News 2001年4月4日 10:16 PM 更新

ソフトバンク,電灯線インターネット事業に参入

ソフトバンク ネットワークスが英nSineと合弁会社を設立し,電灯線を使った通信システム向けチップの販売に乗り出す。近い将来,日本およびアジアで電灯線を使った高速インターネット接続が普及するという見通しが背景にある。

 ソフトバンク ネットワークスは4月4日,電灯線(低圧配電線)を利用した通信システムを手掛ける英nSineと,5月を目途に合弁会社を設立することを発表した。近い将来,日本およびアジアで電灯線を使った高速インターネット接続が普及すると判断,nSineの開発したチップセットを家電メーカーなどに売り込む。

 新会社の名称は,エヌサイン・パワーネット株式会社。資本金は6000万円で,両社の折半出資となる。社長には,現nSine日本代表の浅川史朗氏が就任する予定だ。

 住宅内に張りめぐらされた低圧配電線を通信に利用する試みは,電力会社や家電メーカーを中心に進められているが(過去記事123を参照),国内では利用できる周波数帯域が狭く,また狭帯域ノイズや低インピーダンスといった問題点が残されているため,実用化は進んでいない。ただし,世界的に電灯線通信への注目が高まる中で,日本でも2002年には電波法が改正される見通しだ(3月27日の記事を参照)。エヌサイン・パワーネットは,規制緩和の動向を見ながら,来年以降の事業本格化を目指す。

 当初は,nSineのチップセット「nPlug」を家電メーカーやPCメーカーに売り込み,システムを商品化する方針。nPlugは,1.5〜30MHzの周波数帯を使用するもので,伝送速度は2.5Mbpsから最大40Mbpsに及ぶ。数十ドルという価格の安さも特徴だ。「nSineはホームセキュリティシステムも開発しており,nPlugの応用製品は多岐に渡るものと期待している」(同社)。

 将来的には,アイ・ピー・レボルーションの光アクセス回線と連携し,集合住宅や宅内での配線手段として提供すること,あるいは電灯線アクセスを推進する各電力会社とのパートナーシップなども視野に入れるという。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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