News 2001年3月30日 11:25 PM 更新

Xboxがiモードになる?

 東京ゲームショウ2001春に行って来た。今週は,月曜日に米カリフォルニア州・アナハイムで,そして,金曜日は幕張メッセでと,米MicrosoftのBill Gates氏のスピーチを2度聴いたことになる。アナハイムと幕張の基調講演がまるで異なる内容であるのは当然としても,アナハイムでのGates氏は,Windows XPベータ2が出荷が開始されたという,とてもおめでたい話題がありながら,あまり機嫌がよくなさそうだったが,幕張でのゲイツ氏は,そんな様子もなく非常に上機嫌に見えた。

 さて,この東京ゲームショウを皮切りに,今まで厚いベールに覆われていた「Xbox」の周辺が,おぼろげながらにも見えてきた。各社との戦略的提携や,各著名ゲームベンダーのXbox参入など,とにかく話題には事欠かない。

 ぼく自身が,特に興味を持ったのが,NTTコミュニケーションズとの戦略的提携。これは,NTTcomが,日本でのXbox向けオンラインゲームネットワークサービスを提供するというものだ(3月29日の記事参照)。

 計画によれば,Xboxに装備されたイーサネットポートと,ADSLモデムをケーブルでつなぐだけで,24時間常時接続のブロードバンドネットワークサービスを受けることができるようになるという。また,将来的には,光接続にも対応し,その利用法を両社が共同で開拓していく計画だ。

 もし,この提携において,安定した高速ブロードバンドネットワークが完成するとすれば,いってみれば,iモードのようなプライベートネットワークができることになるわけだ。

 ご存じの通り,iモードには,“公式”サイトと“勝手”サイトがあり,公式サイトは完全にインターネットからは隔離されたネットワークに存在し,参照の容易さ,そして認証や課金などの付加価値をネットワークに持たせることができている。これが,iモードのビジネスモデルを成功させた,かなり大きな理由であったのは周知の事実だ。

 ただ,503iシリーズなどでは,既に端末IDの取得を可能にするタグなどが公開され,勝手サイトであっても,端末使用者の意志によって,使用端末を特定することが可能になっている。また,今後,ドコモはiモードをオープンなネットワークにしていくために,iモード網を他ISPに対して公開し,サービスプロバイダが,iモードのパケット通信網を使って独自のサービスを展開できるようにすることも考えているようだ。

多くの人にビジネスチャンスを

 とはいえ,米America Online(AOL)もそうだったし,もちろんiモードもそうだったように,過去においては,ユーザーをうまく囲い込めた人たちが勝ち組となった。昔,ポータルサイトという言葉が流行ったことがあったが,玄関口となって通り過ぎられるよりも,ずっと,そこにとどまってもらえた方が,ビジネスチャンスは大きかったということなんだろう。

 MicrosoftとNTT Comが,Xboxのために,どのようなタイプのネットワークサービスを提供するのかは,今の時点では全く分からない。でも,世の中の流れは,着実にオープンなものが受け入れられるという雰囲気に向かっている。だから,希望的観測かもしれないけれど,両社がこれから構築するオンラインゲームネットワークが,インターネットから完全にクローズドなものになってしまうとは考えにくい。

 グローバルなインターネット接続をした上で,VPN(Virtual Private Network)でクローズドなネットワークを構築するようなやり方もありだろう。Xboxのようなスペックを持つマシンが,物理的なブロードバンド接続を手に入れれば,こうした「力」でねじ伏せるようなネットワーク構成も軽々こなすに違いない。

 Xboxに参入を計画しているベンダーのほとんどは,何らかの形でネットワークを意識したコンテンツ作りを考えているというような噂も流れてくる。願わくば,このネットワークが,できるだけ多くの人々にビジネスチャンスをもたらすオープンなプラットフォームであってほしいと思う。

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[山田祥平, ITmedia]

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