末に出荷を予定。MSIコンピュータ・ジャパンの「K7 MASTAER」も同時期の出荷がアナウンスされた


メルコが発表したベンチマークの結果。AMD-760+DDR SDRAM(PC1600)は,すぐ下のPentium III+i820+RDRAM(PC800)を大きく上回っている


FSB 266MHz版Athlon/1.2GHz+AMD-760+256MバイトのDDR SDRAM(PC2100)を搭載したデモ機。DVDとMPEG-1,AVIファイルなどを同時に再生してもビクともしない

「AMDは業界の声を聞く耳を持っている」

 DDR SDRAMは,クロックの立ち上がり時のみにデータの入出力を行うSDRAMに対し,クロックの立ち下がり時にもデータ入出力を行うことで,データ転送速度を倍速化した高速メモリだ。その速度はPC1600タイプで毎秒1.6Gバイトだが,PC2100タイプでは毎秒2.1Gバイトに達し,PC800タイプのRDRAM(毎秒1.6Gバイト)を上回る。

 DDR SDRAMのアドバンテージはローコストに生産が可能な点だ。既存のSDRAM生産設備やダイを流用できるため,DRAMメーカーも大きなリスクを負うことなく生産可能だ。既に主要DRAMメーカーは量産態勢に入っており,11月にもPC用のDIMM(184ピン)モジュールが市場に出回る見込みだ。

 価格は「PC133のSDRAMと同価格」(日本マイクロン)程度になる見込み。生産数量がまだ少ないため,DIMMモジュール自体の市場価格はPC133タイプより高価になると見られるが,出荷数が増えれば価格差は相当縮まるという。次世代メモリの本命と目されていたRDRAMの普及が進まない最大の原因はその価格にあった。DDR SDRAMの価格が現行のSDRAMと変わらないレベルになるとすれば,DDR SDRAMがRDRAMを突き放し,次世代メモリの主役として一気に浮上する可能性がある。

 AMDは2年前,MicronやSumsungらとともにタスクフォースを発足させ,次世代メモリとしてDDR SDRAMシステムの開発を進めてきた。AMD-760の発表会にも,東芝とエルピーダメモリ(日立製作所とNECのDRAM部門を統合した新会社),メルコとDRAMチップ/モジュールの主要ベンダーが出席した。

 日本AMDの堺和夫社長は「われわれがDDRを採用するに至ったのは,AMDが聞く耳を持っていたからだ。独占企業は変化を強要することはできるが,それは必ずしも顧客の要望と一致しない」と述べた。さらに「主要メモリベンダーが参加する『チームDDR』は一丸となってDDR普及を促進する」(堺社長),「AMDのもっとも重要なビジネスモデルは,パートナー企業との協力で共存共栄を図ることだ」(吉沢俊介取締役)とパートナー各社との協調関係をアピール。RDRAM普及を狙い,時に“独善的”とも言われたインテルに対し,“パートナーとの協業を重視するAMD”という構図を描いて見せた。


発表会にはパートナーのメモリベンダーやマザーボードベンダーが集合。DDRを武器とするAMDの“インテル包囲網”を見せつけた

 DDR SDRAMが普及すれば,従来のSDRAMでは生かし切れなかったAthlonのポテンシャルを最大限に引き出すことができる。インテルのPentium 4+RDRAMに対しコストパフォーマンスで対抗,高性能PC/ワークステーション/サーバ市場でもシェアを拡大したい考えだ。

 DDRのサポートでは,ALiがいち早く対応チップセットを発表(8月24日の記事参照)しているほか,VIAやSiSも開発を表明している。またインテルもRDRAM一辺倒の姿勢を改め,2001年にはPentium 4向けにDDR対応チップセットをリリースする方針を明らかにした(8月22日の記事参照)。メモリベンダー各社とも,2001年をDDRの普及元年と位置付けており,来年にはリテールレベルでもDDRがブレークしそうな勢いだ。

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[小林伸也, ITmedia]

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