News 2001年2月5日 09:27 PM 更新

テレ東,映像コンテンツ配信ビジネスに参入

テレビ東京や日本経済新聞社など7社は,ブロードバンド向けの映像コンテンツ配信・配信代行会社を合弁で設立すると発表した。

 テレビ東京,NTT東日本,日本経済新聞社,シャープ,NECインターチャネル,コンテンツジャパン,ならびにQUICKの7社は2月5日,ブロードバンド向けの放送コンテンツ配信・配信代行会社として「テレビ東京ブロードバンド」(TX-BB)を合弁で設立すると発表した。資本金は4億6500万円で,設立は3月1日の予定。社長には,テレビ東京メディア戦略本部メディア開発局インターネット部副参事の髪林孝司氏が就任する見込み。


コンテンツ流通市場への取り組みを語るテレビ東京の一木社長(右)
 ブロードバンドが普及しはじめたことで,「コンテンツ流通市場」と呼ばれる映像コンテンツの配信ビジネスが注目されているが,ISP(インターネットサービスプロバイダー)などが著作権の絡む映像コンテンツを配信する場合,頻雑な著作権管理作業が問題となる。そこでTX-BBでは,著作権者との権利渉外からデータの編集・加工,さらに配信までを一括して請け負う映像コンテンツ配信プラットフォームを構築し,ISPやADSL,CATV事業者が容易に映像コンテンツを配信できるようにしようというのだ。

 テレビ東京の一木豊社長は,TX-BBの設立について「番組を2次利用する場合の配分方法など,解決しなければならない問題は多いが,各コンテンツホルダーと話をしながら最適なシステムを構築したい」と意気込みを語る。「TX-BB では,2年目で単年度黒字,3年目では塁損を解消するとともに,売上は最低でも50億円を目指す」(一木社長)

 ただし,こうした取り組みを行っているのはテレビ東京だけではない。たとえば,日本テレビ放送網(日本テレビ)とNTTグループは昨年7月,映像コンテンツの著作権管理を行う「ビーバット構想」を発表(7月3日の記事参照 )している。日本テレビの氏家齊一郎社長は構想を披露した際に,「ほかの民放にも参加を呼びかけ,著作権管理システムの統一的な枠組みを提案する」ことを唱えていたが,現実的には,コンテンツ流通市場でのシェアを確保するために,民放キー局がそれぞれに仕組みを構築することになりそうだ。

携帯電話にも映像コンテンツを供給

 TX-BBでは今年6月より,ISP,ポータルサイト,DSL事業者,ならびにCATV事業者などにコンテンツを提供する。内容は,当初,日経グループが持つ経済ニュースがメインになる見込みだ。「芸能プロダクションなど,外部コンテンツホルダーの番組についても,順次拡充していく」(髪林氏)。ただ,具体的な番組名について,「著作権の問題もあり,今のところ発表できる段階にはない」(同氏)とした。

 またTX-BBでは,携帯電話キャリアと提携して,既存の携帯電話ならびにNTTドコモの次世代携帯電話サービス「FOMA」向けにコンテンツを供給する予定だ。既存の携帯電話向けには,シャープのアニメーション製作技術「E-アニメーター」ならびにマクロメディアフラッシュを用いて,アニメーション番組の制作・配信を行う。髪林氏によれば,こちらはISP向けのサービスに先行し,春先にはサービスを開始するという。

 なおTX-BBの出資比率は,テレビ東京が34.4%,NTT東日本が19.4%,日本経済新聞社が13.1%,シャープが12.9%,NECインターチャネルが8.6%,コンテンツジャパンが8.6%,QUICKが3%となっている。

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[中村琢磨, ITmedia]

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