News 2000年11月9日 09:56 PM 更新

アルファ・オメガソフト,軍事技術を応用したWebカメラサーバを発表

「Wavelet圧縮」「リアルタイムLinux」ハイテクの匂いがプンプンする製品が,軍事技術を応用して開発された。

 富士通系のベンチャー企業,アルファ・オメガソフトは,11月9日,オールインタイプのWebカメラサーバ「WebCam」を発表した。WebCamをインターネットに接続すれば,WebブラウザからWebCamのIPアドレスを指定するだけで,WebCamが撮影している映像を見ることができる。


小さな本体の背部には,10BASE-Tのコネクタと入出力集合コネクタが搭載される

 WebCamは,韓国のWebGateと提携し,軍事用に使われている技術を応用して開発された商品。通常使用されるJPEG形式ではなくWavelet方式を採用し,美しい画像を転送できるのが特徴だ。


原画像(左)を1000分の1に圧縮したところ,JPEG(中)とWavelet(右)では大きな画質の違いがある(拡大画像

 Wavelet方式とは,JPEG圧縮などに使われるDCT(離散コサイン変換)より変換効率が良いといわれている変換方式のこと。「JPEGに比べて30倍といわれる高い圧縮率,可逆性というメリットを持つ」(アルファ・オメガソフト)。しかし,ハードウェアへの負荷が非常に大きいという問題があった。それを解決するため,圧縮処理機能をカーネルに組み込み,画像処理に必要なコンポーネントだけを使った「リアルタイムLinux OS」を独自開発,搭載している。

 ただし,Wavelet方式の画像はそのままではWebブラウザで閲覧できない。WebCamの場合,本体のWebサーバにプラグインが入っており,アクセス時にはWebブラウザが自動的にダウンロードする。プラグインは,Internet Explorer向けにActiveX,Netscape Navigator用にはJavaで作られたものが用意されている。また,ビットマップ形式の画像をPCに保存することも可能だ。


WebCamを外に向け,LANでつながったPC上のWebブラウザで閲覧している

 WebCamは100人までの同時アクセスが可能。また,画像のサイズによるが,1秒間に30フレームの画像送信もできる。外部カメラも増設でき,その場合パンやズームなどの操作もWeb上から行える。

 主な仕様は以下のとおり。

製品名 WebCam
画像解像度(ピクセル) 720×486,720×243,360×243,180×121,90×60
撮像素子 1/4インチCCD,27万画素
対応システム Internet Explorer 4.0以上(Windows用),Netscape Navigator 4.5以上(Windows用),Javaアプレット(Mac OS,UNIX用)
サイズ 92(幅)×146(奥行き)×45(高さ)ミリ
重量 187グラム(ACアダプタ除く)

 本体には動作検知機能も内蔵されている。自宅にWebCamを設置しておき,侵入者を検知した場合にはメールを送信させるといった応用も考えられる。検知は画像処理によって前後の画像の変化から行われる。

 価格は9万8000円。11月上旬に発売される。アルファ・オメガソフトでは特定用途へのカスタマイズも行う。

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▼ アルファ・オメガソフト TEL (03)5575-2201

[斎藤健二, ITmedia]

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