News 2001年3月30日 11:59 PM 更新

基調講演のBill Gates氏,パートナー重視を強調

「東京ゲームショウ2001春」の基調講演に登場した米MicrosoftのBill Gates氏は,Xbox向けのゲームソフトを次々と紹介したあと,協力関係を築いたデベロッパーや通信事業者などを壇上に招いた。

 3月30日に開幕した「2001 東京ゲームショウ春」では,米MicrosoftのBill Gates会長が基調講演を行い,今秋にも発売される同社のゲーム専用機「Xbox」の国内戦略を披露した。講演にはセガやNTTコミュニケーションズとの提携をはじめ,各デベロッパーが制作しているXbox用ゲームのデモンストレーションが多く盛り込まれ,マーケット構築に向けて同社が積極的に動いていることをアピールしたものとなっている。「1つの会社ですべてを行うことはできない。大小問わず,多くの企業が参加することでビジネスを大きくできる」(Gates氏)。

 また,日本市場向けのアナウンスが多く含まれていたのも印象的だ。まず,大きすぎるといわれていたコントローラだが,日本仕様のものが披露された。日本人の手に合わせ,一回り小さくなっているほか,若干ボタン配置も変更されている。

 ゲーム機を販売する上で,キーになるのは,やはりソフト。Xboxにゲームを供給するデベロッパーは既に200社を超え,この中には70社あまりの国内メーカーも含まれている。しかし,自身もソフトウェアデベロッパーであるマイクロソフトには,まだ物足りないらしい。Gates氏は,国内のXbox事業部にゲームそのものを開発・制作する専任グループを発足したことを明らかにしている。「日本の市場を構築するため,ワールドクラスのゲームスタジオを日本に作る」というのがGates氏の目論見だ。人員は4月時点で70人ほどを確保する予定で,既に内部制作として3ライン,外部との共同プロジェクトとして7ラインが動き始めているという。

 壇上に招かれたXbox事業部長の富田敏幸氏は,「私のミッションは2つある。1つは,米国のゲームを日本で紹介すること。そして独自のゲームを開発することだ」と切り出した。米国産ゲームは日本で受け入れられにくいというのが定説だが,富田氏はそれを踏まえた上で,「では,売れるにはどうしたらよいか? 日本サイドから率直な要望を出すつもりだ」という。「年末には,20程度のプロジェクトを立ち上げる。これには,オンラインゲームも含まれるだろう」(富田氏)。

セガの参入

 基調講演の目玉は,何といってもセガとNTTComというビッグネームがXboxのパートナーとして名を連ねたことだろう。セガは,自社の持つゲームタイトルの次期バージョンをXbox向けに提供することを発表している。

 セガの香山哲特別顧問は,同社が「ジェットセットラジオフューチャー」(仮称)や「パンツァードラグーン」「セガGT」「ガンヴァルキリー」など11タイトルの開発に着手したことを明らかにしたほか,「オンラインゲーム,ブロードバンドに関しても,いくつかのアグレッシブな提案を(MSから)受けている。まとまり次第,発表するつもりだ」(香山氏)として,両者の関係がゲーム供給にとどまらないことを示唆している。

 PCの世界では,圧倒的な力を持つMicrosoftといえど,ゲームコンソール業界では全くの新参者だ。しかし,NTTコミュニケーションズとの提携に始まる一連の発表は「マーケティングやデベロッパーを,PCの繋がりでそのまま持ってきただけ」という,これまでの評価を覆す材料となるはずだ。その自信は,Gates氏の言葉にも表れている。

「Xboxは,間違いなく大きなチャンスだ。優れた技術基盤はクリエイターの想像力を引き上げ,われわれのパートナーシップとビジョンがこの業界を次のレベルに引き上げるだろう。私も楽しみながらやっている」(Gates氏)

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関連リンク
▼ 東京ゲームショウ2001春公式ホームページ

[芹澤隆徳, ITmedia]

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