News 2001年4月27日 11:46 PM 更新

「Windows XP Ready PC」はパソコン買い換えの好機?

 マイクロソフトが,都内のホテルで「Windows XP」のテクニカルセミナーを開催した。このセミナーの出席者に対しては,3月30日に完成したというベータ2の日本語版が配布された。その詳細に関しては別記事で詳しく紹介されているので,ここでは,同時に発表された「Windows XP Ready PC」についてふれておくことにしよう。

 これは,今年後半に予定されているWindows XP発売に向けたReady PCプログラムで,5月上旬以降,各PCメーカーから順次出荷が開始されるという。ビジネス的には,これから出てくるパソコンで,このプログラムの要件を満たさない製品は,消費者から無視されることになるだろう。

 ちなみに,マイクロソフトによれば,Windows XP Ready PCの要件は次のようになっている。

Windows XP Ready PCは,Windows XP ProfessionalまたはWindows XP Home Editionを動作させるための,下記のハードウェア要件以上を満たしたものが対象となります。

  • Windows 2000 ProfessionalまたはWindows Millennium EditionがプリインストールされたPC

  • Designed for Windows 2000もしくはDesigned for Windows 2000/Meのロゴマークを取得したPC

  • 最低64Mバイト以上のRAMが搭載されたPC(アップグレード時には128Mバイトを推奨)
  •  そんなに難しい条件ではない。現在,量販店に並んでいるコンシューマー向けのWindows Me搭載パソコンでも,スペック表を見れば,動作保証OSとして,Windows 2000が記載されている。Windows Me搭載機の場合,プリインストールされたアプリケーションに関しては,Windows 2000での動作が保証されていなかったり,実際に動かないものも少なくないが,少なくともOSとしてのWindows 2000が動くように,PCのハードウェアそのものは作ってある。Windows 2000が快適に使える環境なら,Windows XPはバッチリというのがマイクロソフトの論調なので,新製品を含め,ほぼすべてのパソコンがWindows XP Ready PCとして,初夏の商戦を戦うことになるだろう。

    難しいのは買い換え

     頭が痛いのは,今年のPCの買い時だ。特にノートパソコンはとても難しい。

     たとえば,夏モデルと呼ばれる製品には,「Office XP Personal」がプリインストールされてくるだろう。アプリケーションのバージョンアップと,パソコンの買い換えを検討しているユーザーにとっては,いいチャンスだ。

     一方,インテルは,モバイル用の次世代版Pentium IIIを,Tualatinというコードネームで呼ばれる0.13μメートルプロセス版Pentium IIIとして第3四半期に出荷予定で準備を進めているとのことだ(2000年8月17日の記事を参照)。

     そして,きわめつけは,Windows XPプリインストールパソコンの出荷開始だ。こちらは,ベータ2から2〜3カ月,つまり5月末から6月あたりでRC1となり,その1カ月後あたりにRC2,そしてRTMとビルドが推移すると予想すると,遅い夏の出荷も濃厚だ。当然,歳末商戦モデルは,すべてがXP,そしてTualatinか。

     こんな具合に,3度ものタイミングで,パソコンの世代が変わるとなると,買い時を選ぶのは実に難しい。パソコンはいつ買ったらいいの? というのは永遠の疑問で,「欲しいとき」というのがその正解だが,たとえば,買い換えなどのタイミングを虎視眈々とねらっている中級以上のユーザーにとっては悩みのタネだ。誰でも,少しでも長い間,自分のパソコンが世代遅れにならないでいてほしいと思うのは当然だ。

     業界全体としても,「XP待ち」の風評が,パソコン市場の活性化をさまたげるという憂いを持っているらしい。実際,春の商戦も「Office XP」待ちで多少の影響を受けたという話も聞くし,このままいくと,大きなビジネスチャンスである6月のボーナス商戦でも,すべての要素がそろうであろう年末商戦まで購入を見送る層が出てきても不思議ではない。

     もしかしたら,Windows XP Ready PCプログラムは,こうした買い控えを抑制するために,多少の功を奏するかもしれない。

     ただ,配布されたベータ2日本語版をインストールしてみたところ,快適にWindows 2000が動いていた2台のパソコンは,トラブルに見舞われた。1台はインストール途中にATA−100のインタフェースに接続したCD-ROMドライブが見えなくなってしまった不具合。もうひとつは,アルプスのタッチパッドを持つノートパソコンで,そのドライバが使えない不具合だ。

     どちらのケースも,Windows XPベータ2のインストーラは,最初の時点でその非互換を発見し,これは動かないという旨の警告メッセージを表示した。それを無視してインストールを続けた方が悪いのであって,新規インストールを試みなければならなくなったとしても,誰にも文句はいえない。でも,そういうことだってあるわけだ。

     Windows XP Ready PCなら,認定ドライバがメーカーから配布されることが約束されているので,こんな心配はない。

     願わくば,Windows 2000のときのように,OSパッケージを発売した後で長期間待たされるといったことがないようにしてほしい。ベータ版でもいいから,製品がショップの店頭に並ぶタイミングでは,自分のパソコンを新しいOSできちんと動かせることを保証してほしいものだ。それが,なんらかの形でアナウンスされれば,買い控えの傾向も,少しは抑制されると思うのだが。

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    [山田祥平, ITmedia]

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