News 2001年2月28日 03:20 PM 更新

XScaleベースのアプライアンスがPCを補完する?──IDF基調講演

米IntelのCraig Barrett社長は,IDFの基調講演で「Intel Personal Internet Client Architecture」を紹介した。


IntelのCraig Barrett社長(右)とMSのJim Allchin氏上級副社長(左)

 米Intelの社長兼CEO,Craig Barrett氏は,米カリフォルニア州サンノゼで開催中の「Intel Developers Forum 2001 Spring」(IDF)で,Intelが提案する4つのアーキテクチャを紹介した。その中には,IA-32やIA-64,IXA(Intel eXchange Architecture)といったお馴染みのものもあり,IA-32のセッションでは米Microsoftの上級副社長であるJim Allchin氏が登場し,Windowsの次期バージョン「Windows XP」(Whistler)を披露する一幕もあった。そして,残る1つが「Intel Personal Internet Client Architecture」だ。

 これは前回,昨年夏のIDFで発表した「XScale」プロセッサ(2000年8月24日の記事を参照)をベースにした新しいアーキテクチャだ(2000年9月25日の記事を参照)。第2世代Strong ARMのXScaleは,乾電池で動作する機器からハイパフォーマンスのアプライアンスサーバまで,高いパフォーマンススケーラビリティを持つのが特徴。次世代携帯電話の心臓部として,Intelは強く売り込んでいる。

 ワイヤレス機能を備えた次世代のPDAや,インターネットに接続できる携帯電話など,インターネットと関わりを持つデジタルデバイスは数多く提案され,今後,幅広く普及するといわれている。これらデバイスが成長すれば,PC不要論も再燃することだろう。

 しかしIntelは,これをパーソナルに持ち歩くPCと連携を取れる,PCの付加価値を高めるものとしてマーケティング戦略を進めようとしている。それがPersonal Internet Client Architectureだ。情報やアプリケーションの中心はあくまでPCで,それを補完する周辺デバイスとしてPCと接続性のあるさまざまな小型のクライアント型デバイスを提案しようとしているのだ。

 この考え方は,Personal Internet Client Architectureだけではなく,デスクトップPC戦略にも組み込まれている。Intelが最近提案している「Extended PC」という言葉は,MP3プレーヤー,デジタルビデオ,デジタルカメラ,インスタントメッセージングなど,PCを中心に互いの付加価値を高めながら,単体でも機能する製品との組み合わせでPCの世界を拡張しようという考え方を表現したもの。

 アプライアンス,特にインターネットアクセス端末などは,将来の家庭用PCを駆逐するといわれた時代もあった。また,携帯電話がPC市場を浸食しているという論法も,日本では根強く存在する。そんな疑問に対して,IntelはアプライアンスがPCの付加価値を強化するものである,と新しいあり方を提案しているわけだ。

 現在の日本の状況をふまえれば,どこまで実効性の高い戦略かは不透明だ。しかし,繰り返されるPC不要論に対する1つの回答として,興味深い話といえるだろう。

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[本田雅一, ITmedia]

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