News 2001年2月20日  10:25 PM 更新

裁定不服で東京地裁に提訴──goo.co.jpドメイン紛争

goo.co.jpドメイン名の登録者である岡山の業者が,工業所有仲裁センターの裁定を不服として東京地裁に提訴した。

 「goo.co.jp」を巡る問題で,同ドメインの登録者である岡山県の有限会社ポップコーンは2月18日までに,ドメイン名明渡しを求めた工業所有仲裁センターの裁定を不服として東京地方裁判所に提訴した。なお,裁定が下されてから10日以内に紛争当事者が訴訟を起こした場合には,裁定は執行力を持たない。

 JPドメイン名の紛争処理機関である工業所有仲裁センターは今月7日,NTT-Xが行っていたgoo.co.jpの登録移転申し立てについて,申請内容を認める裁定を下した。NTT-Xの主な言い分は,1)goo.co.jpは,検索サイトである「goo.ne.jp」の集客力を不当に利用している,2)goo.co.jpのドメイン名をアダルトサイト(real.co.jp)への転送目的だけに使用しており,登録者(ポップコーン)はドメイン名に対してなんらの権利もしくは正当な利益を有していない,というものだった。

 これに対してポップコーン側は,1)goo.co.jpは,女子高生向けのコミュニケーションサイトという位置付けにあり,ドメイン名は女子高生の間で流行した「チョベリグー」からヒントを得たものである,2)goo.co.jpは,NTT-Xがgoo.ne.jpよりも先にサービスを開始している(goo.co.jpは1996年10月29日,goo.ne.jpは1997年3月27日。NTT-Xでは1999年に「goo」の商標を登録)。NTT-Xがいかに宣伝広告費をかけ,goo.ne.jpの知名度を上げたたとはいえ,goo.co.jpの移転を求めるのはドメイン名自由取得の原則に反する,と反論。

 結果的に工業所有仲裁センターではNTT-Xの主張を認める裁定を言い渡したわけだが,その根拠としては,1)goo.co.jpでは,goo.ne.jpの知名度が上がり出した1999年11月ごろよりアダルトサイトへリダイレクトするようになった。ポップコーンが不正目的でgoo.co.jpのドメイン名を登録したわけではなくても,現時点で同ドメイン名を不正目的で利用していることは明白,2)NTT-Xではgoo.ne.jpの宣伝広告費としてこれまでに5億8000万円を投じた結果,高い顧客集客力を持つようになった。そのためNTT-Xは「goo」の名称を継続して使用する権利を有している,ことなどが挙げられている。

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[中村琢磨,ITmedia]

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